"仕送り10万円の行方" 第1話
「さすがに毎お茶漬けは体に悪いわよ」
久しぶりに帰った実で、私は蔵庫の扉をけたまま呆然としていた。に入っていたのは卵が2つと漬物、それに半分ほど残った牛乳くらいで、とても暮らしの男性が毎まともに事をしているとはえなかった。
父は気まずそうにをかいた。
「まあ、だと作るのも面倒だからな」
「でも毎は駄目よ。仕送り10万円じゃりないの?」
何気なく尋ねたつもりだった。
ところが、父はぽかんとした顔で私を見た。
「仕送り?」
その表を見た瞬、胸の奥に妙なたさがった。
「何の話をしてるんだ?」
父は本当に分からないという顔をしていた。
私は笑おうとしたが、うまく角ががらなかった。
「毎送ってるじゃない。お父さんの座に10万円ずつ」
「……美幸」
父の声がくなる。
「俺は、おからなんてもらってないぞ」
その言葉を聞くまで。
私は自分の結婚活にの満はあっても、まさか族のに自分を騙しているがいるとは考えたこともなかった。
私の名は平松美幸、32歳。
夫の武志とは5に結婚した。都内の塗料卸会社で正社員として働き、夫婦共働きで活している。
武志そのものには、きな満はなかった。
問題は、義母の広美だった。
「嫁が事をしないなんて信じられないわ」
結婚の挨拶の席から、義母は私が仕事を続けることに骨な満を示していた。
広告
義父は保険会社の社を務めており、私の勤務先とも取引があった。そのため以から私の顔をっていて、結婚の挨拶でも穏やかに迎えてくれた。
「美幸さんならだ。仕事も続けたらいい」
義父がそう言ってくれた、私は胸を撫でろした。
ところが、その隣に座っていた義母は眉をひそめた。
「結婚も働くの?」
「はい。そのつもりです」
「じゃあ事は誰がするの?」
「2で協力します」
私が答えるに義父がそう言った。
武志もさく頷く。
「俺もそのつもりだよ」
すると義母は声を荒らげた。
「駄目よ。事は嫁がするものでしょう? 何のために結婚するのよ」
そのの空気が凍った。
私は反論しなかった。
義母とはこれからい付きいになる。最初から関係を壊したくなかった。
しかし義母は、私が黙ったことで調子に乗ったらしい。
「美幸さんのお母様は、あなたにどういう教育をしたのかしらね」
その言だけは許せなかった。
母は私が若い頃にくなっている。
父とは仲の良い夫婦だった。休には父も洗濯や掃除を伝い、母だけに事を押しつけるような庭ではなかった。
私がをくよりく、義父がい声をした。
「広美。美幸さんに謝りなさい」
「私は別に――」
「謝れ」
いつも穏やかな義父の声が変わった。
義母はようやく満そうにをげた。
広告
そのは何とか収まったものの、それが私と義母の関係の始まりだった。
結婚も嫌は続いた。
婚旅から帰った翌、産のチーズケーキを持って義実を訪ねたのことだ。
義母は玄関では笑顔で受け取ったのに、私が茶を入れるよう頼まれると、
「これくらいはできるわよね」
とわざわざ付け加えた。
私がキッチンで準備しているには、リビングから義母の声が聞こえた。
「武志、本当に丈夫なの? 何もしない嫁なんでしょう?」
「だから事は2でやってるって」
「お母さんは配なのよ」
「もうその話はいいだろ」
義父まで注してくれていた。
私は聞こえなかったふりをして茶を運んだ。
それでも義母は変わらなかった。
そして結婚から約1か。
仕事を終えて帰宅すると、誰もいないはずの部にかりがついていた。
「武志?」
玄関をけた私に返ってきたのは、夫ではない声だった。
「お帰りなさい」
リビングから現れたのは義母だった。
「……お母さん?」
私はわずち止まった。
「どうやって入ったんですか?」
義母は得げにキーケースを持ちげた。
「鍵よ。武志にもらったの」
その瞬から、私は自分ののにいても、完全にはできなくなった。
義母は私の留守に勝にへ入り、洗濯物を畳み、キッチンを確認していた。
「洗濯物が溜まっていたわよ」
「帰ってからするつもりでした」
「共働きって変ねえ。