"ただいまの裏にあった10年" 第9話
かつてで毎顔をわせ、健の失踪には緒になって配するふりをしていた男。
その姿をにしても、誠は鳴る気にはなれなかった。
ただ、自分の息子が戻らなかった10をった。
検察側は、昭60815に健をさせ、その事実を隠したこと、そのに田を健として佐藤へ送り込み、期にわたり真相を隠し続けた経緯を述べた。
裁判が本へ尋ねた。
「起訴された内容に違いはありませんか」
本はちがった。
「ありません。私がやりました」
について問われると、本は俯いた。
「のことで追い詰められていた。それでに血ががりました。でも、それは言い訳です。私がかったんです」
検察側は厳しい刑を求めた。
方、弁護側は本が自ら遺骨を送り、最終には真実をらかにするきっかけを作ったこと、く反省していることを述べた。
佐藤夫妻からも見が提された。
本の罪が消えるとはわない。
息子は帰ってこない。
しかし本自も罪悪を抱えていたことは理解している。
処罰は必だが、いつか自分の罪と向きってき直す会もあってほしい。
最に見を求められた本は、佐藤夫妻の方へ向いた。
「佐藤さん、本当に申し訳ありませんでした」
声が震えていた。
「健さんをなせたことを毎悔しています。
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田さんを使って嘘を続けたことも、許されることではありません」
そしてしを置いた。
「でも1つだけ……田さんは、本当にお2をしていました。それだけは嘘ではありません」
かず子は目元を押さえた。
1週、判決が言い渡された。
懲役12。
本は静かにをげた。
続いて田の裁判もわれた。
田は、自分が佐藤健ではないとりながら、期その名を使い佐藤で暮らした事実を認めた。
裁判が尋ねた。
「なぜ途で真実を話さなかったのですか」
田はく黙った。
「最初はのためでした」
そして、ゆっくり顔をげた。
「でも途から、違いました」
田は幼い頃に両親をくし、施設で育ったと語った。
社会にてからも頼れる族はいなかった。
「佐藤さんので初めてったんです。朝起きたら誰かがいること。弁当を作ってもらえること。帰ったら『お帰り』と言ってもらえること」
田の声が震えた。
「何度も本当のことを言おうといました。でも言えば、このからていかなければならない。それが怖かったんです」
判決は懲役3、執猶予5。
刑務所へ収容されることはなかった。
判決、田は佐藤夫妻と面会した。
向かいった3のに、以の族のような空気はなかった。
それでも完全なにも戻れなかった。
「本当に申し訳ありませんでした」
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田が何度もをげた。
誠は静かに言った。
「もういい」
かず子の目には涙が浮かんでいた。
田は迷いながら頼んだ。
「1つだけお願いがあります。健さんのお墓参りをさせていただけませんか」
誠とかず子は顔を見わせた。
そして頷いた。
「いつでも来てください」
その言葉を聞いた田は、初めて声をげて泣いた。
平成84。
岡では桜が満を迎えていた。
佐藤は、健の正式な葬儀をった。
失踪から10以経ってからの葬儀だった。
さな寺には親戚や所の々、の同僚たちが集まった。
祭壇央には、23歳だった健の写真が飾られていた。
失踪するしに撮られた写真だった。
い髪。
穏やかな笑顔。
その姿は、歳を取ることなく23歳のままだった。
誠とかず子は喪姿で並んで座った。
読経が始まると、かず子は数珠を握りしめた。
「健、ごめんね」
ので何度も繰り返した。
息子がたいので眠っている、自分は別の男を息子だと信じ、笑って暮らしていた。
そう考えると胸が締めつけられた。
だが、途からかず子は別のことも考えた。
もし田が来なかったら、自分たちはどうなっていただろう。
健がきているかんでいるかも分からず、ずっと待ち続けていたかもしれない。
あの8、田がいたことで救われたが確かにあった。
葬儀の途、寺の入に1の男性が姿を見せた。
黒いスーツを着た田だった。
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