みかん小説
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"消された名前" 第3話

私はさく笑った。

22

私は夫が帰ってくるを作っていた。

でも。

夫はいつから、このをただの所だとっていたのだろう。

その夜。

スマートフォンに通が届いた。

圭介からだった。

『話がしたい』

い文章。

私はしばらく見ていた。

そして返信した。

『何を?』

すぐに返事が来た。

『会社のこと』

胸がし痛んだ。

やっぱり。

彼が話したいのは私のことではない。

会社のことだった。

私は圭介と会った。

婚を決めてから、初めてで向かいった。

圭介は以より疲れて見えた。

「佐伯さんから聞いた?」

私は聞いた。

圭介の表が変わった。

「どこまで?」

その言葉で確信した。

彼は全部っていた。

「全部じゃない」

「でも、あなたがっていたことは分かった」

圭介は黙った。

「どうして?」

私は聞いた。

「どうして、私がいたことをなかったことにしたの?」

圭介はしばらく窓のを見ていた。

そして言った。

「由美」

「何?」

「君は、あの、自分で選んだだろ」

「何を?」

「俺のろにいることを」

その言葉。

私は忘れないとった。

なぜなら。

違ってはいなかったから。

私は確かに選んだ。

でも。

それは、消えることを選んだわけではない。

「圭介」

「……」

「あなたは、度でも私に聞いた?」

「本当にこれでいいのかって」

圭介は答えなかった。

その沈黙が、番苦しかった。

私は佐伯さんから枚の封筒を渡された。

「これは、ずっと保管していました」

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「何ですか?」

「本当は、社に渡すつもりでした」

封筒のには、枚の

そこには20付。

そして。

私の名

私は読み始めた。

読んだところで。

が止まった。

これは会社の資料ではなかった。

これは。

私が、圭介にも見せなかっただった。

私はそのを、すぐにはけなかった。

なぜなら。

そのを見ただけで分かった。

これは会社の過ではない。

私自の過だった。

20

まだ何も持っていなかった私たちが。

何を信じていたのか。

その答えが、そこに残っている気がした。

封筒の表には、さな文字でかれていた。

『圭介へ』

それだけだった。

私は息を止めた。

なぜなら。

このいた記憶がなかったからだ。

私はいつも、圭介に言葉で伝えていた。

に残す必なんてないとっていた。

夫婦だから。

分かっているとっていた。

でも。

20

私は気づいた。

分かっていたのは、私だけだったのかもしれない。

く。

そこには、若い頃の私の字があった。

『圭介へ』

『もし、この会社がきくなった

つだけ忘れないでほしいことがあります』

私はそこで読むのを止めた。

続きが怖かった。

でも。

読みめた。

『成功したに見えても、そのろには必ず誰かがいる』

『そのの名を、消さないでください』

胸が苦しくなった。

これは会社の話ではなかった。

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これは。

私自の願いだった。

私は会社を

に佐伯さんへ聞いた。

「圭介は、このを読んだことがありますか?」

佐伯さんはし迷って答えた。

「……あります」

「いつ?」

「会社が軌に乗った頃です」

私は笑った。

「そうですか」

涙はなかった。

もう驚くこともなかった。

圭介は忘れていたのではない。

最初からっていた。

それでも。

選んだのだ。

私の名を残さないことを。

そのの夜。

私は初めて、自分の過を調べ始めた。

会社の登記。

古い資料。

昔の取引先。

20、私は確かにそこにいた。

でも。

記録のほとんどから、私のは消えていた。

まるで。

最初からいなかったように。

私は会社の古い取引先の男性と会った。

は田さん。

昔、圭介が最初に契約した相だった。

さん」

さんは私を見るなり言った。

「やっと会えましたね」

その言葉に驚いた。

「私をっているんですか?」

さんは笑った。

っていますよ」

製作所が始まった番最初に話をくれたのはあなたです」

私は黙った。

「社は技術者でした」

「でも、会社を続ける方法を考えていたのは、あなたでした」

その言葉を聞いた瞬

私は初めてった。

もしかすると。

私が失ったものは、会社での位ではない。

自分自を認めるだったのかもしれない。

帰宅すると。

に圭介がいた。

「話がしたい」

私は鍵を握ったままち止まった。

「今度は何?」

圭介は苦しそうな顔をした。

「会社のことじゃない」

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