"子どもを救って、僕は処分された" 第3話
蓮が歩づくと、は自転へ乗り、逃げるようにへ入った。追いかけることはしなかった。
その夜、会社のウェブサイトにしい文章が掲載された。
《当社運転士の全確認により、お客さまに傷を負わせる事案が発いたしました》
調査という言葉はなかった。
蓮は杉浦へ画面を送った。分、返信が来た。
《会社はもう結論をすつもりだ。の面談にはで来るな》
会社との面談には、片桐所、事課、全管理部の担当者、杉浦、蓮が席した。
全管理部の真鍋は、映像を区切りながら再した。方カメラは広角で、実際より距がく見える。信号は青、速度表示は速キロ。の歩に黄い自転が見え、その輪がわずかに向きを変えたところで、画面がきく揺れた。
「へはていませんね」
真鍋が言った。
「カメラは体央寄りです。運転席からはミラーが張りしています」
蓮は画面の端を指した。自転との境目は、柱ので見えにくい。
「接触の危険をじたこと自体は否定しません。しかし、制値は〇・G。位乗客がいる状況ではすぎる。まず警笛、あるいは穏やかな減速という選択肢があった」
「警笛を鳴らすはなかったです」
「そうじた、ということですね」
言葉がしずつ、事実からへ移されていく。
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次に内映像が流れた。文子は通側の席からち、でつり革をつかもうとしていた。蓮がミラーを見る。へ線を戻す。ほぼ同に文子が歩み、急制で体が回転するように倒れた。
蓮は映像を止めてもらった。
「僕がミラーを見た、成瀬さんはまだ座席から腰をげたところです。完全にっているとは認識できていませんでした」
「先ほどは、ったのを見たと言いましたね」
真鍋がすぐに指摘した。
蓮は黙った。記憶のでは見ていた。しかし映像を見ると、見たのはちがる途だった。
「表現を訂正します。ちがろうとしているきは見ました」
杉浦がを挟んだ。
「なのは、会社の公表文が調査に『全確認』と断定した点です。運転士の予測義務と緊急回避の相当性は、分けて評価すべきでしょう」
事課は、文子側との示談を優先したいと説した。会社の保険で治療費と慰謝料を支払うが、運転士が過失を認めなければ交渉が引く能性があるという。
「負傷された方への補償に、川君個の署名は必須ではありませんよね」
杉浦の質問に、事課は確に答えなかった。
面談の最、会社は蓮へ再訓練を命じ、当面は乗務からすと伝えた。懲戒処分ではなく、全確保のための業務命令だという。賃は基本のみで、乗務当はつかない。
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帰宅、結が通の封筒を差しした。差はかれていない。
には、子どもの字でいが入っていた。
《バスのうんてんしゅさんへ。ぼくのせいで、おばあさんがけがをしてごめんなさい。でも、お母さんに、にはていないと言いなさいと言われました。学にられたら、また転になるからです》
蓮は度読んだ。
《本当は、のタイヤだけました。ブレーキがきかなかったからです》
署名はなかった。
「郵便受けに入ってた」
結は配そうに兄を見た。
「これを会社にせば、証になるんじゃない?」
「ならない。誰がいたか分からないし、僕がかせたとわれるかもしれない」
「でも、本当なんでしょ」
「本当だとうことと、証できることは違う」
蓮はを透な袋へ入れ、触ったをメモした。杉浦にも連絡したが、へ直接接触しないようを押された。警察へは、匿名の報提供として封筒ごと提することになった。
翌、警察署で交通課の担当者はを受け取ったものの、慎だった。
「子どもがいたものと断定できません。仮に本でも、保護者の向を無して事を聴くことは難しい。事故としては、両と歩者の接触はなく、内負傷の原因は急制です」
「子どもをひきそうになったことは、原因にならないんですか」
「制が必だったかどうかの判断材料にはなります。ただし、あなたに乗客保護の義務がなくなるわけではありません」