"消えた妻と13本のテープ" 第2話
同窓会という名目ではあったものの、集まったのはわずか6だった。卒業全員へ正式な案内をしたものではなく、数ので連絡を取りって決めた規模な会だった。
千鶴へ誰がらせたのかも、はっきりしなかった。
「私は話していません」
「案内状をいたのは別のだとっていました」
参加者は互いに、ほかの誰かが千鶴へ連絡したのだろうと考えていた。
警察は千鶴の自宅から案内状を探したが、見つからなかった。武夫は、妻が持ってたのではないかと説した。
同窓会は午9に終わり、参加者たちはそれぞれ帰宅していた。警察が確認した範囲では、全員に族などの証言があり、千鶴の失踪へ直接関わったと疑える者はいなかった。
1997当、町に防犯カメラはほとんど設置されていなかった。バスターミナルの入に1台だけあったが、録画用テープは3ごとにきされる仕組みだった。
武夫が届けたには、104の映像はすでに消えていた。
警察は夫である武夫のも調べた。
武夫は、妻がをた夜、物の常連客2と町の居酒で酒をんでいたと話した。午7頃から午10半頃まで緒におり、11頃に帰宅したという。
常連客2と員の証言も致したため、武夫のアリバイは成したと判断された。
広告
ただし、警察が何度も尋ねたことがあった。
「奥さんが以にも、連絡をせずを空けたことがあるのですか?」
「々ありました。半から1くらいです」
「どこへっていたのでしょう」
「昔の男に会っていたのではないですか」
武夫は、千鶴には結婚に交際していた男性がいたと説した。最になって再び連絡を取っている気配があり、同窓会を実に会いにった能性があるという。
警察はその男性を探し当てた。
しかし男性は1995に県へ転居しており、千鶴が消えた夜は職の同僚と緒にいた。複数の証言があり、アリバイは確だった。
それでも「自発な」という見方は消えなかった。
千鶴は成であり、自分のでをることができる。犯罪を示す物証拠も、争った形跡もない。財布との現を持ち、なりをえてかけている。
武夫は警察へ、妻がの指輪をつけていたことを伝えなかった。結婚指輪をしてかけたのだから、別の男性に会うつもりだったのだろうとだけ話した。
当9歳だった栞は、母親の失踪、父親が急に変わったことを覚えていた。
警察署から帰った武夫は、何も言わずに夕を作った。慣れないつきで米を炊き、噌汁を焦がした。
栞が尋ねても、母親のき先について説しなかった。
広告
「お母さん、いつ帰るの?」
「らん」
「迎えにかないの?」
「自分でていったんだ。帰りたければ帰る」
その以、ので千鶴の名がにされることは、ほとんどなくなった。
捜査ので、1つだけ具体ながかりが見つかった。
104の午645分頃、同窓会会から歩いて5分ほどの所にある公衆話から、武夫の物へ話がかかっていた。
話を取ったのは、にを伝っていた所の男性だった。
「女性の声でした。武夫さんはいますかと聞かれ、いないと答えると、すぐに切れました」
声が千鶴のものだったか、確認する方法はなかった。しかし刻と所から考えれば、千鶴が町へ到着していた能性はい。
問題は、そのだった。
千鶴が午645分に武夫を探したのなら、なぜ同窓会の途で夫へ話をかけたのか。
そして武夫は、午7から居酒にいたことになっている。
警察がその疑問へく踏み込むことはなかった。
捜査は約1か続いたが、しいがかりはなかった。参加者、隣民、バス運転、の従業員、公衆話周辺の商主からも、力な証言は得られなかった。
11末、千鶴の失踪は事件性を示す証拠のない方として、未解決記録へ回された。
類の束が保管庫へ収められた、栞はまだ9歳だった。
母親が消えても、栞の活は続いた。
朝になれば学へき、放課には友と遊び、夜になれば武夫が作った夕をべた。所の女性たちが事を伝いに来ることもあったが、千鶴がいた頃とは何もかもが違っていた。