"団地に残された17通" 第5話
「妻の病へ入るだった。面会記録にがある」
川は、病院から受け取った当の記を残していた。妻の入院、面会や医師の説を毎いていたのである。
123の欄には、午815分に《芳さんから話。、事費の件を話す》と記されていた。
それは芳が当まで会計問題を調べていたことを裏づけるが、災の原因を示すものではなかった。
「佐伯は7に度、団へ来た」
川が続けた。
佐伯は、災当夜に管理へ誰かが入っていた能性があると森へ伝えた。しかし森は、15の問題を蒸し返せば民が混乱するとして取りわなかった。
数、佐伯は森へをいた。
そのが、志津の保管箱から見つかったものだった。
「佐伯さんの居所をっていますか」
「昔の名刺ならある」
川は辺の町にある計修理の名刺をした。7、佐伯が置いていった物だった。
志津は、すぐに連絡しなかった。
本が15の話をしたくない能性もある。警察へ名刺を提し、必なら連絡してもらうべきだと考えた。
川は満そうだった。
「何もしないのか」
「私は調査するではありません」
「を13も取っておいたが、急に正しいことを言うな」
「違ったから、今度は同じことをしないんです」
川は言葉を失い、名刺を志津へ渡した。
広告
志津は翌、警察署へ届けた。
その3週、佐伯本から話がかかってきた。
「警察から、私のが見つかったと聞きました」
声は落ち着いていたが、災について尋ねるとい沈黙があった。
「藤本さん。あなたは、なぜそのを残したんですか」
「捨ててよいのか、自分で決められなかったからです」
「それで13も?」
「はい。正しいことをしたとはっていません」
志津が答えると、佐伯はさく息を吐いた。
「森さんは、を読んだのでしょうか」
「封はいていました。でも、誰がけたか分かりません」
佐伯は、災当夜の管理について話した。
自分がたあと、誰かが管理を使用した能性がある。そう考えた理由は、災の3かに団をた民・松美代子から、7に匿名のが届いたためだった。
封筒には、写真が1枚入っていた。
午9過ぎの管理の窓にかりがつき、赤い着を着た物の肩だけが写っていた。
顔は見えなかった。
写真だけでは、誰かを特定することも、ストーブを使ったことを証することもできない。
「その写真は、今もありますか」
「警察へ提しました」
証拠がつ増えたのではない。
曖昧な疑問が、つ増えただけだった。
災当、赤い着は自治会の防災係へ5着配られていた。
所していたのは黒田、森、川、芳、美代子の5だった。
広告
背に団名が入っていたが、全員同じ形で、写真から個を見分けることはできない。
川は病院にいた。
芳は午9半頃、203号の隣と廊で話していたという供述が消防記録に残っていた。美代子は自宅にいたと息子が証言していた。
黒田と森には、災のを裏づける記録がなかった。
しかし15の記憶だけで、どちらかを管理にいた物と決めることはできない。
警察は災の刑事事件を再捜査したわけではなかった。たな資料を当の消防調査記録と照し、関係者から事を聞いているだけだった。
森は、管理へ入っていないと答えた。
災当夜は午8頃まで集会所にいたが、そのは自宅へ戻ったと説した。妻も、夫は9には帰っていたとうと話した。
黒田は県の齢者施設にいた。
認能がし、当のことを尋ねても「事は終わった」「佐伯が悪かった」と繰り返すだけだった。
方、防事の会計については、別の資料が見つかった。
黒田の弟が経営していた《青葉設備企画》はすでに廃業していたが、事を部請け負った気が、古い請求の控えを倉庫に残していた。
請求額は38万円。
自治会の当の収支報告には、《防設備全面改修費90万円》と記載されていた。差額52万円がどこへ渡ったのかは分からない。
気が請け負ったのは、非常灯の部交換と消器の設置だけだった。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
面接官の誤算
夢だった大手企業の最終面接。 24歳の小館達郎は、人事の仕事に憧れ、努力を重ねてようやく最終面接までたどり着いた。だが、中央に座っていた人事部長は、彼の学歴や家庭環境を見下し、面接の途中で冷たく言い放つ。 「低学歴の貧乏人は、面接する必要なし。不採用で決まりだな」 母子家庭で育ち、必死に支えてくれた母への思いまで踏みにじられた達郎。悔しさをこらえながらも、彼はその場で言い返さず、静かに会社を後にした。 しかし1か月後、達郎は再び同じ会社へ呼び出される。 案内されたのは、あの日と同じビルの役員会議室。そこには人事部長の佐野、社長、そして達郎のよく知る一人の男が座っていた。 達郎の姿を見た瞬間、佐野の顔色が変わる。 あの日の「不採用」は、ただの終わりではなかった。 一人の応募者を見下した面接官が、会社全体に隠されていた問題を暴き出すきっかけになる――。真実|修羅場1.8萬字5 3 -
完結第10話
清掃員が書いた設計図
倒産寸前の小さな町工場に、1人の若い清掃員がいた。 佐藤ゆい、21歳。学歴は中卒。従業員たちからは名前で呼ばれることもなく、ただ雑用係として扱われていた。 そんなある日、大企業から依頼された精密部品がすべて不良品となり、工場は2000万円の違約金を突きつけられる。誰もが技術不足だと責められ、工場長の竹夫も廃業を覚悟しかけていた。 その時、ずっと黙っていたゆいが静かに口を開く。 「設計が間違っています」 中卒の清掃員が、大企業の研究所の図面に誤りがあると言い出した――。 誰も信じなかったその言葉が、やがて町工場の運命を大きく変えていく。履歴書には書けなかった彼女の本当の力とは。人生逆転|真相1.4萬字5 0 -
