"祖父を迎えた家に福が来た" 第1話
私の名は恵子、32歳。会社員として働きながら、夫の匠と結婚して3になる。
私たちは現、匠の実だった軒で2暮らしをしている。義父は私たちが結婚するにくなり、義母も昨、い闘病活の末に帰らぬとなった。
私が嫁いだ頃には、義母はすでに入退院を繰り返していた。それでも私たちの結婚式だけはどうしても見たいと言ってくれて、病院にお願いし、ほんのいだけ許をもらって式へ来てもらった。
子に座りながら笑う義母の姿を、私は今でもよく覚えている。
その、義母は族に見守られながら静かに息を引き取った。匠はっ子だったので、母親をくしたことでな血縁者をすべて失い、しばらくは目に見えて落ち込んでいた。
私も両親をすでにくしていたが、私には兄と祖父がいる。
80代半になる祖父は、両親がくなるから私の実で暮らしていた。その、兄夫婦が実を相続してむことになったため、祖父もそのまま同居を続けている。
兄夫婦には5歳の息子がいる。
私は々、匠と緒に祖父の顔を見に実へっていた。
匠は祖父と話すのが好きだった。義理の祖父にあたるのに、昔の仕事の話や戦の暮らしの話を聞いては、本当の孫のように楽しそうに笑っていた。
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「おじいさんの話って、急に代がぶから面いよな」
帰り、匠はよくそう言った。
祖父はまだ自分ので歩けるほど元気だったが、齢なりの物忘れはしずつ増えていた。急に昔の話を始めたり、今話している相を別のと勘違いしたりすることもある。
私は認症の始まりではないかと配していた。
あるも、匠と話していた祖父が突然険しい顔になった。
「おはわしのことを馬鹿にして。ほんに駄目な孫じゃな」
匠が驚いて私を見る。
どうやら祖父は、匠を兄と勘違いしたようだった。
それでも匠は否定せず、祖父にわせた。
「ごめんなさい。そんなつもりはなかったよ」
しばらくすると、祖父がはっとした表になった。
「おお、すまんすまん。あんたは恵子の婿さんじゃったな」
「全然気にしないで。続きを聞かせてよ」
匠は笑って会話を続けたが、私は引っかかっていた。
祖父が兄を名指しするような形でったことなど、今までほとんどなかったからだ。
帰る、私は兄を玄関先へ呼びした。
「ねえ、おじいちゃんと何かあった?」
すると兄は、配する私に逆に腹をてた。
「何だよ、急に」
「今、匠をお兄ちゃんと勘違いして、すごくってたから」
「爺さんの世話を俺に押しつけてるくせに、細かいことまですなよ」
その言葉に私は眉をひそめた。
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「押しつけてないでしょ」
祖父は昔から実にんでいる。
両親がくなった、兄夫婦がそこへ入っただけだ。むしろ兄夫婦の方が、「も広いし、このままでいい」と祖父との同居を希望していた。
特に兄嫁は、私たちのでは祖父を切にしているように見えた。
祖父のを用したり、事のを気にしたり、「おじいちゃん、薬んだ?」と優しい声をかけていたからだ。
ところが、匠は以から兄嫁に信を持っていた。
「本当にちゃんと世話してるのかな」
「どうして?」
「おじいさんの、同じのばかり着てるだろ。部も埃がたまってるし」
几帳面な匠は、私が気づかないところまで見ていた。
「お義姉さん、俺たちが来ただけ面倒見てるように見せてない?」
私はそのたびに、考えすぎだと言っていた。
しかし、い返せば私にも気になることがあった。
昨の。
祖父が邪をこじらせ、1週ほど入院したのことだ。
私が病へお見いにくと、ベッド周りのカーテンが閉まっていた。祖父と声で話していると、から兄嫁の音が聞こえた。
兄嫁は私がいることに気づいていなかった。
そしてカーテンの向こうで、きなため息をついた。
「このまま、くたばってくれないかしら」
私はを疑った。
直にカーテンをけた兄嫁は、私を見つけるなりびがるほど驚いた。
そしてすぐ猫なで声になり、「あら恵子さんも来てたの」と笑った。
あのは聞き違いかもしれないとった。
そういたかったのだ。