"花嫁が追い出した親友" 第3話
だが、それ以に俺を避けるような態度はなかった。
子に乗っていると常に接することがなければ、最初は驚くこともあるだろう。
俺はそう考えることにした。
俺自、これまで似たような線は何度も経験してきた。
を歩いていれば、子供が議そうにこちらを見ることもある。でも瞬目を止めるはいる。
悪があるとは限らない。
分からないものを見れば、は反射に反応する。
それだけのことだ。
コーヒーをみ終えた頃、俺は計を確認した。
「そろそろ帰るよ」
陸がし残そうな顔をした。
「もう帰るのか?」
「これ以、婚予定の2に付きったら邪魔だろ」
「まだ結婚してないけどな」
「同じようなもんだ」
適当な理由をつけて席をつと、陸はのまで見送ってくれた。
俺のがめてある所まで来ると、陸は改めて言った。
「今は本当にありがとう」
「何回言うんだよ」
「いや、おに会ってもらえてよかった」
陸の表を見れば、満していることは分伝わった。
「いいじゃないか」
俺が言うと、陸は嬉しそうに笑った。
その笑顔を見て、俺もした。
へ移る準備をしながら、何気なくの入へ線を向けた。
しれた所に美智がっていた。
俺と陸が話しているのを気にしているようだったが、づいてくることはなく、ただ黙って陸を待っている。
広告
その線が、妙に落ち着かなかった。
俺の方を見るたび、何かを考えているように見える。
それでも、俺はく考えなかった。
これから陸と結婚すれば、俺と会う会も増える。
子が珍しいのなら、そのうち慣れるだろう。
俺は陸へを振り、をした。
それから結婚式までの々は慌ただしく過ぎていった。
美智とは会わなかったが、陸とは会社で毎のように顔をわせた。
仕事の話が段落すると、陸は結婚式の話をした。
招待客。
料理。
当の。
両親への挨拶。
細かなことまで楽しそうに話すため、聞いている俺まで式が待ちしくなってきた。
陸の父親は仕事の付きいが広く、今回の結婚式には昔から世話になっている経営者や取引先の関係者も席するという。
陸自の仕事関係者もく招待されていた。
「ずいぶんきな式になったな」
「俺はもっとさくてもよかったんだけど、美智がに度だからって」
「まあ、いいんじゃないか。楽しみにしてるよ」
俺は本からそう答えた。
親友のれ姿だ。
できるだけ盛に祝ってやりたかった。
ところが結婚式の夕方。
仕事を終えて自宅へ戻る途、俺のスマートフォンに見覚えのない番号から話がかかってきた。
取引先かもしれない。
そうってると、し緊張した女性の声が聞こえた。
広告
「平井さんですか?」
「はい」
い沈黙の、相が名乗った。
「美智です。陸さんの……」
俺は驚いた。
美智が直接俺へ話をしてくる理由がいつかなかった。
「どうしました?」
尋ねると、美智はすぐには答えなかった。
そして数秒迷った、結婚式の話を切りした。
「の結婚式のことなんですけど」
美智の声は、最初にレストランで会ったと同じように穏やかだった。
それでも何となく言葉を選んでいることが伝わってきた。
「何か変更でもありました?」
「変更というわけではないんです」
「じゃあ?」
また沈黙があった。
美智はさく息を吐いた、ゆっくり話し始めた。
今回の結婚式には、陸の父親の仕事関係者や、陸自の取引先など、社会なのあるが勢席する。
陸にとっても切な1になる。
そこまでは俺も聞いていた。
「それでですね……平井さんがいると、陸さんが気を遣うとうんです」
俺はが分からなかった。
「俺に?」
「子ですし」
その言葉で、何となく話の方向が見えた。
美智は続けた。
移のに誰かの助けが必になるかもしれない。
会側も配慮しなければならない。
陸が俺のことを気にして、結婚式に集できなくなるかもしれない。
言葉だけを聞けば、俺を配しているようにも聞こえた。
しかし、美智が本当に気にしているものが別にあることは、次第に伝わってきた。
