"米寿の席で外された嫁" 第8話
と問われた。子は答えられなかった。過の評価へ戻る方が、しい客をるより簡単だったのである。
そこででは、に度だけ試会をき、客からだけでなく量や価格についても見を聞いた。甘さを控えれば売れるとっていた商品が、実際にはさ過ぎて産に選びにくいと分かったこともある。職のい込みを客の言葉で修正する作業は、子にとって鮮だった。
ただし、すべての望には応えなかった。「朝7からけてほしい」「毎20種類置いてほしい」という声まで受け入れれば、また働くの活が消える。採用しない見にも礼を言い、としてできる範囲を説した。
子は、自分の価値を客の満だけで測らないことを覚え始めた。売り切れなかったにも、予定どおり仕事を終え、全員が休憩を取れたなら、そのは失敗ではなかった。
から3か、《菓子ひかり》は最初の壁にぶつかった。文化祭で評判になった《ひかり》を毎めに作ったものの、平は売れ残りが増えた。廃棄を惜しんで値引きすると、定価で買う客が減り、売は予定を1割以回った。
子は営業を延ばし、松堂の常連へ案内をそうと考えた。すると文子が、「昔のでしていた無理を、今度は自分のでするの」と尋ねた。
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痛いところを突かれ、子は返事ができなかった。
必とされたい気持ちは、を持っても消えていなかった。注文を断らず、商品を切らさず、誰よりく働けば、自分の居所が守られるとってしまう。しかし、それを続ければ、今度は緒に働くへ同じ負担を求める経営者になる。
3は商品ごとの作業と廃棄数を記録した。《ひかり》は週末と予約に絞り、平は持ちする焼き菓子を増やす。閉も変えず、売り切れたは追加製造をしないと決めた。
常連のから「せっかく来たのにないの」と満を言われた、子は反射に奥で作ろうとした。だが、職員が「次回のお取り置きを承ります」と落ち着いて応じた。客はし残そうにしながらも、翌週の予約を入れて帰った。
子は、断ることが客を失うとは限らないとった。無理を隠して期待へ応え続ければ、いつか突然すべてを断ることになる。続けられる範囲を先に伝える方が、い関係には誠実だった。
同じ頃、松堂でも千鶴の入院をきっかけに問題が見つかった。義母が常連ごとに値引き額を変え、払いを認めていたため、回収できていない売掛が60万円くあった。千鶴ののには残っていても、帳簿には分な記録がなかった。
耶は過の分を方に請求せず、客と件ずつ確認した。
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今は商品受取の支払いに統し、例を作るには理由を記録する。部の客は「昔は融通が利いた」とれたが、それでも決まりを戻さなかった。
「お義母さんだけが悪かったわけじゃないんです」と耶は子へ言った。「私たちも、常連を失うのが怖くて黙っていました」
子にも覚えがあった。千鶴が値引きを約束すれば包装を増やし、代がりなければ翌の売でわせた。揉め事を避けるために埋めたさな穴が、から誰にも説できない数字になった。
子は義父のを読み返した。宗郎は子を守ろうとしたが、きているに仕組みを変える勇気は持てなかった。子も同じように、気づきながら黙ってきた部分がある。被害を受けたことと、自分の選択を見直すことは両するのだとった。
千鶴は退院、週に度だけ松堂の先へ座るようになった。製造や会計には触れず、昔からの客と話すのが役目だった。耶は勤務を2と決め、千鶴にもを払うと伝えた。
「自分ので客と話すのに、料なんていらない」と千鶴はった。
「払わない仕事を作れば、誰が何働いたか分からなくなります。お義母さんも例にしません」
千鶴は渋々、与細を受け取った。初は4回で8000円ほどだったが、そのを親戚へ見せ、「まだに必とされている」
と自した。子はその話を聞き、し笑しくなった。