"12年前も、彼が犯人だった" 第2話
「私が盗ったということですか?」
「そう決めたわけではありません。ただ、週末に入りされているので、確認だけさせてください」
丁寧な言い方ではあったが、は1つしかなかった。佐々は疑われている。
「庫へ触れたことはありますか?」
理恵が尋ねると、佐々は首を横に振った。
「ありません」
「番号はっていますか?」
「りません」
「事務所の机や引きしをけたことは?」
「掃除するに表面を拭くだけです。には触りません」
答えはかった。岸本なら、目をわせようとしない態度が怪しいと言うかもしれない。しかし直には、単に緊張しているように見えた。
「先週の曜は、何までここにいましたか?」
「915分頃です」
「清掃、誰か会社へ来ましたか?」
その質問に、佐々はし考えた。
「1、来たといます」
直が顔をげた。
「誰ですか?」
「分かりません。私は倉庫側を掃除していたので、顔は見ていません」
午8頃、裏の子錠がく音がしたという。その、誰かが事務所の方へ入っていく気配があった。
「声は聞きませんでしたか?」
「聞いていません。ただ、社員さんが休に類を取りに来ることはありますよね。だから気にしませんでした」
確かに、直自も休に忘れ物を取りに来たことがある。佐々が審にわなかったとしても自然ではない。
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「防犯カメラを確認すれば分かるんじゃないですか」
直が言うと、川の表がわずかに変わった。
「裏のカメラは、先から調子が悪いんだ。映ったり映らなかったりしている」
「故障しているんですか?」
理恵もらなかったらしく、驚いた顔をした。
「交換する予定だった。ただ、まだ業者が来ていない」
「いつから故障しています?」
「3週くらいだったとう」
直は返事をしなかった。
カメラが故障した期と、1万円が消え始めた期が、ほぼ致していた。
翌朝、清掃会社から連絡が入った。銭紛失の疑いがある現へ佐々をそのまま派遣するわけにはいかないため、調査が終わるまで別の作業員をすという。
「それでは、実質に犯扱いじゃないですか」
直が抗議すると、川は困ったように眉を寄せた。
「うちから派遣を止めろと言ったわけじゃない。清掃会社側の判断だ」
「でも、疑っていると伝えれば、そういう判断になるのは分かっていたでしょう」
「では、何も確認しない方がよかったのか?」
直は答えられなかった。会社のが消えている以、調べないわけにはいかない。しかし、真っ先にのい部作業員へ疑いを向けた方法が正しかったともえなかった。
午、清掃会社の担当者が佐々の私物を回収しに来た。休憩の端には清掃員用の細いロッカーがあり、佐々はそこへタオルや着替えを置いていた。
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予備鍵で扉をけると、作業用袋、タオル、洗剤の予備がてきた。そして最も奥から、名のかれていない茶封筒が見つかった。
清掃会社の担当者が封をけた。
には1万円札が3枚入っていた。
誰も声をさなかった。3週にわたり消えた額と、ぴったり致している。
「やっぱり」
岸本が最初に呟いた。その声には、疑いが当たったことへの妙な満があった。
直は岸本を睨んだ。
「まだ決まっていない」
「瀬さん、3万円ですよ。消えた額と同じじゃないですか」
「封筒に会社の名がいてあるのか?」
「いてないですけど、こんなの偶然じゃないでしょう」
確かに、状況だけを見れば佐々は限りなく疑わしい。しかし直には、あまりにも来すぎているようにえた。
毎週1万円が消え、3週、容疑者のロッカーからちょうど3万円が見つかる。もし自分が盗んだのなら、なぜ現のロッカーへそのまま保管するのだろう。
清掃会社を通じて佐々へ連絡すると、本は「自分のです」と答えた。
「何のためのおですか?」
直が話で尋ねると、しばらく沈黙した、佐々はい声で言った。
『活費です』
「なぜ自宅ではなく、会社のロッカーへ置いたんです?」
『に置きたくなかったので』
「何か事があるなら、話してもらえませんか。このままでは、あなたが盗んだとわれます」
それでも佐々は、それ以説しようとしなかった。