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
父の葬儀の日_夫は愛人を車に乗せて去った
48歳の由美は、3年間ほぼ1人で父を介護し、78歳の父を見送った。ところが葬儀の帰り、20年連れ添った夫・浩司は、愛人と思われる女性を助手席に乗せたまま、喪服姿の由美を雨の駅前で車から降ろす。「俺だって1日付き合って疲れてるんだ」。由美は泣かず、父が亡くなる2日前に渡してくれた古い革鞄を開いた。中にあったのは、1通の手紙、弁護士の名刺、そして夫の会社に関する資料。手紙の最初には、「浩司君に、私の通帳も印鑑も渡してはいけない」と書かれていた。なぜ父は、娘の夫をそこまで警戒していたのか。由美は父が最後に残した手がかりを追い始める。夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場|不倫1.5萬字5 3 -
完結第13話
0円の注文帳
母の死後、55歳の直子は、43年間続いた弁当屋「こもれび弁当」を片づけるため、久しぶりに実家へ戻った。 店の奥から見つかったのは、母が残した古い注文帳。そこには、直子が20歳の誕生日に母を嫌いになった夜の記録が残されていた。 《6号棟504 2食 0円》 《白いタオル》 《直子には言わない》 あの日、母は誕生日の食卓を途中で抜け出し、急ぎの配達へ行った。直子はずっと、母が自分より店の客を選んだのだと思っていた。 しかし30年後、注文帳に残された「0円」の意味を追ううちに、直子は知らなかった母の顔、父が隠した事実、そして自分が娘に繰り返しかけていた言葉の重さに気づいていく。 母は本当に、娘の夢を奪った人だったのか。 古い弁当屋に残された一冊の帳面が、30年間止まっていた母娘の時間を静かに動かし始める。金銭問題|修羅場1.9萬字5 134 -
完結第20話
温泉旅行を贈った夫の本当の目的
結婚32年、家族のために働き続けた恵美子。ある日、夫から突然贈られた高級温泉旅行に喜ぶが、忘れたスマホを取りに戻ったことで、夫と若い愛人の恐ろしい本音を聞いてしまう。 「退職金も土地も奪って、最後は追い出せばいい」 しかし二人は知らなかった。 “何も知らない従順な妻”と見下した恵美子が、32年間の医療事務経験で培った知識と証拠収集力を武器に、すでに完璧な反撃を始めていたことを――。 愛も金も家も失うのは、一体誰なのか。夫婦|修羅場3.0萬字5 390 -
完結第13話
退職届を出した夫が、最後の会議で暴いた妻社長の嘘
3年前。 妻・美穂が経営する会社で働いていた健二は、突然退職届を提出した。 理由は、妻の秘書・田中から告げられた一言だった。 「空気を読んで、自分から辞めてください」 愛する妻の会社で、自分だけが邪魔な存在になっていた。 しかし美穂は、田中との関係を否定し続ける。 「彼とは同僚としての関係しかない」 健二が信じていた3年間の結婚生活は、少しずつ崩れていた。 だが退職の日、健二はさらに恐ろしい事実を知る。 自分を追い出すために仕組まれた偽のセクハラ告発。 消された顧客情報。 そして、妻と秘書が隠していた本当の目的。 追い詰められた健二は、最後に残された証拠を手に取る。 音声記録。 社内システムの履歴。 競合会社との裏取引。 すべてを明らかにする場所は――妻の昇進をかけた役員会議だった。 そこで暴かれる、愛していた妻の裏切り。 10年間支えてきた会社も、信じ続けた夫婦の絆も、一瞬で崩れ去る。 そして健二は、何も奪わず、ただ一言だけ告げる。 「もう、昔の俺には戻れない」修羅場2.0萬字5 335 -
完結第13話
10年契約の果てに消えた夫
