みかん小説
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"消された名前" 第10話

経営コンサルタントとして、いくつもの企業を担当していた。

製作所が成するきっかけになった、きな取引。

その話を持ってきたのも彼女だった。

「彼女は優秀でした」

佐伯さんは言った。

「社は、彼女の考え方に響されました」

「どんな考え方ですか?」

「会社をきくするなら、個を捨てること」

私は黙った。

その言葉。

妙に圭介らしいとった。

「でも、問題はそこではありません」

佐伯さんが続けた。

「当、会社にはつのがありました」

つ?」

つは、社と奥様が緒に経営する

「もうつは、社が完全に経営者として

私は契約を見る。

「美咲さんは者を勧めた」

「はい」

私は笑ってしまった。

「つまり」

「私は邪魔だったんですね」

佐伯さんはすぐ否定した。

「違います」

「でも、結果にはそうでしょう?」

誰も答えなかった。

そのの夜。

圭介に会った。

私は契約を置いた。

「これ」

圭介の顔が変わった。

「どこで……」

「質問に答えて」

「あなたは、これを私に見せなかった」

圭介は黙った。

「なぜ?」

い沈黙。

そして。

圭介は言った。

「由美」

「俺は、あの怖かった」

またその言葉。

怖かった。

でも。

私はもう、それを理由にはできなかった。

「何が?」

「君がいなくなったら、俺は成功できるのか」

「逆でしょう」

私は言った。

「あなたは、私がいるから怖かったんでしょう」

圭介は顔をげた。

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「だってそうでしょう?」

「私がいたら、あなたはってしまう」

「自分ではなかったこと」

「誰かに支えられていたこと」

「それを認めるのが怖かった」

圭介は何も言わなかった。

しばらくして。

彼はさく言った。

「美咲は、俺に言った」

「何を?」

「社になるなら、過を切りせって」

私は目を閉じた。

「それで?」

「俺は……」

圭介は苦しそうに笑った。

「それが正しいとった」

その瞬

私はしくなった。

りではなかった。

圭介は20

私を捨てたかったわけではない。

でも。

自分が成功するために。

私を消した。

その事実は変わらない。

「圭介」

「何?」

つだけ聞きたい」

「……」

「もし、あの

「私が会社に残っていたら」

「あなたは幸せだった?」

圭介は答えなかった。

でも。

しばらくして。

さな声で言った。

「分からない」

私は頷いた。

「そう」

「あなたは20から」

「自分でも分からないものを選び続けたんだね」

その

私は美咲さん本と会うことになった。

佐伯さんが連絡を取ってくれた。

会う

私はし緊張していた。

倫相としてではない。

私のから消えた20に関わったとして。

喫茶

美咲さんは静かにげた。

さん」

「初めまして」

私は彼女を見た。

20の写真とは違う。

でも。

目だけは覚えていた。

「謝罪ですか?」

私が聞くと。

美咲さんは首を振った。

「違います」

「私は、謝れるではありません」

な答えだった。

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「私はさんから何かを奪ったとっています」

「でも」

「本当に奪ったのは、私だけではありません」

美咲さんは枚の封筒をした。

「これは、社いたものです」

「20

私は受け取った。

「なぜ今まで?」

美咲さんは静かに言った。

「渡す勇気がなかったからです」

封筒には。

私の名

そして付。

会社から私がれた

私は震えるいた。

そこには。

圭介の字。

最初の

それだけで。

胸が苦しくなった。

『由美へ』

『俺は今、君の名を消した』

私は読むのを止めた。

美咲さんが言った。

「続きは、あなたが読むべきです」

私はを握った。

20

私のらないところで。

夫は何を考えていたのか。

ようやく。

その答えが目のにあった。

を読むのが怖かった。

20

圭介が何を考えていたのか。

りたくない気持ちもあった。

もし。

そこにがなかったら。

私は22、何を信じていたのか分からなくなる。

でも。

もう逃げることはできなかった。

『由美へ』

『今、君の名を会社の表からすことにした』

そこまで読んで。

私は度、目を閉じた。

でも。

続きを読んだ。

『本当は、こんなことをしたくない』

『君が番苦労したことを、俺はっている』

『誰よりもくで、俺が失敗する姿を見ていたのは君だった』

『だから、本当は君の名したかった』

私はを握った。

では。

なぜ?

なぜ消したのか。

『でも、俺は怖い』

『会社がきくなるほど』

『周りのが俺を見るようになるほど』

『俺は、自分が何者なのか分からなくなる』

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