完結第18話
四十九日の注文票
夫の四十九日を終えた夜、59歳の円香は、息子夫婦から突然「明日の朝までに店の鍵を渡してほしい」と告げられる。 夫と32年間守ってきた惣菜店《おかず処まどか》。しかし土地と建物は、知らないうちに息子の名義へ移され、すでに再開発のため売却されようとしていた。 悲しみも癒えないまま、住む場所も店も奪われかける円香。さらに夫が管理していた店の預金も、借金返済に使われたと聞かされる。 そんな夜、夫の机の奥から見つかったのは、古い注文票だった。 《弁当120食。毎月第2土曜日。代金は受け取らないこと》 そこに書かれていたのは、円香の知らない女性の名前。 夫はなぜ、妻に黙って無料の弁当を届けていたのか。 なぜ、その女性を「店を失った時に訪ねろ」と書き残したのか。 追い出されたはずの店の裏で、夫が最後まで隠していた過去と、息子夫婦の本当の目的が少しずつ明らかになっていく――。人生逆転|親子関係2.8萬字5 41 -
完結第19話
赤ん坊を背負った応募者
東京・丸の内、大和建設の公開採用面接。 30歳の優人は、1歳の息子を背負い、破れた靴と古い鞄で会場に現れた。 「妻が救急搬送され、子供を預ける場所がありませんでした」 人事部長は彼を追い出そうとする。 その瞬間、鞄から徹夜で描いた設計図が床へ散らばった。 そして偶然通りかかった“鉄の女”と呼ばれる会長・北川文子が、優人の顔を見て凍りつく。 25年前に亡くした夫と、あまりにも似ていたのだ。 さらに翌日の特別面接。 文子は優人の指にある古びた銀の指輪を見て、震える声で尋ねた。 「その指輪……どこで手に入れたの?」 それは25年前、事故現場から消えた“世界に2つしかない指輪”だった――。因果応報|人生逆転2.8萬字5 68 -
完結第13話
判を押さなかった妻
65歳の佳代は、38年間連れ添った夫・修司から突然、離婚届と一枚の写真を差し出される。 写真に写っていたのは、10歳になる男の子。夫が11年前から外で関係を続けていた女性との子どもだった。 「離婚して、残りの人生は好きに生きたい」 そう言いながら修司は、離婚後も佳代に家に残り、食事や洗濯、薬の管理まで続けるよう当然のように求めてくる。 しかし佳代は、すぐには判を押さなかった。 悲しくて離婚できなかったわけではない。夫が隠してきた金の流れ、削られていた義母の施設費、そして“新しい人生”の裏にある都合のいい計画を、すべて明らかにするためだった。 38年間尽くしてきた妻が、最後に守ろうとしたものとは――。人生逆転|夫婦|熟年離婚1.9萬字5 1475 -
完結第10話
「貧乏な主婦は帰れ」と笑った銀行員――直後、支店長が私を見て凍りついた
祖母の遺産整理のため銀行を訪れた美咲は、質素な服装を理由に「底辺の主婦」と見下され、亡き祖母の通帳まで床へ投げ捨てられる。 だが彼女の本当の正体は、世界的巨大ファンドの資金を動かす天才システム開発者だった。 静かにスマホを操作した瞬間、5秒ごとに10億円が銀行から流出し始め――。ミステリー|真実1.5萬字5 719 -
完結第13話
消された母の名前
父の三回忌を終えた夜、53歳の里美は、認知症の兆しがある母・清子から、突然知らない名前で呼ばれる。 「直子、今度こそ逃げないで」 直子とは誰なのか。なぜ母は、娘である自分を妹の名で呼んだのか。 不審に思った里美が戸籍や父の遺した書類を調べ始めると、自分の出生届に残された不自然な訂正、20年以上続いていた謎の送金、そして施設で暮らす一人の女性の存在が浮かび上がる。 母が53年間守り続けたものは、愛だったのか、嘘だったのか。 隠された12通の手紙と、海辺の古い写真が、里美の知らなかった「本当の家族」を少しずつ明らかにしていく――。人生逆転|第二の人生|親子関係2.0萬字5 157 -
完結第13話
「田舎者」と見下した婚約者を実家へ招いたら、態度が一変した
地味で素朴なまゆは、恋人・光希から突然プロポーズされる。 しかし彼と女社長の母は、結婚相手を「家政婦」として値踏みし、田舎育ちのまゆを見下していた。そんな二人を実家へ招待すると、専属運転手、大豪邸、ワインセラー、ヘリポートまで現れ態度が一変。 だが、本当の審査はここからだった――。人生逆転|夫婦1.9萬字5 423 -
完結第10話
「俺の子じゃない」と言った夫へ、99.999%の鑑定結果を見せた日
命懸けで娘を産んだサツキに、夫・慶一が放ったのは「俺の子じゃない。DNA鑑定しろ」という非情な一言。さらに義母と義妹まで押しかけ、浮気女と決めつけ300万円の慰謝料を要求する。 しかしサツキは静かに一枚のDNA鑑定書を差し出した。 親子関係99.999%――そして次に彼女がテーブルへ並べたのは、夫が決して知られたくなかった“大量の写真”だった。 本当に裏切っていたのは、一体誰なのか――。人生逆転|真実1.6萬字5 661