"消えた妻と13本のテープ" 第7話
千鶴は事故で池に転落したのではない。
池へ入るに、すでに命を奪われていた能性がかった。
警察は池周辺の古い状況を調べ、1997当の両記録も確認した。武夫は物の配達に使用する型トラックを所していた。
その荷台には、具や肥料袋を運ぶための防シートが常備されていた。事件にを洗った記録などは残っていないが、居酒へ現れた、袖にがついていたという証言がある。
午7過ぎ、武夫は喫茶ので千鶴を待ち伏せした。
夫婦は論となり、武夫は千鶴をへ乗せた。をり、気のないため池付へ向かった。
そこで何が起きたのかを目撃した者はいない。
ただ、武夫は午9過ぎにをつけた状態で居酒へ現れ、友へアリバイ作りを頼んだ。
その、妻が戻らなくても3届けず、防犯映像がきされるまで待った。
偶然がなったとは考えにくかった。
それでも、武夫はすでにくなっている。刑事責任を問う法廷がかれることはなかった。
事件は、被疑者のまま類の結論を迎えようとしていた。
だが、栞にはどうしても納得できないことが残っていた。
母親を直接傷つけたのが武夫だったとしても、川井はその夜、夫が待ち伏せしていることをっていた。
なぜ川井は警察へ話さなかったのか。
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なぜ13、ラジオとはがきとカセットテープのでしか告できなかったのか。
警察は、川井が沈黙した理由をらかにするため、彼の元同僚や親族へ改めて話を聞いた。
元同僚によれば、川井は千鶴の失踪直から、ひどく怯えていたという。
「が何かを防げなかった、どうすれば償えるのだろう」
職員の集まりで酒をんだ、突然そんなことを呟いたことがあった。
川井の縁にあたる男性は、1997の末、川井がへ泊まりに来たのことを覚えていた。真夜、川井は庭へて、暗いの方を見つめていた。
声をかけると、「見たことを話せば、あの子の娘まで壊れる」と答えたという。
当の栞は9歳だった。
武夫が母親を傷つけた疑いがらかになれば、栞は母親だけでなく父親も同に失う。川井はそれを恐れ、警察へ話せなかった能性がある。
しかし、その考えは栞を守るというより、川井自が真実と向きうことから逃げるための理由にもなっていた。
1997のテープには、別の告が入っていた。
《千鶴は、助けてほしいとは言わなかった。ただ、先ならどうしますかと尋ねた》
《私は、娘のためにもへ戻って、夫婦でよく話しいなさいと言った》
川井は教師としてくの庭を見てきた。それでも当は、夫婦の問題へが介入するべきではないという考えを捨てきれなかった。
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千鶴が震えながら夫を怖いと話しても、警察や支援関へ相談するよう勧めなかった。娘のために庭を壊すべきではないと考え、へ戻るよう説得した。
喫茶をた、向かいの暗いに武夫がっていた。
川井は、武夫が千鶴を尾していることに気づいた。しかし千鶴へらせれば、そので夫婦喧嘩になるとい、何も言わなかった。
武夫が千鶴の腕をつかみ、の方へ連れていく姿も見た。
止めようとえば止められた。せめての番号や向かった方角を記録し、すぐ警察へ連絡することもできた。
それでも川井はかなかった。
「夫婦の問題だ」
自分へそう言い聞かせ、反対方向へ歩いた。
翌、千鶴が戻っていないとっても、武夫の報復を恐れた。自分が千鶴と会っていたことを話せば、適切な関係を疑われるとも考えた。
川井のには、結婚の千鶴から届いたくのが残されていた。武夫がそれをれば、川井が妻をそそのかしたと責める能性があった。
教師としての名誉を守りたい気持ちもあったのだろう。
度黙ると、翌はさらに話しにくくなった。警察がの能性を発表し、武夫のアリバイが成すると、川井はますますをけなくなった。
1が過ぎ、2が過ぎた。
真実を話す会は、が経つほどざかった。
川井は毎104になると、ラジオへはがきを送った。千鶴がどこかでラジオを聞いている能性へ、すがっていたのかもしれない。