"団地に残された17通" 第12話
連絡では、しい補助員を育てていた。
相談記録のき方、緊急性の判断、個報の扱い。志津が休んでも、別の担当者が同じ順で対応できるようにした。
それでも判断の違いはなくならない。
美は引っ越しも2回、補助員として通った。末の評価会議では、志津が民の言葉を待ちすぎると再び指摘した。
志津は、美がく結論をしすぎると反論した。
会議は予定を30分超えた。
最まで見は致せず、両方の対応案を半試し、記録を比較することになった。
仕事を終えると、2は挨拶だけして別れた。
その距で分だった。
17通のが入っていた古い箱は、警察から返却されたあと処分した。
連絡には、代わりに相談先を記した覧表を置いた。郵便物や落とし物は警察または管理会社へ、活相談は連絡へ、子どもの問題は学や専窓へつなぐ。
を預かる箱は作らなかった。
誰かの言葉をで守る役目を、もう引き受けないためだった。
の朝、志津は午8に団へ着いた。
清掃会社の女性が、5号棟の廊を掃いていた。階段の3段目にはが残り、滑り止めの表示が置かれている。
以なら、自分でを拭いただろう。
志津は状況を確認し、設備記録へいた。
「配管からし漏れているかもしれません」
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清掃員が言った。
「管理会社へ連絡します。ありがとうございます」
志津は箒に触れなかった。
壇では、園芸係の男性が枯れた葉を取っている。半、担当者が集まらず、壇は以の半分まで縮された。
寂しくなったと満を言う民もいた。
しかし今ある壇は、誰かの無償労働ではなく、5の当番で維持されている。
川は、介護付き宅へ移った。
聞の確認がになると、見守り登録を自分で解除した。退の、志津へ妻のの複写を渡そうとしたが、志津は受け取らなかった。
「川さんのです。ご自分で持っていてください」
川は満そうにしたあと、封筒を鞄へ戻した。
「今度は、ちゃんと断るんだな」
「覚えましたから」
2はそれだけ話して別れた。
佐伯は辺の町で計修理を続けている。
管理会社との解は成したが、青葉台団へ来ることはなかった。森とも会っていない。
森が謝罪のを送ったと聞いたが、佐伯が読んだかどうかは分からない。
志津は尋ねなかった。
受け取ったにしか決められないことだった。
午9、最初の相談者が連絡へ来た。
4号棟の女性で、隣の活音が気になるという。以にも同じ苦があり、隣の民は自分ではないと否定していた。
志津は、すぐにどちらが正しいと決めなかった。
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聞こえる、音の種類、継続期を確認し、管理会社による建物設備の調査を先に提案した。
「隣のが嘘をついているとうんです」
女性は納得しなかった。
「そうかもしれません。でも、今の段階では分かりません」
「藤本さんは、私を信じてくれないんですね」
以の志津なら、相を傷つけないために「信じています」と答えただろう。
そのは違った。
「困っていることは信じます。でも、原因は調べないと分かりません」
女性は満そうな顔をした。
相談をるも、挨拶を返さなかった。
志津は追いかけなかった。
すべてのに納得してもらうことはできない。
正しい順を踏んでも、たいと言われる。距を守れば、助けてくれないと責められる。
反対に、踏み込みすぎれば怖がられる。
誰からも誤解されない働き方はなかった。
昼、窓のを森が通った。
目がったが、互いにをげなかった。森はそのまま1号棟へ歩き、志津は記録用へ戻った。
団には、今も志津を信じないがいる。
を13隠していただと考える民もいる。災を蒸し返し、団の評判を傷つけたと責めるもいる。
佐伯を完全に信じないもいる。
森を許さないもいる。
美と志津の考え方も、これから先、完全には致しないだろう。
それでよかった。
全員が反省し、全員が仲直りする所など、現実にはない。
は過を抱えたまま、必なだけ同じ机へ座る。
分かりえない部分を残しながら、決めた仕事を続ける。
午の担当者が来ると、志津は3件の相談記録を引き継いだ。
「4号棟の騒音は、設備調査の返事待ちです。相談者は納得していません」
「分かりました」
相は記録を読み、自分の名をいた。
志津がいなくても、相談は続いていく。
鞄を持って連絡をると、清掃を終えた女性が用具庫の鍵を閉めていた。
廊はきれいになっていた。
志津は、掃き残しを探さなかった。
階段をり、団のへ向かう。
背から誰かが自分の名を呼んだ気がしたが、振り返らなかった。緊急なら、連絡に次の担当者がいる。
私はもう、誰かに必とされ続けるために、いつでも振り返るではなかった。
まだ私を信じないがいる。
それも、もう怖くなかった。
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