みかん小説
本棚

"靴磨きの少年と会長の時計" 第5話

防犯カメラにも映っているはずです」

「入館証を誰かに貸した能性は?」

「ありません。昨、退館するまで首からげていました。そのは施設の鍵付きロッカーに入れています」

「では、誰かが君の入館証を複製したと言いたいのか」

「記録だけでは、僕が入った証にはならないと言っています。入の映像を確認してください」

かの役員が顔を見わせた。

18歳のが怯えて謝罪すると予していたのだろう。蓮が刻と確認方法を具体に答えると、岸の元がわずかに固くなった。

を変えず、次の類を差しした。

「君名義の座へ、コンサルティング会社から300万円が振り込まれている。昨付だ」

見覚えのある座番号だった。臨補助員の報酬振込先として、事部へ提したものだ。

「この入りません」

「300万円を受け取って、らないで済むとうか」

「振込元と依頼を調べれば分かります。それに、僕が提した報を閲覧したも確認してください」

法務責任者が何か言おうとしたが、浩で制した。

「もちろん調査する。だが、これだけではない」

会議の照が落とされ、正面の型画面が点灯した。

最初に映ったのは、楽町駅くのだった。

画面ので、蓮によく似たがスーツ姿の男からい封筒を受け取っている。

広告

次の写真では、都ホールディングスの社名が入った類を渡していた。

顔も、も、普段使っている靴箱も同じだった。

あまりに精巧で、蓮自でさえ瞬言葉を失った。

「写真の元データを見せてください」

ようやくした声は、自分でも驚くほど落ち着いていた。

「撮と位置報、編集履歴を確認したいです」

「犯罪者ほど証拠に細かい注文をつけるものだ」

岸が吐き捨てた。

「疑いをかけるなら、検証できる状態でしてください。会にも同じ資料を見せたんですか」

子へく腰をろした。

「父は治療に専している。これ以、判断を誤らせるわけにはいかない」

その言葉を聞き、蓮はようやく理解した。

が連絡できないに入館証を止め、反論するを与えず、役員を集めて証拠を並べた。これは調査ではない。最初から結論の決まった公処刑だった。

がリモコンを押すと、画面の央に蓮の顔写真がきく表示された。

そのには、赤い文字で「報漏洩調査対象者」と記されている。

は集まった役員を見回し、静かに告げた。

「会特別補佐として招き入れられた佐藤蓮。その正体は、が社の密を売った産業スパイです」

第5話 捨てられた子を誰が信じる

会議に、いざわめきが広がった。

画面のは、蓮と同じ顔で類を渡している。

広告

300万円の入記録と、夜の入館履歴。さらに、本のロッカーから見つかったUSBメモリーまである。

1つなら疑う者もいただろう。しかし4つの証拠を度に並べられると、席者の線は急速にたくなった。

「違います」

蓮は子からがらなかった。ここで声を荒らげれば、浩が望む姿になる。

「写真の元データ、資料管理の防犯映像、入館証の複製履歴を確認してください。USBから僕の指紋もないはずです」

監査役の1いた。

「副社の言うとおり、まずデジタル鑑定を――」

「もちろんいます」

は即座に答えた。

「ただし、報はすでに部へ渡った能性があります。被害拡を防ぐため、柄を社内に置いたまま調査することはできません」

柄って、僕は犯罪者ではありません」

「まだ、な」

岸が吐き捨てるように言った。

真理子は末席でを握りしめていた。何度か浩へ声をかけようとしたが、隣に座った法務部員が類を差しすたびに会を失っている。

は別のファイルをいた。

々も、なぜ君がこんなことをしたのか考えた。そこで事資料を確認した」

画面が切り替わり、児童相談所の記録が表示された。

5歳で母親と別。里親委託は3度解除。現は児童養護施設で活し、学に必な資もない。

蓮の指先がたくなった。

昨夜届いた脅迫状と同じ内容だった。

「その記録は、この件と関係ありません」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: