"消えた神童、10年後の手紙" 第2話
駐所の扉を叩くと、名巡査部がてきた。
55歳、髪交じりの穏やかな男だった。まだ寝巻きのに制の着を羽織ったような姿で、息を切らしてつゆみ子を見ると表を変えた。
「どうなさったんです」
ゆみ子は自転のハンドルを握ったまま答えた。
「うちのと、陸がおらんのです」
をしたら、そのにっていられなくなるような気がしていた。
名はへ入れると、茶をそうとして途でやめた。代わりにとボールペンを持ってきた。
「昨の晩、最に見たのは何です?」
「9半です。私が仕事にるには2ともにいました」
「は?」
「ありません。いバンです」
名は最初から事件だと考えたわけではなかった。
この町では、父親と息子が朝から釣りやサッカーの用事でかけ、夕方まで戻らないこともある。携帯話が今ほど子供までき渡っていた代でもなかった。
しかし、ゆみ子がスパイクのことを話した、名のが止まった。
「スパイクがない?」
「毎晩、あのが入れしとるんです。玄関の聞のに置いてあるんですけど、そこが空で……」
名は制のボタンを留めた。
「署へ連絡します」
そののうちに町はいた。
曜は団の練習だったが、集まってきた子供たちは練習を止して帰された。代わりに父親たちがをし、川の流、、隣町の親戚のまで分けして探した。
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商の気を営む野はシャッターを半分閉めたまま、団の名簿をから順に話した。
誰も陸を見ていなかった。
夕方になると、剛と同じで働く浦誠が駐所へやってきた。
41歳。
剛とはい付きいで、息子の太も陸と同じ団にいた。
浦は名ので両を膝に置き、俯きながら言った。
「剛、この1かばかり変やったんです」
「変というのは?」
「休憩もをきかんようになって。夜勤の帰りに、のでぼんやりしとることもありました」
浦はの問題ではないかとも話した。
で借があったらしい。
保証になったという話も聞いた。
団の征費もかかる。
そんな言葉がしずつ周囲へ広がっていった。
県警からも刑事が入った。
そのに、27歳の直がいた。
刑事になってまだ2目だった。
の話を聞くに質問をねすぎて、先輩から「相に答えを言わせるな」と注されることもあった。
は最初の、の玄関へくっていた。
たたきの隅に聞が敷かれている。そのだけ、スパイクの形にの跡がく残っていた。
物置も確認した。
子供用の具や古い靴が詰め込まれた段ボール箱があり、蓋が半分いたままになっていた。
だが、このは誰もその箱をしなかった。
2の1016。
町かられた沿いのさな岸壁で、いバンが発見された。
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同じ所に2止まったままだったため、審にった元の漁師が通報したのだ。
はへ向けてめられていた。
鍵は差したまま。
ガソリンはほとんど残っていなかった。
運転席には、のついた剛の作業が丁寧に畳んで置かれていた。
財布と免許証も内にあった。
財布には現が8000円ほど入っていた。
そして助席の元に、子供用のスパイクが片方だけ落ちていた。
用だった。
敷には、黒いマジックでかれた文字がある。
陸。
確認のため署へ呼ばれたゆみ子は、透な袋越しにその靴を見た瞬、膝から崩れた。
女性警察官が両脇から支えた。
そのからの捜索が始まった。
保関係者、消防団、元の漁、潜士までがた。岸壁のだけでなく、潮の流れを考えながら岸線まで広範囲に探した。
何経っても、何も見つからなかった。
11に入ると向きが変わり、は荒れ始めた。
捜索の規模は縮された。
その頃、町のでは1つの筋きが来がりつつあった。
剛はに困っていた。
精神に追い詰められていた。
そして息子を連れてへった。
「子供まで連れていかんでもよかったのにな」
誰が最初に言ったのか分からない。
商。
病院の待。
田んぼの畦。
しずつ形を持った噂が町全体へ染み込んでいった。
警察の見ても、次第にその方向へ傾いていった。