"「中卒は留守番してろ」と空港に置き去りにされた私――数時間後、高級旅館の女将が上司だけを追い返した" 第1話
第1話 卒のは黙っていろ
「卒のが、会議で勝にを挟むな」
国内商品企画部の会議で、内雅部の声が響いた。
入社して4かの野澪は、きかけた資料を静かに閉じた。机の向こうでは、先輩たちが目を伏せている。誰も内と線をわせようとしなかった。
議題は、富裕層向け陸ツアーの再設計だった。事と移のがかみわず、予定されていた茶散策も30分しか取れない。このままでは、旅を楽しむどころか、客をバスからろしては急かすだけになる。
「ですが、2目の昼を温泉へ移せば、移が1回減ります。旅館の滞も延ばせますし、帰りの便にも余裕ができます」
澪が説すると、内はで笑った。
「現をらないほど、机のでは簡単に言えるんだ。おは最終学歴が学卒業だったな。旅企画を学のと緒にするな」
「受入先の営業と型両の入経は確認しました。昼会にも仮押さえが能だと回答をいただいています」
澪は声を荒らげず、調査結果を画面に映した。変更の程表には、移距、休憩、事提供に必なまで記載してある。
それまで黙っていた営業部の担当者がを乗りした。
「これなら先方の望を全部残せます。野さん、この案を今に送ってもらえますか」
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「はい。確認用の資料もまとめます」
会議が終わると、内は澪だけを廊へ呼びした。の気配が消えたところで、い声を落とす。
「俺より先に答えるなと言ったはずだ」
「質問を受けたので、確認した内容をお伝えしました」
「それをしゃばっていると言うんだ。資格を1つ取った程度で、自分が認められたとうなよ」
澪は22歳で、最終学歴は学卒業だった。しかし、働きながら独学を続け、国内旅業務取扱管理者の試験に格している。その資格と宿泊施設での実務経験を評価され、都トラベルに途採用された。
内にとっては、資格も経験も関係なかった。彼がにするのは、いつも学歴だけだった。
「分かりました。次からは発言に確認します」
澪がをげると、内は満そうにっていった。
そのの夕方、営業部へ提された企画を見た澪は、作成者欄が「内雅」にき換えられていることに気づいた。程も説文も、澪が作ったものとほとんど同じだった。
ただし、原本はすでに共サーバーへ保してある。誰が、いつ、どこをき換えたのか、更履歴を見れば分かる状態だった。
澪は何も言わず、提版も自分の作業フォルダーへ保した。
隣の席から、篠原真由が声で話しかけてきた。
「あれ、澪が作った企画でしょう」
「内容が採用されたなら、今はそれでいいです」
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「よくないよ。にもあったでしょう」
「分かっています。だから記録は残しています」
澪が画面の更履歴を示すと、篠原はし驚いたあと、堵したように息をついた。
「黙って耐えているだけじゃなかったんだ」
「仕事の注と、越えてはいけないことは分けたいので」
翌週の部署会議で、内はしい資料を机に放った。
「来の部内研修は、宿泊商品の察を兼ねる。幹事は野、おがやれ」
対象は企画部員10。航空券、移両、事、察先との調に加え、しい級宿泊商品の提案まで求められていた。入社4かの社員に任せる仕事としては、らかにい。
「承しました。希望する域や施設はありますか」
「それを考えるのが幹事だろう。失敗したら、試用期の評価にもかせてもらう」
内が笑うと、何かがそうに澪を見た。
会議の終わり際、若社員が冗談半分に言った。
「どうせなら、度でいいから祥館に泊まってみたいですよね」
川県のあいにある祥館は、予約が取りにくいことでられる老舗旅館だった。般客の予約は半先まで埋まり、旅会社からの察依頼もほとんど受けない。
内が声をげて笑った。
「俺が何交渉しても断られた宿だぞ。野に取れるわけがない」
澪は祥館の名が印刷された資料を見つめ、それから静かに顔をげた。
「旅会社向けの察枠でしたら、能性はあります」