"消えた妻と13本のテープ" 第8話
同に、自分の声をカセットテープへ残した。
警察へ提する勇気はなく、捨てることもできなかった。誰かが自分のに見つけることを、のどこかで期待していたのだろう。
それは告発ではなく、懺悔だった。
川井は千鶴を直接傷つけた犯ではない。しかし、真実をりながら13黙り、捜査が誤った方向へむのを止めなかった。
川井の沈黙によって、武夫は罰を受けないまま再婚し、11きた。
栞は、母親に捨てられた娘として成した。
川井が守ったのは、本当に栞だったのか。それとも、自分自だったのか。
その答えをる本は、もうこの世にいなかった。
千鶴の葬儀は、2010のに静かに営まれた。
祭壇には、若い頃の千鶴の写真が飾られた。栞の入学式で撮されたもので、千鶴のには、ため池から見つかったものと同じの指輪がっている。
黒く変した指輪そのものも、さな箱に収められ、写真のへ置かれた。
栞は祭壇のへ座り、いかなかった。参列した所の々が声をかけても、をげるだけで言葉を返せなかった。
母親が戻ったというのに、抱き締める体はない。
真実が分かったというのに、問い詰める父親も、答えを聞く元担任もいない。
武夫の再婚相は、葬儀へ席しなかった。彼女は夫の過をらなかったと話し、警察の聴取にも協力していた。
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栞は継母を責めなかった。武夫が千鶴を裏切り、過を隠して再婚したのであれば、彼女もまた嘘をつかれていた1だからだ。
葬儀の、担当刑事は栞へ捜査結果を説した。
武夫が千鶴を待ち伏せし、でため池へ向かった能性が極めていこと。常連客に虚偽のアリバイを頼んだこと。3届けを遅らせたこと。
ただし武夫がしているため、刑事裁判で事実を確定することはできない。法廷で証が尋問され、武夫本の言葉を聞く会もない。
栞は説を聞き終えると、1つだけ尋ねた。
「川井先は、なぜ13も何も言わなかったのでしょうか?」
刑事はすぐに答えられなかった。
「お母様のを持っていたため、疑われることを恐れたのかもしれません。あなたを守りたいという気持ちも、あったのだといます」
「私は守られたのでしょうか」
刑事は黙った。
栞は母親が自分を捨てたといながら成した。父親の言葉を完全には信じられず、それでも反論する証拠も持てなかった。
学では「母親に逃げられた子」とで言われた。母親を信じたい気持ちをにすれば、現実を受け入れられない子だとわれた。
川井がい段階で証言していれば、千鶴が見つかった保証はない。それでも捜査は武夫のを詳しく調べ、虚偽のアリバイも崩せたかもしれない。
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「守るつもりなら、真実を話してほしかったです」
栞は静かに言った。
「私が子どもだったからといって、嘘のできさせていい理由にはなりません」
刑事はをげた。
警察にも責任がなかったとは言えない。武夫の「初恋の相と逃げた」という説をい段階で受け入れ、届けが3遅れた理由をく追及しなかった。
夫のアリバイについても、の伝票や入刻を分確認せず、の証言だけで成したと判断していた。
千鶴は自分からをた成女性として扱われ、庭内で置かれていた状況は調べられなかった。
複数のがしずつ目をそらした結果、真実は13、ため池ののへ沈んだ。
葬儀を終えた栞は、川井の遺品から見つかった母親のを引き取った。
そのに、栞がまれた直にかれた1通があった。
《先へ。娘がまれました。栞と名づけました。この子だけは、誰かの顔を見てきるにしたくありません》
栞はその文章を何度も読み返した。
母親は自分を置いて逃げたのではなかった。
最まで、栞のことを考えていた。
13かかって、ようやくその事実だけは取り戻すことができた。
警察が13本のテープを返却する、栞は最の2009の録音を聞くことを希望した。
古い再が用され、刑事のち会いのもと、カセットテープが回り始めた。
最初に、ラジオ番組の司会者の声が流れた。