"留守番を命じられた妻" 第11話
浩司は髭も剃らず、数よりひどく老けて見えた。子はあせたコートを着て、膝のでを握りしめている。優は浩司かられた端の席に座り、度も彼の顔を見ようとしなかった。
川先はテーブルへ婚協議と請求を並べた。
「浩司さんへの請求は、計1000万円です」
浩司はを掴み、額を見た瞬にちがった。
「1000万円? そんな、払えるわけがないだろ! 俺は会社までクビになったんだぞ!」
「私のほうこそ、どうしてくれるんですか!」
優が突然、浩司へ声をげた。
「も貯もあって、婚すればすぐ結婚できると言いましたよね。会社では次の契約も正社員登用も任せろって。それなのに全部嘘だったじゃないですか」
「おが子どもを武器にを用しろと迫ったんだろ!」
「浩司、優さんを鳴らないで。お腹にはの跡取りがいるのよ」
子がを挟むと、優はたい目を向けた。
「私はもう、このと結婚するつもりはありません。それに、あなたの面倒を見る約束もしていません」
「そんな……孫と緒に暮らせるって言ったじゃない」
「広いとおがあると聞いていたからです」
3は私の目ので責任を押しつけった。しまで、私だけを除いたしい族として温泉旅を楽しんでいたたちだ。とカードと会社を失った途端、その族は跡形もなく崩れていた。
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「貞為に対する慰謝料、族カードで正に使用した180万円、偽造類による産詐取未遂、精神損害、弁護士費用を含む解決です。しないは、民事訴訟と刑事告訴をめます」
川先の声は静かだったが、逃げは残されていなかった。
「こちらには司法士の証言、送信履歴、偽造された委任状、本の録音があります。裁判になれば、さらに利になるでしょう」
「由美子、夫婦だったんだぞ。しくらいけをかけてくれてもいいだろ」
浩司が私を見た。
「夫婦だったから、15待ちました」
私は答えた。
「あなたが度でも私を族として扱ってくれるのを待ちました。でもあなたは、私のでをばせ、父のを盗み、最には私をの子どもの政婦にしようとした。それでもりず、親戚を集めて私を病に仕てたんです」
浩司は何も言い返せなかった。
優に対しては、別に300万円の慰謝料請求が用されていた。
「私も払うんですか? 私だって浩司さんに騙されていたんです」
「既婚者だとりながら関係を続け、奥様へ直接退を求めています。あなた自のメッセージも残っています」
川先が画面の写しを示すと、優は唇を噛んで俯いた。
突然、子が子から滑り落ちるようにして私の元へ膝をついた。
「由美子さん、お願い。
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を買い戻してちょうだい。私たち、本当にくところがないの。あなたが戻ってくれれば、優さんとは別れさせるし、もう事もさせないから」
「戻ったら、今度は温かい噌汁を残してくれますか?」
子は顔をげ、何度も頷いた。
「もちろんよ。私が作るわ。だからお願い」
「もう遅いんです」
私は子のを静かにした。
「が狭いから、あなたは留守番ね。族入らずで楽しんでくるから。あの、あなたはそう言いましたね」
子の顔が固まった。
「私は望みどおり、あなたたちの族かられました。これからは本当の族だけで、好きなようにきてください」
川先は、浩司が支払いを逃れられないよう、公正証を作成し、今の与や預を差し押さえられる条件を提示した。浩司には、所しているを売却し、残額を分割で支払うしか残されていない。
い沈黙のあと、浩司はペンを取った。婚協議、1000万円の支払い、接触禁止の誓約。その枚ずつに、震えるで名をいた。
優も300万円の請求へ応じ、今切私へ連絡しないと署名した。子には、処分した物品やに関して請求しないという確認が渡された。
すべての署名が終わり、私がちがると、背から浩司の声が聞こえた。
「由美子、俺はどこで違えたんだろうな」
私は振り返らなかった。
「違えたんじゃありません。最初から、私をとして見ていなかっただけです」