"貧乏人と呼ばれた食卓" 第3話
徹は計や会社のことを聞かれたと話したが、匠は「ただの会話だろ」と取りわなかった。
「美はそういうじゃない」
「でも母さんも違あったって」
「母さん?」
突然話を振られ、私は困った。美が2きりになったに言ったことを正直に伝えると、匠はしばらく黙っていたが、やがていため息をついた。
「緊張してただけじゃないかな。美、言葉の選び方で損するところあるし」
私はそれ以何も言わなかった。恋をしている息子に、母親が何を言っても届かないがあることくらい分かっていたからだ。
そのの夜、器を片づけていると、隆志が珍しく私へ尋ねた。
「美さんのお父さんの名、匠から聞いたか?」
「いいえ。どうして?」
「いや……なんでもない」
夫はそう言って話を切ったが、らかに何かを隠していた。
数、廊を通りかかった私は、斎から漏れてくる夫のい声をにした。
「……幸介、おの娘だったのか」
私はを止めた。
話の向こうにいる「幸介」という男が誰なのか、そのの私はまだらなかった。
それから半、匠から美との結婚を考えていると聞かされた。驚きはしたものの、2が交際していること自体はっていたので、私は「あなたたちが本当に決めたことなら」と祝福した。徹だけは最まで複雑そうな顔をしていたが、それでも兄のへをし続けることはしなかった。
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「今度、両で顔わせをしたいんだけど」
匠がそう言った、隆志の箸が瞬止まった。
「先方のご両親も来るのか?」
「もちろん。そのつもりだけど」
「程は?」
その、隆志は会社の繁忙期を理由に2度予定を延期した。3度目には取引先との会が入ったと言い、とうとう匠が「父さん、本当は会いたくない理由でもあるの?」と尋ねるほどだった。
私は夫にも問いただしたが、隆志は「今は話さなくていい」としか答えなかった。結局、双方の仕事が忙しいことを理由に正式な顔わせはわれないまま、匠と美は先に婚姻届を提した。今えば、この点でもっとく理由を聞いておくべきだったのかもしれない。
入籍最初の3連休、2ががへ泊まりに来ることになった。
私はから煮物のごしらえをし、匠が好きだった唐揚げや茶碗蒸し、美が以「美しい」と言っていた炊き込みご飯も用した。豪華な料理ではないが、族が帰ってくるに自分ので料理を作ることは、私にとって昔から変わらない楽しみだった。
昼に2が到着すると、美は料理の並ぶ卓を見て嬉しそうに声をげた。
「すごい。こんなに作ってくださったんですか?」
「入籍してから初めて来るんだもの。し張り切っちゃった」
「ありがとうございます。私、こういう庭料理って好きです」
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以の違をいしながらも、そのは本当に楽しそうに事をしているように見えた。煮物をおかわりし、茶碗蒸しの作り方まで尋ねてくれたため、私は自分の考えすぎだったのかもしれないとい始めた。
ところが、午に2で器を洗っているだった。
美が1枚の皿をに取り、裏側まで確かめるように見た。
「これ、結構古いですよね」
「そうね。結婚した頃から使っているから」
「まだ使ってるんですか?」
私は笑って、いのある皿だから捨てられないのだと説した。すると美は皿を切り籠へ戻し、私にだけ聞こえる程度の声で言った。
「しいの買えないわけじゃないですよね?」
「え?」
「お義父さん、会社経営してるのに。こういうの使ってると貧乏くさく見えますよ」
その言葉に胸がざわついたが、私はにならないようにした。価値観が違うだけなのだと自分に言い聞かせ、「私は気に入っているからいいの」と答えた。
美は元だけで笑った。
「そういうところ、匠君と全然違いますね」
そのの夕、美は匠と買い物へた。私は台所で材を切りながら、さすがに今度は夫へ話そうとっていた。すると買い物から戻った美がリビングへ入った途端、夫の隆志が彼女を見て何かを確認するように目を細めた。
「美さん」
「はい?」
「お父さんは、神幸介さんで違いないね?」
美は議そうに瞬きをした。