"親孝行214点の姉が降りた日" 第3話
「私がですか?」
佳奈が驚くのも無理はなかった。その翌朝は、美緒が学の学習に参加するで、朝5半に起きて弁当を作る約束をしていた。悠が泊まるならともかく、自分だけ実へ泊まり、朝に40分かけて帰宅するのは現実ではなかった。
佳奈が事を説すると、恵子は「ああ、そう」とだけ言い、嫌そうに話を切った。問題はその翌の集計表だった。
佳奈の点数は24点から14点へがっていた。
理由の欄には、《依頼への協力拒否 -10点》とかれていた。
「依頼って何?」
佳奈は珍しく本気でっていた。最初に配られた規則には、頼み事を断ったはマイナス2点としかいておらず、マイナス10点などという項目はどこにもない。悠も覧表を何度も確認したが、恵子が途から独断で追加したとしか考えられなかった。
そので話をかけると、恵子は悪びれず「なお願いを断ったから」と答えた。「そんなルールなかっただろ」と悠が言えば、「全部細かく決められるわけないでしょう」と返ってくる。さらに、「だったら泊まりに来ればよかったじゃない」と言われたところで、悠も声を荒らげた。
「佳奈には佳奈の族があるんだよ」
『私だって莉奈がいる。仕事もある』
「だからって佳奈に押しつけていい話じゃないだろ」
話の向こうで恵子の声が急にきくなった。
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『私だって、お父さんのからずっと同じだったの!』
その言葉に、悠は瞬黙った。
父の秀夫が肺がんと診断され、くなるまでの約1半。抗がん剤治療、検査、入退院、夜の体調悪化への対応まで、最も頻繁に病院へ付き添っていたのが恵子だったことは事実だった。当、隆弘は課へ昇したばかりで忙しく、悠のでは美緒がまれたばかりだったため、何度も「今週は無理だから姉ちゃん頼む」と話した記憶がある。
「でも、それと佳奈は関係ないだろ」
ようやくそう言うと、恵子はし黙った、い声で返した。
『嫁に来たなら関係あるでしょう』
話はスピーカーになっていた。
佳奈の表が変わった。
「恵子さん、私、瀬の介護員になるために悠と結婚したわけじゃありません」
『誰もそんなこと言ってないでしょう』
「今言いましたよ」
『族なら助けうのが普通じゃない?』
「助けいって、頼む側が点数をつけて罰を与えることですか?」
話の向こうが静かになった。恵子はしばらく何も言わず、最に『本当に困ったにも、そういうこと言えるか楽しみね』とだけ残して話を切った。
翌週、佳奈の点数はさらに2点がっていた。《族会議で非協力発言》という、もはや親孝とは関係のない理由だった。
「独裁国かよ」
悠は呆れて笑ったが、佳奈は笑わなかった。
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「たぶん、これ、点数が問題なんじゃないよ」
「じゃあ何?」
「お姉さんは、ずっと誰かに“私だけが変だった”って認めてもらいたかったんじゃないかな」
悠はその、妻の言葉を素直には受け入れられなかった。
しかしへ帰ってからグループLINEをき、恵子の186点という数字を見た、それまでとはし違ったものに見えた。
親孝ポイントが始まって2かほど経った頃、今度は族のにの問題が持ちがった。最初に気づいたのは隆弘で、正子の自保険を見直すため、引き落とし座を確認していただった。通帳をくと、わずか2週のに6万円、5万円、7万円と、計18万円がATMから引きされていた。
その週の曜、隆弘は実で通帳を座卓へ置いた。
「母さん、この18万円は何に使ったんだ?」
正子は鏡をかけ直し、数字を眺めたが、すぐには答えなかった。すると隣にいた恵子が通帳をに取り、「活費じゃない?」とを挟んだ。隆弘が「活費で2週に18万円?」と聞き返すと、恵子は病院代やの修理などもあったはずだと説した。
「何を修理したんだ?」
その質問には答えが返らなかった。
隆弘の顔つきが変わった。
「姉ちゃん、これ、姉ちゃんが使ったのか?」
恵子が睨み返した。
「何でそうなるの」
理由はあった。親孝ポイントを始めてから、正子のキャッシュカードは「紛失防止」
という名目で恵子が預かっていたからである。正子は最、財布や鍵をどこへ置いたか分からなくなることが増えており、恵子が管理すると言ったも、族の誰もく反対しなかった。