"山に捨てられた妻は立ち上がる" 第4話
「薬を……減らしてください」
「痛みがくなりますよ」
「構いません。眠っているに、私の名を使われる方が怖いんです」
医師の表が変わった。佳奈はすぐには事を説しなかった。健が病院内の誰とつながっているか、まだ分からなかったからだ。
医師は薬の説を閉じ、佳奈の目を見た。
「ご主には、薬を減らしたことを伝えますか」
佳奈は首を横に振った。
「今は、伝えないでください。私の識が戻ったとられたくありません」
医師は理由を尋ねたが、佳奈が「証拠を確認してから話します」と答えると、それ以は追及しなかった。痛みを毎評価すること、異常があればすぐらせることを条件に、鎮痛薬と眠導入剤を段階に調すると約束した。
ただつ、決めていた。
次に健が夜の病へ来る、佳奈はもう眠っていない。
第4話 消えたリハビリ予定
薬の量を調してから、佳奈の識はしずつ澄んでいった。
痛みはくなった。背から腰へい刃物を差し込まれるような覚が何度もり、夜にや汗で目を覚ました。それでも、朝になって夜の記憶が残っているだけで、佳奈には分だった。
健のでは、以と同じように振るった。
目を半分閉じ、質問されても数秒遅れて顔を向ける。話が理解できていないように首を傾け、に力が戻っていることも隠した。
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健は疑わなかった。
「今、臨取締役会をいた。おが戻るまで、俺が代表を代する」
佳奈の髪を撫でながら、幼い子どもへ説するように言った。
「難しいことは考えなくていい。会社も建物も、俺がちゃんと守るから」
そのの午、病の話が鳴った。
護師が受話器を取り、佳奈へ渡そうとしたが、健が先に受け取った。
「はい、夫です。妻は会話が難しい状態ですので、私が伺います」
相の声は聞こえなかった。ただ、健の返事だけで内容は分かった。
「座央ビルの件ですね。12億円で異ありません。妻からの委任状はそちらに届いているはずです」
佳奈は掛け布団ので拳を握った。
座央ビルは、彼女が34歳のに設計した最初の型物件だった。設計料を受け取る代わりに部持分を取得し、借入を返済しながらしずつ権利を買いした。現は佳奈の資産管理会社が単独で所している。
12億円という価格は、直の査定額より3億円以かった。
しかも、佳奈が保する物件には分な賃料収入があり、急いで現化する理由はない。価格よりく売ったように見せ、差額を別の所へ移すつもりなのだとすぐに分かった。
受話器の向こうから確認を求められたのか、健はベッドへ背を向けた。
「妻の確認は私が済ませています。
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今の状態で本に話を代わらせるのは虐待と同じですよ」
最には員を責める調になり、引に話を切った。
健は話を切ると、窓際へ移してスマートフォンを操作した。送信音がして、すぐに返信が届く。
画面に表示された名が瞬だけ見えた。
玲奈。
夜のビデオ通話で聞いた女と同じかどうか、まだ確証はなかった。しかし健が画面を見て浮かべた笑みは、妻へ向けたことのないものだった。
佳奈は名をので繰り返した。玲奈。半、健が会社へ連れてきた部の資産管理コンサルタントではなかったか。税務理のためだと説され、度だけ役員会に同席している。
玲奈はその席で、佳奈が発言するたびに丁寧にうなずいていた。その方で、会議が終わると健のすぐろを歩き、エレベーターので親しげに何かをささやいていた。
数、佳奈は別の異変に気づいた。
転院、ベッド脇には週リハビリ予定表が貼られていた。ところが、いつのにかがなくなり、訓練へ呼ばれることもなくなっていた。
護師に尋ねると、困ったように声を落とした。
「ご主から、鈴さんがリハビリをく拒否していると伺いました。無理に起こそうとすると、ご自分を傷つけようとすることもあると……」
「私が、ですか」
「病院にも同じ内容のメールと申が届いています。ご本の署名があったので、状態が定するまで延期になりました」