"靴磨きの少年と会長の時計" 第11話
融記者へ送られた匿名メールに記載されていたのは620億円だった。添付ファイルには浩用の透かしが残り、最初に部送信した端末は副社のパソコンと特定されている。
社取締役の1が資料をめくった。
「つまり、本当に密を部へ流していたのは副社側だったのですか」
「架空報を送った端末が副社にあったというだけです。誰かが私を陥れようとした能性もある」
「あなたは佐藤君に、同じ言い分を認めませんでしたね」
監査役の言葉に、浩は答えられなかった。
続いて、会議に表示された写真の鑑定結果が示された。
蓮がで封筒を受け取る画像は、3枚の別々の映像から作られていた。顔は本社ロビーの防犯映像、体は別、靴箱は森本靴磨の紹介記事から切り抜かれている。
加に使用された編集ファイルは、削除済みの領域から復元された。保所は副社のパソコンだった。
「そんなものはらない」
浩の声が初めてずった。
「誰でも私の部へ入れる。パソコンだって――」
「編集された、副社へ入ったのはあなた1です」
真理子が入退記録を置いた。
「パソコンには田浩名義のセキュリティーキーが差され、あなたの社用スマートフォンによる2段階認証も完しています」
偽造は写真だけではなかった。
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蓮の入館証は、事件の夜に警備の端末から複製されていた。操作したアカウントは岸のものだった。資料管理へ入った物の顔は子で隠れていたが、も歩き方も蓮とは違う。
同じ2318分、蓮は施設の消灯確認を受けていた。廊の防犯カメラには、野寺と話す姿が連続して映っている。
ロッカーから発見されたUSBメモリーから蓮の指紋はなかった。方、袋の内側から岸の指紋が検されている。
300万円を振り込んだコンサルティング会社も、浩と以から取引のある物が管理していた。振込夜のメッセージには、蓮の座番号とともに「朝6までに処理」と記されている。送信元は浩の社用端末だった。
「もう分だ!」
浩が机を叩いた。
「たかが靴磨きの1のために、会社を混乱させるつもりか。父さんは昔からそうだ。私が何をしても認めず、から来たばかり信用する」
健は息子をしばらく見つめた。
「おを信用しなかったのではない。会社を継ぐなら、のまで自分の具にしてはいけないと教え続けた」
「綺麗事で会社が守れるか」
「なくとも、18歳のに罪を着せなければ守れない位など、初めからおのものではない」
健は施設へ送られた助成止のメールと、蓮を襲った男たちの録音を再した。
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『副社は、ごと回収しろと言っている』
会議には男の声がはっきり響いた。コンビニの防犯映像との記録から、2が岸の部であることも確認されている。
浩に賛同していた取締役たちが、次々と資料を閉じた。
社取締役から、浩の代表権と副社職を即解く緊急議が提された。採決の結果、反対したのは浩本だけだった。
「そんな決議は認めない。私は創業のだぞ」
「今こので、創業かどうかは関係ありません」
監査役は静に告げた。
「田浩さん。あなたは本付で代表権を失い、副社職を解かれます。取締役からの解任についても、臨株主総会を招集します」
健は総務責任者へ目を向けた。
「田浩と岸隆史の入館証を止してください」
数、蓮を拒んだ入館ゲートが、今度は浩を拒むことになる。
岸は暴事件について警察から任同を求められ、その、懲戒解雇された。浩に対しても、盗聴、証拠の捏造、個報の正利用、への関与について刑事告発と損害賠償請求がわれた。
会議が終わると、健は蓮のにった。
「遅くなったが、ようやくおの名を返せる」
「まだ終わっていません」
蓮は浩がていったドアを見ながら答えた。
「僕を疑ったたちに、違いだったとらせてください。
施設の子どもたちが、僕と同じ目で見られないように」
「約束する」
都ホールディングスは、そののうちに社内へ調査結果を通した。