みかん小説
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"身代わりの爪痕" 第12話

そして、そのにあった分い茶封筒。

志乃が封筒から類を引きし、スマートフォンのを当てた瞬臓が凍りついた。

それは、命保険会社の証だった。

『被保険者:神 志乃』 『保険受取:神 拓真』 『保険額:千万円』

特約事項の欄には、赤ペンで几帳面にアンダーラインが引かれていた。 《自宅内における慮の事故による溺、または急性全の、保険は満額支払われるものとする》

そして、保険証にクリップで留められていた枚のメモ用。 そこには、拓真の几帳面な跡で、未来の付が記されていた。

入浴ノ事故トシテ処理予定』

から、ちょうど付だった。

血の気が完全に引き、志乃のから類が滑り落ちそうになった、そのだった。

パチリ。

かりが、眩いばかりに点灯した。

「……夜分にだね、志乃」

斎の入りに、ネイビーのシルクのバスローブを羽織った拓真がっていた。 そのには、湯気をてるいマグカップが握られていた。

斎の入りつ拓真の元には、廊たいが広がっていた。

パジャマ姿の志乃のには、千万円の命保険証と、眠導入剤のシートが握りしめられていた。 隠しようのない決定な証拠。だが、拓真の端正な顔ちには、りも焦りも浮かんでいなかった。

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彼はただ、壊れた化製品を眺める技術者のような、淡で無質な目をしていた。

「夜分にだね、志乃」

拓真は湯気をてるマグカップを持ったまま、ゆっくりと部へと歩みをめてきた。 歩、また歩と距が縮まるたびに、靴底が擦れる静かな音が絨毯に吸い込まれていく。

「鍵をけたのは、ヘアピンかい? そんな器用な真似ができるなんてらなかったよ」

「……拓真さん、これは……何なの?」

志乃は掠れた声を絞りした。ずさりしようとしたが、背はすでにい本棚にぶつかっていた。逃げはどこにもない。

「何って、見れば分かるだろう。君の万がに備えた保険だよ」

に……私が浴で事故する予定って、いてあるわ。美加さんのも、こうやって……」

「美加」という名にした瞬、拓真の元の笑みがすっと消えた。 眉ひとつかさず、彼はただ志乃の瞳を覗き込んできた。

「君は、余計なことばかりってしまうね。里帆さんと同じだ。……せっかく、あんな儘な姉と違って、従順で扱いやすい娘だとっていたのに」

拓真のから紡ぎされる言葉には、妻へのの欠片すら残っていなかった。

「母さんから百万円の借の話を聞いたかい? かったよ。君のような、文句も言えず、親の顔を窺ってきることしかできない女を買い取るには、実に頃な値段だった」

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「私を……最初から殺すつもりで?」

「まさか。最初はちゃんと妻として飼ってあげるつもりだったさ。美加が使っていたあのブレスレットをつけて、僕の言う通りにきてくれれば、何自由ない暮らしをさせてあげたんだ」

拓真はマグカップを持ちげ、志乃の顔のに突きした。 甘いミルクの匂いに混じって、わずかに苦い薬品の匂いが漂ってくる。

「けれど、君は僕のルールを破った。浴の鍵を調べ、過を嗅ぎ回り、僕の庫をけた。……壊れてしまった玩具を、いつまでも元に置いておく趣はないんだよ」

拓真のが、素く志乃の顎を掴んだ。 鉄万力のような力で顎を固定され、志乃のが無理やりこじけられそうになる。

「予定よりくなったけれど、構わない。今夜、このホットミルクを全部んで、静かに湯に沈みなさい。そうすれば君の母親の借も、神の名誉も、すべて丸く収まるんだから」

拓真の瞳に宿る狂気が、志乃の界を埋め尽くした。 抵抗できずにんでいった美加の姿が、脳裏をよぎる。

殺される。 この男の都のいい形として、たいで息絶える。

――絶対に、嫌だ。

志乃は全の力を腕に込め、拓真の首をからげた。

バシャリ、とい液体が宙をった。 沸騰寸のホットミルクが、拓真の胸元と顎のあたりへ容赦なくり注ぐ。

っ……!?」

拓真がく呻き、顔を押さえてたじろいだ。

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