"祖父を迎えた家に福が来た" 第6話
最初のきっかけは弁護士だった。
祖父の弟の相続続きを担当するため、弁護士は当初、祖父がまだ実で暮らしているとって兄夫婦のを訪ねた。
そこで初めて、祖父が私たちのへ引っ越したことをったらしい。
その、弁護士は具体な遺産額まで話さなかった。
しかしその。
自治体への額寄付の話を聞きつけた元メディアが、祖父の以の所である実周辺を取材した。
それで兄夫婦はった。
自分たちが散々粗末に扱い、まで管理していた老が、3億円の財産を相続したことを。
兄嫁にとっては、到底受け入れられなかったのだろう。
祖父が実にいた頃、財産らしい財産はほとんどなかった。
実のと建物は父の所だったため、父がくなったに兄が相続している。
だから兄嫁が目をつけたのは、祖父の毎のだった。
それが突然3億円になった。
「寄付されるくらいなら自分たちがもらえるはずだ」
そんな考えで式典へ乗り込んだらしい。
だが、そのによって兄夫婦は自分たちから世の注目を浴びることになった。
私は記事を閉じた。
「どうしてこうなるに、度でもおじいちゃんの気持ちを考えなかったんだろう」
匠は何も言わなかった。
祖父はしれたところでテレビを見ていた。
私はそれ以、兄夫婦の話を祖父のではしなかった。
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式典から数、兄夫婦をめぐる騒ぎは収まらなかった。
ニュースそのものは期で別の話題に移っていったものの、元では祖父の額寄付がきく報じられていたため、兄夫婦が誰なのかるはなくなかった。
職にも話が伝わった。
所にも広まった。
甥が通っていた幼稚園でも、保護者同士ので噂になったという。
私はその状況を気の毒だとう気持ちもあった。
特に5歳の甥には何の責任もない。
の問題によって子供まで巻き込まれるのは、決して良いことではない。
ただ、兄嫁は周囲から何か言われるたびに逆し、ますます関係を悪化させていったらしい。
最終に甥を連れて、自分の実へ戻った。
兄も会社で居づらくなった。
同僚から直接事を尋ねられたり、で噂されたりすることに耐えきれず、やがて仕事を辞めたという。
実にも取材を目としたや野次馬が現れ、いたずら話までかかるようになった。
兄はを放すことを決めた。
私たちが育っただった。
両親が働いて買った。
祖父が暮らした。
それが、こんな形でのものになる。
複雑だった。
兄は売却、兄嫁の実へを寄せようとした。
ところが兄嫁の両親も相当っていたらしい。
娘夫婦が齢の祖父からを取りげるような活をしていたこと。
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そのうえ祖父が得た3億円にまで執着して、公の式典で騒を起こしたこと。
兄嫁の実まで周囲にられてしまい、両親自も迷惑を被っていた。
兄はに入れてもらえなかった。
その頃。
兄から私へ話が来た。
久しぶりに聞く声は、以とは別のように々しかった。
「恵子……」
「何?」
「し助けてくれないか」
私は黙った。
「も売った。仕事も辞めた。由美の実にも入れてもらえない」
「だから?」
「おの、部あるんだろ」
私はを疑った。
「まさか、うちに来たいって言ってるの?」
「しのだけでいい」
「無理」
即答した。
「頼むよ。兄妹だろ」
その言葉に、私は静かに腹がった。
「兄妹だから何?」
「困ってるくらい――」
「おじいちゃんが困ってた、お兄ちゃんは何したの?」
話の向こうが静かになった。
「同じにいたよね」
「……」
「お義姉さんが鳴ってても止めなかった。まともに事をもらえてなくても気づこうとしなかった。をどう使われてるかも全部任せた」
「俺だって悪かったとってる」
「3億円をったは?」
兄は答えなかった。
「おじいちゃんに謝りに来た?」
「……」
「体調を配した?」
「……」
「してないよね。寄付を止めにっただけ」
私はく息を吐いた。
「こうなったのは、自業自得だとう」
「恵子」
「最初からおじいちゃんを事にしていれば、こんなことにはならなかったよ」
それだけ言って、話を切った。
はし震えていた。
兄を助けない自分がたいのかもしれない。