みかん小説
本棚

"夫の赴任先にいた「妻」" 第4話

同居活が始まると、私が予していたことのほとんどが現実になった。

朝6に起き、朝を作り、洗濯を回し、義母の着替えを伝う。通院のにはし、リハビリの予定を確認し、帰宅すれば昼を用する。

には掃除と買い物があり、夕方から夕の準備が始まる。

介護だけなら、まだ耐えられた。

恵子さんは自分でできることを増やそうと努力し、私が忙しそうにしているとだけで洗濯物を畳もうとしてくれた。何度「座っていてください」と言っても、「しでも美玲さんを休ませたいの」と笑う。

私がつらかったのは、正隆さんだった。

退職してにいるにもかかわらず、事も介護もほとんどしない。

「美玲さん、昼飯はまだか」

義母をトイレへ連れてこうとしているでも、平気で声をかけてくる。

「今、お母さんの介助なのでし待ってください」

そう答えると、「際が悪いから全部遅くなるんだ」と嫌になる。

事にも細かく文句をつけた。

「最、煮物ばかりじゃないか」

「今は焼き魚もありますよ」

「専業主婦になったんだから、もうの込んだものを作ったらどうだ」

の私は、広告の企画を作り、客先でプレゼンをし、何百万円という案件のを任されていた。

それが今は、義父から「噌汁の具がない」と叱られている。

広告

自分で選んだことだとおうとしても、折どうしようもなく惨めになった。

も最初のうちは気を遣っていた。

しかし1かもしないうちに、それすらなくなった。

「今はお呂掃除だけお願いできない?」

仕事から帰宅した夫に頼んだことがある。

はスーツの着を脱ぎながら、骨に嫌そうな顔をした。

「俺、働いて帰ってきたんだけど」

「私も朝からずっといてるわ」

「でも美玲は専業主婦だろ。介護も含めてにいるのが今の仕事じゃないの?」

その言葉に、私はしばらく返事ができなかった。

私を専業主婦にしたのは誰なのか。

そもそも私は望んで仕事を辞めたのか。

問い返しても、隼は理解しようとしなかった。

「母さんの介護が変なのは分かるよ。でも介護2だろ? 寝たきりでもないんだから、そこまで変じゃないよな」

その発言をで恵子さんが聞いた、初めて息子へった。

「だったら隼やってみなさい」

「俺は仕事があるよ」

「仕事と介護を両できないなら、美玲さんに事まで完璧にやれなんて言う資格はないでしょう」

は黙った。

正隆さんまで「母親が嫁の肩を持ってどうする」と満を漏らしたが、恵子さんはそのからし変わった。

それまで病気になった罪悪から夫や息子へく言えずにいたが、私が責められるたびに声をげるようになった。

広告

「美玲さんは分やってくれてるわ」

「文句があるなら自分でやりなさい」

義母が方になってくれたことで、私はかろうじてこので暮らし続けられた。

しかし同居から半ほど経った、別の問題が起きた。

買い物から帰ると、恵子さんがリビングのソファーでぐったりしていた。

が悪く、額には汗がにじんでいる。

「お母さん!」

慌てて駆け寄ると、軽い症を起こしていた。

幸い分を取らせて体をやすと回復したが、私が許せなかったのは、同じ部に正隆さんがいたことだった。

「お父さん、気づかなかったんですか?」

「何に?」

「お母さんがこんな状態だったんですよ」

正隆さんはテレビから目をし、面倒そうに言った。

「具が悪そうなのはっていたよ。でも俺は何をしろとも言われてない」

を疑った。

を渡すとか、私に連絡するとか、できますよね?」

「買い物へたのは美玲さんだろう。母さんを置いてかけた方が悪いんじゃないか?」

その夜、私は初めて本気で怖くなった。

もし私がに恵子さんが転倒しても、正隆さんは「頼まれていない」と放置するのではないか。

そこで義母と相談し、彼女の部へ見守りカメラを設置することにした。

転倒などが起きたに、先からスマートフォンで確認できる簡単なものだった。

正隆さんは最初こそ「監されてるみたいで嫌だ」

と反対したが、設置所を恵子さんの部だけに限定することで渋々認めた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: