"団地に残された17通" 第11話
「報告が遅れて事故になったら、誰が責任を取るんですか」
「何でも報告すれば、誰も相談に来なくなります」
末の評価会議でも、2は同じ問題で対した。
美は志津の《本の様子を数観察する》という対応について、判断基準が曖昧だと面で異議をした。
志津は腹がった。
それでも、見を破棄しなかった。
以の団には、反対見を正式に残す仕組みがなかった。美の指摘が正しい部分もあり、観察を選ぶ条件と緊急連絡の基準を文章にすることになった。
2は友にはならなかった。
仕事が終われば別々に帰り、必のない連絡もしなかった。
しかし同じ机で異なる見を言い、記録に残すことはできた。
それが2の解ではなく、共の形だった。
《暮らし連絡》が始まって1が過ぎた。
制度は、計画通りにかないことの方がかった。
見守りを必としているのに、「監されたくない」と登録を拒む齢者がいた。族から申し込みがあっても、本が望まなければ定期確認はできない。
相談内容を自治会へらせてほしいという役員と、個報だから共できないという連絡員のでも対が起きた。
の助成は翌度から減額され、自治会費を200円げる案がた。反対する民もく、制度を縮する能性が議論された。
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完璧な仕組みにはならなかった。
それでも、以より変わったことがある。
誰かが、黙って問題を抱えることは減った。
5号棟の排管からが漏れた、志津は自分で雑巾を持ってかなかった。清掃会社へ全確保を頼み、管理会社へ設備修理を依頼した。
壇のが枯れたも、志津が植え直すことはなかった。園芸係を募集し、参加者が集まらなければ壇を縮すると決めた。
齢者から買い物を頼まれても、個に代せず、の活支援サービスを紹介した。
「藤本さんは、よりたくなった」
そう言う民もいた。
「以は、すぐにしてくれたのに」
志津は、その言葉を聞くたびに胸が痛んだ。
伝おうとえばできることもある。それでも度引き受ければ、次も期待され、志津が休んだに誰も対応できなくなる。
「私がしない方が、続けられることもあります」
そう説しても、納得しないはいた。
凛は学になり、団のへ引っ越した。
美夫婦が婚したわけではない。夫の勤務先にい所へみ替えただけだった。
凛は引っ越し、連絡へ来なかった。
志津も会いにかなかった。
最に公園で話したから、2は挨拶を数回交わしただけである。
いつか誤解が解け、親しい関係になることはなかった。
それでも、凛が困っていないなら、それでよいとった。
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森は団に残っていた。
自治会活から退き、ほとんどへなくなった。妻は戻らず、娘ののくで暮らしている。
民のには森を無するもいれば、買い物のに挨拶するもいる。災の責任を認めたからといって、15の関係がつの形に決まるわけではなかった。
あるの、森が連絡へ来た。
「台所のが止まらない」
設備相談の申込を差しした。
志津は、ほかの民と同じように内容を確認し、管理会社へ連絡した。
「私をんでいないんですか」
森が突然尋ねた。
「を捨てろと言い、あなたが疑われても黙っていた」
「んでいる部分はあります」
志津は答えた。
森は顔をげた。
「それでも、対応するんですか」
「今は仕事ですから」
許したわけではない。
困っている相を見捨てなかったことで、自分が善になったともわなかった。
決められた仕事を、決められた範囲でっただけだった。
修理業者が到着すると、森はをげて帰った。
志津は、その背を見送らなかった。次の相談記録をき、をいた。
志津は63歳になった。
医療施設の清掃を週2、団の暮らし連絡員を週3続けている。仕事をつに絞らなかったのは、団だけが自分の居所になることを避けるためだった。
《藤本さんがいなければ困る》と言われると、以はうれしかった。
今は、《私がいなくても回る方法を考えてください》と答える。
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