"「無職の父」と呼ばれた6年間" 第3話
それが悠に恐怖として残っているなら、無かったことにはできない。
帰宅、公平は息子へ作文のことを問い詰めなかった。夕を終え、テレビを見ているに、「お父さんが怖いとうはある?」と尋ねた。
悠はく黙ったあと、注射を失敗したにられたことが怖かったと話した。公平は「あのはごめん」と謝った。焦っていたとしても、息子が怖かった事実は変わらない。
「ほかにもある?」
悠は線を落とした。「お母さんが、作文にそうけば、先がちゃんと考えてくれるって」
公平は妻を呼びさなかった。続きを息子へ求めることもせず、そので会話を終えた。子どもの言葉を証拠にするため何度も聞けば、自分も同じことをしてしまう。
翌、公平は弁護士へ作文と会話の経緯を伝えた。弁護士は、子どもの話を録音するために誘導せず、必なら庭裁判所の調査や専を通じて向を確認するべきだと説した。
公平が帰宅すると、美咲が待っていた。学から連絡があり、夫が転を妨害しているとっていた。
「悠は私とみたいっていている。あなたも見たでしょう」
「あれをかせたの?」
美咲は瞬黙り、それから「本を言いやすくしただけ」と答えた。公平は、妻が作文の内容を最初からっていたことに気づいた。
その夜、美咲は悠を連れて居へ移ると言いした。
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公平が玄関のへつと、妻はスマートフォンを向けた。
「ほら。こうやって私たちを閉じ込める。これも記録するから」
公平はすぐをけた。ただし、息子の薬と管理用品の持ちしを確認したいと告げた。美咲の鞄には3分しか入っておらず、インスリンの予備も保されていなかった。
公平がを指摘すると、美咲は顔を変えた。悠は玄関で2を見比べ、さな声で言った。
「お母さん、今はかないって言って」
美咲はその夜、居へ移らなかった。悠が泣きしたためだが、婚のを撤回したわけではない。公平も勝ったとはわなかった。息子が両親の争いを止める役目を負ったこと自体が問題だった。
翌から夫婦は庭内で活を分けた。美咲は寝、公平はを使い、悠ので婚の話をしないと約束した。学と医療に関する連絡は共アプリへ記録し、方だけで変更しないことも決めた。
公平は再就職について調べ始めた。親権を得るためだけでなく、婚に自分と息子の活を支える収入が必だった。以の物流会社へ戻るのは夜勤や急な残業があり難しい。医療器会社の倉庫管理や、宅勤務を組みわせられる配送管理の求を探した。
6の空は簡単ではなかった。面接では「奥様に任せられないのか」
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と聞かれ、病気の子どもがいることを伝えると採用側の表が曇った。公平は自分の技能まで失ったようにじた。
それでも、域の就労支援で職務経歴を理すると、以の仕事と養育期が切れずにつながっている部分が見つかった。庫管理、ごとの記録、緊急の判断、学や病院との調。庭で無だった経験を、そのまま職歴にできるわけではないが、培った能力として説することはできた。
美咲も毎週1、定で帰宅して悠の管理を担当するようになった。公平の独占だと主張するなら、自分が実際に担う必があると弁護士から助言されたためだった。
最初の曜、美咲は夕の炭化物量を計算し、インスリン量を悠と確認した。公平はを挟まず、求められただけ答えた。数値は定し、何も起きなかった。
美咲はし自信を取り戻したが、翌週は会議で帰れず、公平へ任せた。3週目も取引先との会が入った。仕事を辞めなければ母親になれないわけではない。しかし、担当できなかった事実を「いつでもできる」に変えることはできなかった。
佳代子は医療関の族向け講習へ参加した。血糖の対応を練習し、自宅に必な補も用した。公平は祖母が学ぶことを歓迎し、過に参加しなかった責任を責め続けなかった。
その方、美咲は居の契約を解約しなかった。