みかん小説
本棚

"団地に残された17通" 第7話

残る4世帯は、詳しい説を覚えていなかった。

美は、署名用の表題に《清掃業務とプライバシーに関する望》とき、民ごとに説を変えていた。最初から解雇を求めるつもりだったかと問われると、彼女は否定した。

「勤務内容を確にしてほしかっただけです。ただ、管理会社がかないので、民のきいとく伝えました」

「結果に、31世帯が藤本さんの退職を望んだように受け取られました」

しい自治会役員が指摘すると、美は答えた。

「管理会社が確認すべきでした。私は署名を偽造していません」

責任を自分だけで引き受ける気はなかった。

それでも、説分だったことは認めた。

美が志津の自宅を訪ねたのは、その1週だった。

「管理会社の説文を読みました」

「そうですか」

「署名の集め方について、誤解がじたことは認めます」

謝罪というより、事実の確認だった。

「誤解がじたのではなく、説を変えたんですよね」

志津が言うと、美は元を固くした。

「相によって、関のある問題が違いました」

「それなら31世帯をつの見として使うべきではなかったといます」

「管理会社の判断まで私の責任ですか」

「全部ではありません。でも、あなたに責任がないともいません」

2に沈黙が流れた。

美はげなかった。

広告

「凛が、公園でのことを話しました。藤本さんが怖かったのではなく、私に叱られることが怖くて、そう答えたそうです」

「聞きました」

「娘に、私へ本当のことを話すよう言ったんですか」

「いいえ。話したいに話せばいいと言いました」

「子どもに判断を任せるのは無責任です」

「無理に言わせるのも違うといます」

考え方は最までわなかった。

「凛ちゃんへ、もう私から声をかけることはありません」

志津が伝えると、美はしだけ表を緩めた。

「その方がいいといます」

美が帰ったあと、志津は胸の奥に痛みを覚えた。

凛を配しなくなったわけではない。しかし配することと、関わる権利があることは別だった。

から距を求められたなら、受け入れる。

それは解ではなかった。

互いの活を守るために、れることだった。

災から15が過ぎているため、信会社の通話履歴や管理の入退記録は残っていなかった。

消防が保管していたのは、状況、焼損範囲、関係者の供述、現写真などである。そこには森の供述も残っていた。

《午8頃まで集会所で防災資料を理し、その自宅へ戻った。管理には入っていない》

は現も同じ説を続けた。

しかし、別の記録が見つかった。

災当夜、団くの酒が自治会へ注文された茶と缶ビールを集会所へ届けていた。

広告

主はくなっていたが、息子が古い売掛帳を保管していた。

123の欄には、《青葉台自治会 午910分配達 受取・森》とあった。

が午8に自宅へ戻ったという説とはわない。

さらに、当の消防隊員が作成した聴取メモには、《森氏、から現にいた。管理鍵の所を説》と記されていた。

それだけなら、防災係として駆けつけた能性もある。

決めになったのは、修理会社の作業報告だった。

災の1か、管理の照が点滅するという連絡を受け、が点検していた。作業員は配線の老朽化を指摘し、壁のコンセントで力の器具を使わないよう管理員と自治会役員へ説した。

報告の確認欄には、佐伯と森の署名があった。

は、延コードの危険をらなかったとは言えなくなった。

それでも管理へ入ったことは否定した。

「酒の帳簿が正しいとは限らない。配達を受けたあと、自宅へ戻った」

松美代子さんは、午920分頃、赤い着の物が管理からたといています」

警察の聞き取りに対し、森は答えた。

「顔を見ていないのでしょう。私だという証拠にはならない」

その通りだった。

写真も記も、森を特定する証拠にはならない。

災当の消防調査を刑事事件としてやり直し、森を処罰できるほどの材料ではなかった。

が説を変えたのは、黒田への聞き取り記録が示されただった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: