"祖父を迎えた家に福が来た" 第3話
「おじいちゃん」
襖をけると、祖父はベッドの端に座っていた。
私たちの言い争う声が聞こえていたのだろう。泣きしそうな顔をしていた。
「もうダメじゃ……」
祖父がぽつりと言った。
「何が?」
「わしのせいで、みんな喧嘩しとる」
肩をさく丸める。
「寄りがきすると、周りに迷惑ばっかりかけるのう」
胸が締めつけられた。
悪いのは祖父ではない。
それなのに、自分が族を幸にしているとい込んでいる。
私は祖父のにしゃがんだ。
「違うよ」
を握る。
以より細くなっていた。
「おじいちゃんのせいじゃない」
祖父は俯いた。
「でもなあ……」
「私たちのに来よう」
祖父が顔をげた。
「匠もいいって言ってくれてる。部もあるし、緒に暮らそう」
匠も横から笑った。
「おじいさん、俺また昔の話聞きたいし。毎でもいいよ」
祖父の目に涙が浮かんだ。
私はてっきり、
「ありがとう」
と言ってくれるとった。
ところが祖父はゆっくり首を横に振った。
「けん」
「どうして?」
「おらに迷惑かける」
「そんなことないよ」
「そういうじゃない」
祖父はしばらく黙った。
言うべきか迷っているようだった。
やがて扉の方を何度も確認し、私たちに顔を寄せた。
「わしにはがないんじゃ」
私はが分からなかった。
祖父はを受け取っている。
決して裕福ではないとしても、々の活費くらいは自分でせるはずだ。
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「あるでしょ?」
その言葉を聞いた瞬、祖父の表が曇った。
「帳もな」
さな声だった。
「通帳も、取られてしもうた」
「……誰に?」
祖父は答えなかった。
だが、その目は居の方向を向いていた。
私は背がたくなった。
「おじいちゃん。が振り込まれる通帳のこと?」
祖父は頷いた。
「カードもじゃ」
「いつから?」
「もうよう覚えとらん。あの子が管理してやるって言って持っていった」
兄嫁。
私はちがりかけた。
匠が私の腕を掴む。
「もうし聞こう」
祖父は申し訳なさそうに続けた。
「毎いくら入っとるか、今はわしもらん。必な物があると言うても、『べさせてもらっとるんだからしろ』と言われる」
私は、あのカメラの映像をいした。
量のご飯。
噌汁だけの夕。
自分でさせられていた洗濯。
埃のたまった部。
あれで体、祖父のをいくら「活費」として使っているのか。
「おじいちゃん」
私は慎に尋ねた。
「自分でおを使ったの、最はいつ?」
祖父はしばらく考えた。
「病院へったに、財布に2000円入れてもろうたくらいかのう」
私は息を止めた。
帳。
通帳。
キャッシュカード。
そのすべてを兄嫁が持っている。
そして祖父は、自分のが毎いくら入り、いくら引きされているのかさえらない。
だから兄嫁は、祖父をからしたくなかったのだ。
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私は祖父の部をた。
居では、兄嫁が腕を組んで待っていた。
私を見るなり言う。
「話は終わった?」
私はそのまで歩いた。
「お義姉さん」
「何?」
「おじいちゃんの帳と、通帳とキャッシュカード」
兄嫁の目がわずかにいた。
私は逃げを与えないように続けた。
「今、ここで全部返してください」
瞬の沈黙。
兄嫁は私を見つめた、さっきまでとは違うい声で言った。
「……おじいさん、余計なこと喋ったのね」
兄嫁のその言で、疑いは確信に変わった。
「余計なこと?」
私が聞き返すと、兄嫁は面倒そうにため息をついた。
「寄りのおを族が管理するなんて普通でしょう」
「管理なら、本が使いをらないのはおかしいよね」
「認症になりかけてるんだから仕方ないでしょ」
私は腹の底からりが湧いてきた。
「おじいちゃんは、必なおも自由に使えないって言ってる」
「事もしてる。にもませてる。気代も代もかかるのよ」
兄嫁は悪びれなかった。
「活費として使ってるだけ。使い込んでるみたいな言い方しないでよ」
「だったら細を見せて」
兄嫁が黙る。
「毎いくらが入って、いくら活費に使って、残りがいくらあるの?」
「いちいち記録なんかしてないわよ」
「おじいちゃんのおなのに?」
声がきくなった。
兄も居悪そうにっている。
「お兄ちゃんもってたの?」
「俺は……由美に任せてたから」
兄嫁は苛ったように兄を睨んだ。
「何よ。