"ただいまの裏にあった10年" 第8話
「もし佐藤が帰ってきたことにすれば、両親はもう泣かなくて済む」
は厳しい目で見た。
「あなた自の罪も隠せる」
「はい」
本は否定しなかった。
「それが番きかったといます。でも、両親をしでも楽にしたい気持ちもありました」
矛盾していることは自分でも分かっていた。
息子を奪った本が、代わりの息子を用して慰めようとする。
本は田にを渡し、健に関する報を教え込んだ。
。
両親の名。
の所。
学代のこと。
の傷。
肩の傷。
好きなべ物。
そして「2の記憶を失っている」と言えば、違うことがあっても説できると教えた。
田は最初、拒んだ。
しかしと活を保証すると言われ、最には受け入れた。
計画は成功した。
佐藤夫妻は田を息子だと信じた。
警察も当の元確認方法では見抜けなかった。
本は職で、帰ってきた「健」を見続けた。
「最初はしました」
本は言った。
「佐藤さんたちが笑うようになったから」
しかしが経つにつれ、その景が逆に苦しくなった。
田は演技をやめ始めていた。
かず子を本当に母親のように気遣い、誠を父親として慕うようになった。
両親も田をからしていた。
本ので、偽物の族が本物の族になっていった。
「平成7、田がまた見いをするって聞いたんです」
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本は顔を伏せた。
「このままだと結婚する。子供ができるかもしれない。佐藤健として、さらにしい族まで作ってしまう」
もう続けられないとった。
本は10ぶりに雑林へ向かった。
健を埋めた所を掘り返し、遺骨の部と腕計を取りした。
それを佐藤へ送った。
「本物の息子さんをお返しします」
自分でそういた。
しかし名乗る勇気まではなかった。
「真実をらかにする。それが自分にできる唯の償いだといました」
は聞いた。
「共犯者はいますか」
「いません」
本は首を横に振った。
「全部、私1です」
数。
本の供述をもとに雑林が掘り返された。
そこから、残されていた健の遺骨が発見された。
健の遺骨は、ようやく佐藤へ戻った。
かず子はさな骨壺を両で抱いた。
10、痩せ細った田を抱きしめたと同じように、胸のへく引き寄せた。
「健……帰ってきたのね」
しかし今度は、返事がなかった。
あのは「ただいま」と言う声があった。
今回はたい骨壺だけだった。
誠は仏壇へ若い頃の健の写真を置き、線をてた。
煙が細くちった。
「すまなかった」
両をわせながら、誠は呟いた。
「父親なのに、気づいてやれなかった」
かず子が夫の肩へを置いた。
2とも、田を責めたい気持ちと、責めきれない気持ちので揺れていた。
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確かに騙された。
息子を名乗られた。
8、本物の健だと信じて暮らした。
けれど、その8に田が見せた優しさまで全て演技だったのかと考えると、そうとはえなかった。
病気になったかず子を病院へ連れていったことがある。
誠の鉄所が忙しいには、休を使って伝った。
誕にはいながらも贈り物を用した。
旅先では3で笑った。
どれも、今となっては本物の健とのいではない。
それでも両親のから消すことのできないだった。
刑事は、田の処分について佐藤夫妻の考えを聞いた。
「田誠さんについては、当然捜査をめます。ただ、お2のお気持ちも確認しておきたいとっています」
誠とかず子は顔を見わせた。
い沈黙の、かず子が言った。
「あの子も、本さんに利用されたんですよね」
「本ものために受け入れたことは認めています」
「分かっています」
かず子は膝のでを握った。
「許されることじゃないのも分かっています。でも……」
声が震えた。
「8、緒に暮らしたんです」
誠もゆっくり頷いた。
「偽物だった。でも、あのまで偽物だったとはえません」
2は田を激しく罰してほしいとは望まなかった。
方、本孝志に対する捜査は本格化した。
平成83。
潟方裁判所で本の裁判が始まった。
法廷にはくの傍聴が詰めかけた。
佐藤夫妻も方の席へ座った。
本は被告席で俯いていた。
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