"隠し子を知っていた55歳妻" 第5話
それから3か。
芳は85歳でくなった。
夜。
律子が呼吸の変化に気づき。
正典へ連絡した。
正典は美のにいた。
病院へ来たのは1。
芳はもう識がなかった。
正典はベッド脇で泣いた。
律子は責めなかった。
今さら。
何を言っても。
母親とのは戻らない。
葬儀が終わって2週。
公正証遺言があることを、芳が依頼していた司法士かららされた。
財産は自宅以の預貯と価証券をわせ、約1億円。
正典は当然、自分がほとんど相続するとっていた。
しかし。
遺言にはこうあった。
5000万円相当を、息子・正典へ。
残る5000万円相当を、嫁・律子へ遺贈する。
正典は声をげた。
「何で律子に5000万?」
司法士は、芳から預かっていたいを律子へ渡した。
《律子へ》
《6、本当にありがとう》
《介護のお礼だとはわないでください》
《族として、あなたが私にくれたへのお礼です》
《これを使って、もう自分のをきてください》
律子は途から読めなくなった。
正典は黙っていた。
6。
自分は母親の息子だった。
でも。
毎そばにいたのは律子だった。
芳は最に。
それを数字で残した。
遺言の説が終わった。
正典はので言も話さなかった。
自宅へ戻る。
律子は芳の部へ入った。
ベッド。
歩器。
薬箱。
カーディガン。
まだ。
活の形が残っている。
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律子は。
芳のを机へ置いた。
正典がろから来た。
「母さん」
声がかすれていた。
律子は振り返る。
「何で俺に半分なんだろう」
その質問に。
律子はし驚いた。
「半分も、でしょう」
「俺は実の息子だぞ」
「はい」
「おは嫁だ」
「はい」
正典は。
そこまで言って。
自分の言葉に気づいた。
律子は責めなかった。
「6」
正典が呟く。
「母さん、俺に何も言わなかった」
「何を?」
「おに残すって」
「私もりませんでした」
「……」
「お義母さん、自分で決めたんだといます」
正典はベッドへ座った。
「俺、そんなに何もしてなかったか」
律子は。
答えるか迷った。
でも。
芳はもういない。
ここでまた。
夫を守る必はない。
「に何回、お義母さんの病院へきました?」
正典が黙る。
「最にお呂伝ったの、いつですか」
「……」
「薬の名、ってます?」
「いや」
「デイサービスの曜は?」
正典は答えない。
律子は続けなかった。
もう分だった。
正典は。
母親の部を見回した。
壁に。
デイサービスで作った折り。
律子と芳が温泉旅館へ1泊したの写真。
2で笑っている。
正典は。
その写真を初めて見たような顔をした。
「これ、いつ」
「です」
「旅ったの?」
「ですけど」
「らなかった」
「言いましたよ」
正典は。
いせなかった。
そのは。
美とれんの誕会へっていた。
正典は。
目を閉じた。
母親がっていく6。
律子は。
毎見ていた。
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自分は。
もう1つの庭を作っていた。
それでも。
その夜。
美へった。
しい。
誰かに慰めてほしかった。
妻には。
顔をわせづらかった。
美が5000万円の話をったのは、そのの夜だった。
正典が自分から言った。
「母さん、俺に5000万残してた」
美の反応はかった。
「本当に?」
「ああ」
「じゃあ、もう婚できるじゃない」
正典はし驚いた。
「何でそうなる」
「律子さんにいくらか渡せばいいでしょう」
「律子にも5000万入る」
美の表が変わる。
「何で?」
「母さんが遺贈した」
「奥さんに?」
「6介護したから」
美はし黙った。
そして。
「じゃあ、なおさらいいじゃない」
「何が」
「律子さん、5000万あるんでしょう。活困らないじゃない」
「……」
「正典さんも5000万ある。今の売ればもっとある」
美は急に具体になった。
「れんも来幼稚園だし、今の1LDK狭いでしょう。駅の3LDKとか」
正典は聞いていた。
美は違ったことを言っていない。
3待った。
息子もいる。
普通の庭になりたい。
当然だ。
でも。
母親の遺産を聞いた直。
最初にてきたのが。
自分の母親への言葉ではなく。
しいの話。
そこだけが。
なぜか正典の胸に残った。
翌週。
正典は律子のに座った。
「話がある」
律子は聞をたたんだ。
「はい」
「母さんの5000万」
「はい」
「俺の分も、おに渡す」
律子は正典を見る。
「それと」
正典は続ける。
「このも、おに渡していい」
「……」
「だから婚してくれ」
律子は何も言わなかった。
正典は言葉をねた。
「計したら相当な額になる。おは老も困らない」
「美とれんには俺が必なんだ」