"12年前も、彼が犯人だった" 第5話
だった頃の直なら、その言で自分の考えを恥じ、謝って席へ戻っただろう。
しかし今回は、入館記録が残っている。
「部の社員カードで、毎週曜に裏がけられています」
宮本の笑みがわずかに消えた。
「会社へ来たことは否定していない」
「その、佐々さんも清掃で入っていました。事務所へ誰かが入ってきたと言っています」
「それは俺だろうな」
「何をしに来たんですか?」
宮本が嫌そうに眉を寄せた。
「管理職が休に何をしに来たか、いちいち部へ説しなければならないのか?」
「会社のがなくなっていますから」
部が静まり返った。宮本はしばらく直を見つめ、やがてで笑った。
「俺を疑っているのか?」
「事実を確認しています」
「同じことだろう」
「違います。佐々さんのに俺たちがしたことを、度と繰り返したくありません」
「成したな、瀬」
以ならうれしかったはずの言葉が、そのはひどくたく聞こえた。
そのの夕方、理恵が古い段ボール箱を抱えて直の席へ来た。
「瀬さん、これを見てください」
倉庫理に見つかった、のタイムカードだった。会社が子管理へ切り替える、12の記録である。
理恵が差しした1枚に、見覚えのある名が記されていた。
《佐々誠》
所属は配送部。
清掃員の佐々は、12、フーズの社員だった。
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直は古いタイムカードを何度も見直した。氏名だけでは同姓同名の能性もあるが、事台帳に記載されたは現の佐々と致していた。
「俺、りませんでした」
「瀬さんは当、川越営業所にいた頃ですよね」
理恵に言われ、直はうなずいた。12の直は別の営業所で勤務しており、本社へ戻ったのはその翌だった。
佐々の退職理由は、台帳に「自己都」とだけ記載されていた。
同じ箱を調べると、黄ばんだ事故報告も見つかった。
12の1017午640分、内の宅でフーズの配送が齢女性と接触した。女性は転倒し、腕を骨折している。
担当運転は佐々誠。
会社は治療費と見を負担し、保険処理もっていた。事故そのものはな刑事事件にはならなかったらしい。
しかし報告を読みめると、別の問題が見えてきた。
事故当、佐々は朝6から勤務していたが、運転記録、まとまった休憩を取っていない。しかも通常の配送ルートを終えた、別のドライバーの担当分まで追加されていた。
事故が起きたのは、勤務始から12以が経っただった。
過な業務による疲労運転が疑われる状況である。
ところが最終報告には、こう記されていた。
《本が自主に追加配送を申した》
《休憩能なは確保されており、会社による過度な業務命令はなかった》
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その数、佐々は自己都で退職している。
類の末尾には、当の現責任者として宮本彦の署名があった。
「何か関係があるんでしょうか」
理恵がそうに尋ねた。
直にも分からなかった。ただ、佐々が12にこの会社で働き、宮本の部だった事実を偶然として片づけることはできなかった。
直は佐々へ話をかけた。
『はい』
「佐々さん、以、フーズで配送員をしていましたね」
話の向こうがく静かになった。
『誰から聞きました?』
「古いタイムカードが見つかりました。どうして黙っていたんですか?」
『言う必がないとったからです』
「宮本部のこともっていますね」
『っています』
「今回の3万円について、何かっていることはありませんか?」
佐々の息遣いが、わずかにきくなった。
『瀬さん』
「はい」
『12と同じになっていますね』
直にはが分からなかった。
「何が同じなんですか?」
佐々は、を抑えるような静かな声で答えた。
『誰か1を悪者にすれば、会社は楽なんですよ』
その言葉だけを残し、話は切れた。
翌、直は会社ではなく、駅の喫茶で佐々と会った。清掃会社から現をされた佐々は、現、別の施設へ臨派遣されているという。
「12、事故を起こしたのは事実です」
席へ着くなり、佐々は自分から切りした。
「そこは言い訳するつもりはありません。