"12年前も、彼が犯人だった" 第7話
問い詰めると、30万円は会社のではなく、自分が用しただと認めた。
無理な追加配送を命じた責任をじ、個に森川へ渡したのだという。
「それなら、このおは何ですか?」
直が尋ねると、森川は笑った。
「私が宮本さんへ返しているんだよ」
宮本が自腹でしたとり、森川は返を申した。しかし宮本は「事故へのおわびだから」と受け取ろうとしなかった。
そこで森川は、配代を払う際に1万円を乗せして配送員へ渡すようになった。
岸本はそのを受け取り、宮本からの指示どおり、本へ渡していた。
つまり、毎週消えた1万円は、盗まれた会社のではなかった。森川が正規の弁当代とは別に、宮本へ返していた個なだったのだ。
ただし岸本は、領収へ弁当代と返分をわせた額をいていた。帳簿は全額が会社の売として扱われる方、そのうち1万円は宮本へ渡されるため、曜になると必ず差額がじた。
「最初から別の封筒にして、領収へ含めなければよかったのに」
直が言うと、森川は肩をすくめた。
「私は会社の細かいことなんて分からないよ。宮本さんが若い配達員へ話しておくと言ったから」
これで、消えた1万円の流れは分かった。
しかし、最もきな疑問はまだ残っていた。
佐々のロッカーから見つかった3万円である。
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森川から宮本へ渡った3万円と、清掃員のロッカーにあった3万円。額が致したのは、本当に偶然なのだろうか。
直はもう度、佐々へ会った。
「ロッカーから見つかった3万円は、本当に佐々さんのおですか?」
「そうです」
「なぜ自宅へ置けなかったのか、今度こそ話してもらえませんか」
佐々はく黙った、コーヒーカップから線をした。
「娘へ渡すでした」
婚、佐々は娘とほとんど会っていなかった。何度かを送ったものの返事はなく、娘が成してからは連絡先さえ分からなくなっていた。
数か、元妻を通じ、娘が結婚することをった。式へ招待されたわけではない。それでも父親として何か渡したくて、毎しずつ現を貯めていた。
佐々が暮らすのは清掃会社の寮で、部はほかの作業員と共用だった。現を置いておくことがで、鍵のある現ロッカーへ入れていたという。
「だったら、最初に話せばよかったでしょう」
「言いたくなかったんです」
「どうして?」
佐々は自嘲するように笑った。
「結婚式にも呼ばれていない父親が、祝いだけ貯めているなんて、みっともないでしょう」
直は何も言えなかった。
事は理解できた。しかし、それなら誰が佐々のロッカーに3万円があるとっていたのか。
ロッカーの鍵を持つのは本と清掃会社だけだが、予備鍵はフーズの管理棚に保管されている。
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利用できるのは総務担当者と管理職だった。
3万円が見つかった、ロッカーを確認した方がいいと最初に提案したのは誰だったのか。
記憶をたどった直の背を、たいものがった。
宮本だった。
《どうせ確認するなら、から揉めないようロッカーまで見た方がいい》
宮本はそう言い、理恵に予備鍵をさせていた。
直は会社へ戻り、宮本の席へ向かった。
「部、佐々さんのロッカーに3万円があることをっていましたか?」
宮本はゆっくり顔をげた。
「らない」
「本当に?」
「何だ、その聞き方は」
「部が3万円を入れたんじゃないですか」
宮本の表から、瞬すべてのが消えた。
「瀬。言っていいことと悪いことがあるぞ」
「では、違うと説してください」
「違う」
「なぜロッカーを調べるよう提案したんですか?」
「当然の確認だろう」
「佐々さんが12にここで働いていたとっていましたね」
宮本の目つきが変わった。
「誰から聞いた?」
「記録が残っています。事故報告も、部が署名した退職関係の類も見つかりました」
い沈黙が流れた。
宮本は子へく座り、片で額を押さえた。
「何がりたいんだ」
「全部です」
直は、かつての恩へ初めてそう言った。
宮本は最初、何も認めようとしなかった。しかし12の事故、森川へ渡した30万円、最の返まで直がっていると分かると、しずつ話し始めた。