みかん小説
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"消された名前" 第8話

昔なら。

このには、夕の準備を考えていた。

圭介は何に帰るだろう。

は疲れているだろうか。

何か好きなものを作ろうか。

そんなことばかり考えていた。

でも。

今は違う。

私は初めて、自分のためだけにを使っていた。

それなのに。

なぜかし寂しかった。

、誰かのためにきてきたは。

急に自由になると。

自由の使い方が分からない。

その夜。

娘の真央から連絡が来た。

「お母さん、今から会える?」

珍しいことだった。

真央はになってから、父親とのが増えていた。

圭介は娘に優しかった。

仕事では厳しいでも。

では良い父親だった。

私はそれを疑ったことがなかった。

だから。

真央が複雑な顔で座った

し嫌な予がした。

「何かあった?」

真央はコーヒーを見ながら言った。

「お父さんから聞いた」

「何を?」

「お母さんが、昔会社を伝ってたこと」

私は黙った。

「どうして今さら?」

真央は困ったように笑った。

「それ、私も聞きたい」

「お母さん」

「うん」

「なんで教えてくれなかったの?」

その質問に。

私はすぐ答えられなかった。

なぜなら。

自分でも分からなかったから。

「必なかったからかな」

そう言うと。

真央はった顔をした。

「必なかった?」

「だって、お母さんがいたから会社ができたんでしょう?」

私は首を横に振った。

「違うよ」

「会社を作ったのは、お父さん」

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「でも……」

「圭介は頑張った」

私は自然に夫をかばっていた。

そのことに気づいて。

し驚いた。

22

私はこうだった。

どれだけ傷ついても。

には夫を理解しようとしていた。

「お母さん」

真央がさな声で言った。

「お父さん、最ずっと昔のこと調べてる」

「会社の?」

「うん」

「でも、昨聞いた」

「お父さん、自分の部で言ってた」

私は顔をげた。

「何て?」

真央はし迷った。

そして。

「俺は、由美を守ったつもりだった」

「でも……」

番傷つけたのは俺かもしれない」

と言っていた。

その言葉を聞いて。

私はし複雑な気持ちになった。

嬉しくないわけではない。

でも。

遅すぎるともった。

は。

失ってから切さに気づく。

でも。

失うに気づけなかったことが。

本当の問題なのだとった。

私は佐伯さんから連絡を受けた。

さん」

「もうつ、見ていただきたいものがあります」

会社へくと。

今回は昔の会議へ案内された。

そこは今では使われていない部だった。

壁には古い計。

棚には昔の資料。

「ここは……」

「創業当、奥様が使っていた部です」

私は驚いた。

「私が?」

「はい」

佐伯さんは鍵をけた。

には。

古い机がつ。

引きしをける。

そこには。

私の名かれたノートが残っていた。

ページをく。

社員の名

取引先の報。

そして。

のページ。

そこには。

圭介の字があった。

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『由美へ』

私は息を止めた。

『いつか、この会社がきくなったら』

『必ず君の名を表にす』

『俺だけが成功したような顔は絶対にしない』

私はその文字を見つめた。

涙がそうになった。

これは。

今の圭介ではない。

20の圭介だった。

私がした

を語っていた

「じゃあ……」

私は呟いた。

「いつから変わったんですか」

佐伯さんは答えなかった。

でも。

しばらくして言った。

「きっかけがあります」

「何ですか?」

「ある女性が会社に関わるようになったです」

私は顔をげた。

「女性?」

佐伯さんは続けた。

「当、会社の経営を助けてくれるがいました」

「社は、そのからくの助言を受けました」

「その頃からです」

「社しずつ変わったのは」

私は黙った。

最初に浮かんだのは。

今の倫相だった。

でも。

佐伯さんは首を横に振った。

「今の女性ではありません」

「もっと昔です」

その夜。

私は圭介に聞いた。

「20

「会社に関わっていた女性って誰?」

話の向こう。

圭介はらかに揺した。

「誰から聞いた?」

その反応。

それだけで分だった。

「答えて」

い沈黙。

そして。

圭介は言った。

「由美には関係ない」

その瞬

私は笑ってしまった。

「関係ない?」

「私のから消えた20の話なのに?」

圭介は何も言わなかった。

私は続けた。

「あなたは昔からそう」

「私を守ると言いながら」

「私に何も選ばせなかった」

話を切った

私は初めてった。

この婚の原因は。

しい女性でも。

会社でもない。

もっとから始まっていた。

圭介が。

私をではなく。

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