みかん小説
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"消された名前" 第6話

『話したい』

私は画面を見る。

昔なら。

すぐ返信していた。

今は。

し考えた。

そして言だけ送った。

『今度は、何を隠しているの?』

数分

返事が来た。

たった文。

『由美には、らない方がいいことがある』

私はその文字を見つめた。

そしてった。

22

私は夫の秘密を守っていた。

でも。

夫は私から何を守っていたのだろう。

圭介から届いたメールを、私は何度も読み返した。

『由美には、らない方がいいことがある』

昔の私なら。

この言葉を見た瞬になっていた。

何かあったのか。

夫は丈夫なのか。

会社は問題ないのか。

私はいつも、圭介の言葉の裏側を考えていた。

でも。

今は違った。

つの疑問だけが残った。

なぜ。

私にはらされないことばかりなのか。

私は佐伯さんに連絡した。

「もう度、会社の資料を見せてもらえませんか」

佐伯さんはし迷った。

「本当にいいんですか?」

「何がですか?」

ってしまえば、昔には戻れません」

私はし笑った。

「もう戻れません」

婚した点で」

話の向こうで、佐伯さんは黙った。

そして。

「分かりました」

と答えた。

会社の資料

そこには、20の記録が残っていた。

今の会社から見れば。

古い過のもの。

でも私にとっては。

までらなかった自分のだった。

佐伯さんは冊のファイルをいた。

「これは正式な登記の資料です」

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そこには。

会社設の役割分担がかれていた。

代表。

圭介。

経理。

由美。

営業補佐。

由美。

商品企画。

由美。

私は言葉を失った。

「こんなに……」

自分でも驚くほど、さな声だった。

「私は、こんなに関わっていたんですか」

佐伯さんは静かに頷いた。

「奥様は、会社の半分を作っていました」

その言葉。

昔なら嬉しかったかもしれない。

でも今は。

胸が痛かった。

なぜなら。

私は半分を作ったではなく。

半分を消されただったから。

「どうして名を消したんですか」

私は聞いた。

佐伯さんはすぐには答えなかった。

「最初は、社の判断でした」

「最初は?」

その言葉が引っかかった。

「どういうですか」

佐伯さんは目を伏せた。

「途からは……」

「会社全体が、それを普通だとうようになりました」

私は黙った。

それが番苦しかった。

の悪なら。

まだ理解できる。

でも。

周囲がしずつ慣れていく。

誰も疑問にわなくなる。

そうやって。

を失っていく。

そのの帰り。

私は昔んでいたを通った。

もう私のではない。

圭介がんでいる

窓を見ると。

かりがついていた。

昔なら。

「帰ってきた」

っていた所。

今は。

「まだ、あそこに私のが残っている」

そんな気がした。

娘の真央から話が来た。

「お母さん」

「何?」

「本当に婚するの?」

私はし黙った。

「うん」

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真央はさく息を吐いた。

「お父さん、すごく悔してるみたい」

私は驚いた。

悔?」

「うん」

「最でもずっと昔の写真を見てる」

私は何も言えなかった。

「お父さん、昔のお母さんのこと……」

真央が言葉を止めた。

「何?」

「違う」

「やっぱり何でもない」

その反応で分かった。

娘も何かをっている。

「真央」

「なに?」

「あなたは、何かってるの?」

い沈黙。

そして。

娘は言った。

「……さい頃、度だけ聞いたことがある」

「何を?」

「お父さんが言ってた」

「この会社は、お母さんがいなかったら始まらなかったって」

私は目を閉じた。

「でも?」

「でも、その

真央の声がさくなった。

「お父さんは、その話を度としなくなった」

話を切った

私はけなかった。

娘までっていた。

でも。

誰も言わなかった。

私が傷つかないように?

違う。

たぶん。

みんなが困らないように。

その夜。

圭介が突然、私のマンションへ来た。

「どうしたの?」

「話したい」

私は玄関をけなかった。

「今まで何度も話す会はあったでしょう」

圭介は黙った。

「どうして今なの?」

「……怖かった」

その言葉に。

私はし驚いた。

「何が?」

「由美が、本当のことをるのが」

私は笑ってしまった。

「私が?」

「圭介」

番怖かったのは、私じゃないでしょう」

圭介は答えなかった。

しばらくして。

彼は言った。

「俺は、会社を守りたかった」

「違う」

私はすぐ言った。

「あなたは、自分を守りたかった」

圭介の顔が変わった。

「由美」

「20、あなたは会社じゃなくて」

「自分が成功しただとわれることを守った」

その瞬

圭介は初めて何も言えなくなった。

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