"27年目の再会" 第7話
妻にはまだ、
自分がらない過がある。
そしてその過は。
単なる仕事の話ではなかった。
写真の裏にかれていた文字を見てから、が過ぎた。
直は、何度もその写真を見返していた。
若い頃の美子。
そして、その隣につ見らぬ男性。
男性の表は穏やかだった。
の距も、自然にいわけではない。
恋の写真には見えない。
しかし。
直には分かった。
この男性は、美子のので、自分がらないを共していただ。
写真の裏には、
「美子さんが、本当は選ばなかったについて」
とかれていた。
その言葉が引っかかっていた。
選ばなかった。
つまり。
美子には、別のがあった。
直は差の所を調べた。
さな編集会社だった。
翌、話をかける。
「と申します」
「先、写真を送っていただいた件ですが」
話の向こうで、し沈黙があった。
「やはり、ご主でしたか」
「あなたは誰ですか」
「私は、昔、美子さんと緒に仕事をしていた者です」
名は、森田也。
当、美子が応募していた版社の編集部にいただった。
「なぜ今になって、こんなものを送ったんですか」
直が聞く。
森田はすぐには答えなかった。
「奥様が、最また仕事を始めたと聞きました」
「それで?」
「ししたんです」
「?」
「彼女はずっと、自分のことを回しにしていましたから」
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直は黙った。
「さん」
森田の声がくなる。
「あなたは、奥様が仕事を諦めた理由をっていますか」
直は答えられなかった。
「庭のためだとっていました」
「違います」
即答だった。
「え?」
「奥様は、最初は仕事を続けるつもりでした」
直のが止まる。
「でも、あることが起きた」
「何ですか」
森田は言った。
「あなたの会社が倒産寸になった期です」
直は息をんだ。
。
会社を始めたばかりの頃。
確かに苦しい期があった。
から融資を断られた。
社員への料も危うかった。
直は毎だった。
だから覚えている。
美子が突然、
「仕事は辞める」
と言ったのことを。
あの。
直は救われたとった。
妻が庭を選んでくれた。
そうっていた。
しかし。
森田の話は違った。
「奥様は、版社の仕事を続けながら、あなたの会社を伝う方法を考えていました」
「でも」
「あなたがで抱え込んでいる姿を見て」
「自分が支えるべきだとった」
直は目を閉じた。
「それだけなら、まだ違います」
森田が続ける。
「問題は、そのです」
「何ですか」
「あなたが、奥様の名を使わずに企画を発表したことです」
直の胸が苦しくなった。
「俺は……」
「らなかったんですよね」
森田の声は責めていなかった。
「奥様は、自分の名より、あなたの会社が成功することを選びました」
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「でも」
「度だけ」
森田は言った。
「度だけ、彼女は悩んでいました」
「何を」
「自分のを、このまま誰にもられないまま終わらせていいのか」
その夜。
直は美子に写真を見せた。
「これは誰だ」
美子は写真を見る。
そして。
驚かなかった。
「森田さんね」
「っているのか」
「昔の仕事仲よ」
「なぜ言わなかった」
美子はし笑った。
「言う必がなかったから」
「必がない?」
直の声がしくなる。
「俺は何もらなかった」
「あなたがらなかったのは」
美子は静かに言った。
「私が言わなかったからだけじゃないわ」
直は黙る。
「あなたが聞かなかったからでもある」
その言葉に、直は反論できなかった。
「美子」
「何?」
「俺は、おを幸にしたのか」
美子はすぐには答えなかった。
窓のを見る。
「分からない」
「分からない?」
「って、そんな簡単じゃないから」
美子は続けた。
「私は娘とのを悔していない」
「あなたと族になったことも」
「でも」
瞬だけ。
声が揺れた。
「自分が何者だったのか、忘れそうになったことはある」
直はその言葉を聞いて、何も言えなかった。
数。
直は、偶然あることに気付いた。
美子がしい仕事を始めてから。
毎朝、かけるに鏡を見るがくなった。
を選ぶ。
髪をえる。
昔とは違う笑顔。
直はった。
妻は若返ったのではない。
戻ったのだ。
い、奥にしまっていた自分に。
ある夜。
美子の机のに、冊のノートが置かれていた。
直は見るつもりはなかった。