みかん小説
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"消された名前" 第4話

「じゃあ何?」

を置いて。

圭介は言った。

「俺は……違っていたかもしれない」

私は彼を見た。

22

聞きたかった言葉。

でも。

今聞いても。

昔と同じにはならなかった。

「圭介」

「何?」

「あなたは何を悔してるの?」

彼は答えられなかった。

その沈黙を見て。

私は分かった。

彼が失ったもの。

それは会社を支えてくれたではない。

自分を信じてくれただった。

そして私はまだらなかった。

この婚の裏には。

もうつ。

圭介が20隠していた秘密があることを。

さんと別れた帰り

私は、いつもと違うを歩いていた。

理由は分からなかった。

ただ。

昔の自分が歩いた所を、もう度見てみたかった。

さな喫茶

20、圭介と何度も話をした所。

会社をどうするか。

をどうするか。

社員をどう守るか。

あの頃の私たちは、毎だった。

でも。

議だった。

苦しかったはずなのに。

すのは、辛いことより笑っただった。

「いつか、この会社をきくしよう」

圭介はそう言った。

私は信じていた。

彼ではなく。

で作る未来を。

喫茶を通った

主の女性が私に気づいた。

「あら……」

私はち止まった。

「もしかして、さん?」

驚いた。

「私を覚えているんですか?」

女性は笑った。

「忘れるわけないでしょう」

「毎晩、閉ぎりぎりまでで会社の話をしていたじゃない」

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胸がし痛んだ。

その言葉が。

昔の自分には当たりだった。

でも今。

そのに、自分が含まれていたことを証するものは、ほとんど残っていない。

さん」

主はし迷ってから言った。

「ずっと聞きたかったことがあるの」

「何ですか?」

「どうして、あのから来なくなったの?」

私は首を傾げた。

「あの?」

「会社が正式にきくなった

「あなた、泣きながらここで言ったでしょう」

「これからは圭介さんがるからって」

私は息を止めた。

そんなことを言った記憶はある。

でも。

なぜ泣いていたのか。

今になって、しだけした。

嬉しかったからではない。

怖かったからだ。

に戻ると。

スマートフォンに通が届いていた。

圭介からだった。

『話したい』

私はしばらく画面を見た。

なら。

すぐに返事をしていた。

「どうしたの?」

「何かあった?」

そう聞いていた。

でも今は違った。

私は10分に返信した。

『どこで?』

圭介は以よくっていたレストランを選んだ。

結婚記に来た所。

娘がまれたにも来た所。

すぎる所だった。

「久しぶりだな」

圭介が言った。

私は頷いた。

「そうね」

会話が続かない。

昔なら、沈黙なんて気にならなかった。

今は。

沈黙そのものが、の距を表していた。

「由美」

圭介がいた。

「会社のこと、どこまでった?」

私は笑った。

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「やっぱり会社の話なんだ」

「違う」

圭介はすぐ否定した。

でも。

その反応が逆に答えだった。

「圭介」

「何?」

「あなたは、私が会社を伝っていたことを、いつからっていたの?」

彼は黙った。

数秒

「最初から」

私は目を閉じた。

分かっていた。

でも。

から聞くと違った。

「じゃあ、どうして?」

「どうして私を何もしていないみたいに扱ったの?」

圭介は苦しそうな顔をした。

「そんなつもりじゃなかった」

「じゃあ、どんなつもりだったの?」

答えはすぐには返ってこなかった。

「由美」

「昔、俺は何も持ってなかった」

「分かってる」

「君がいたから、俺は会社を続けられた」

「分かってる」

「でも……」

圭介は線を落とした。

「途から怖くなった」

な言葉だった。

「怖い?」

「俺が成功した理由を認めたら」

「俺は、自分では何もできなかったって認めることになる気がした」

私は何も言えなかった。

それは。

言い訳だった。

でも。

に。

らしいさでもあった。

「だから俺は」

圭介は続けた。

「社としてつために、過を切りした」

「私も?」

その質問に。

彼は答えなかった。

その沈黙が答えだった。

私は泣かなかった。

議だった。

20なら。

きっと泣いていた。

でも今は。

しいというより。

疲れていた。

22

私は夫に認められたかったのではない。

ただ。

緒に歩いたを、なかったことにされたくなかった。

佐伯さんから連絡が来た。

さん」

「もうつ、お渡ししたいものがあります」

会社へくと。

今度はさな箱が置かれていた。

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