10年前。 事故で妻と娘を失ったタケシの前に、謎のシステムが現れた。 「別の世界で10年間、ユキとその娘に寄り添えば、失った家族を復活させる」 愛する家族を取り戻すため、タケシは契約を受け入れた。 そして彼は、ユキと幼いヒメのために、すべてを捧げる10年間を過ごした。 しかしユキが愛していたのは、タケシではなく、かつて自分たちを捨てた初恋の相手・シャオだった。 タケシは夫ではなく、都合のいい存在として扱われ続ける。 残り7日で任務が終わる日。 シャオが戻ってきたことで、タケシの最後の居場所は完全に奪われた。 そして彼は、10年間守り続けた家族からも、最後まで信じてもらえなかった。 やがて任務を終えたタケシは、すべてを捨てて元の世界へ帰る。 数年後、真実を知ったユキとヒメは、初めて彼がどれほど傷ついていたのかを理解する。 だが――。 もう彼の隣には、二度と離したくない本当の家族がいた。 10年間の犠牲は愛だったのか。 それとも、ただ失った家族を取り戻すための契約だったのか。修羅場1.9萬字5 198 -
完結第16話
閉ざされた玄関の暗証番号
田園調布の豪邸で暮らす田中勇気と妻・桜。勇気は一人暮らしになった母・澄子を思い、妹の弓とともに同居を始める。しかし、その優しさは次第に家族の境界線を曖昧にしていった。 勇気が海外出張中、桜は高熱で倒れながらも義母の来客対応を強いられる。初めて「できません」と拒んだ彼女に、澄子は怒りを募らせ、桜本人の意思を無視して荷物をまとめ、家から追い出してしまう。 夫に心配をかけまいと黙って耐える桜。しかし異変を感じた勇気は急いで帰国し、隠されていた真実を知る。 妻を守れなかった自分の過ち、そして母が家族への感謝を「支配する権利」と勘違いしていたことに気づいた勇気は、家族の在り方を見直す決断をする。 本当の家族とは何か。愛情と依存の違いを描く、再生と絆の物語。嫁姑|第二の人生|修羅場2.4萬字5 198 -
完結第14話
返されなかった合鍵
25年間、誰にも知られず借り続けられていた203号室。 夫の葬儀の日、見知らぬ女性から渡された一本の合鍵が、妻・千鶴の人生を大きく揺さぶる。 亡き夫はなぜ、家族に隠れて古い部屋を借りていたのか。 そこに残されていたのは、31本のカセットテープと、一人の少女の思い出だった。 最初は裏切りだと思った秘密。 しかし調べるほどに明らかになる、夫が25年前に背負った約束と、誰にも話せなかった苦悩。 守ることと、信じること。 家族を思う気持ちと、誰かを救おうとする気持ちは、時にすれ違ってしまう。 一つの合鍵から始まった真実の先で、千鶴が見つけたものとは――。人生逆転|相続|修羅場2.0萬字5 270 -
完結第12話
一万八千円の飯
自分の家族が経営する5つ星ホテルで、何気なく注文した一品の炊き込みご飯。 メニューでは1,800円に見えたはずなのに、会計明細には「18,000円」と記されていた。 帰国したばかりの後継者・小川優馬は、単なる表示ミスだと思い責任者を呼ぶ。だが、レストラン責任者は「社長が承認した価格です」と言い切った。 父が守ってきたホテルで、なぜ一杯のご飯が10倍の値段になっているのか。 優馬が調べ始めると、異常な価格変更、不可解な仕入れ、法人客への不自然な請求、そして継母・里見の影が浮かび上がっていく。 やがてその小さな違和感は、20年前に亡くなった実母・秋子の死、奪われた母方の財産、腹違いの弟の秘密、そして恋人だと思っていた女性の正体へとつながっていく。 始まりは、たった一杯の炊き込みご飯だった。 だが、その18,000円の明細は、運海ホテルに隠された20年越しの闇を開く鍵だった――。因果応報|修羅場1.7萬字5 78 -
完結第12話
復讐とんかつの逆転便
とんかつ弁当を注文した堀川琢磨の前に現れたのは、高校時代に自分を見下していた金持ち令嬢・柏木綾音だった。 かつて高級ブランドを身につけ、貧しい琢磨を笑っていた彼女は今、実家のとんかつ店を守るため、配達員として頭を下げていた。 「お前が配達?令嬢なのに?」 復讐心に火がついた琢磨は、自分の成功を見せつけるため、何度もとんかつ弁当を注文し続ける。 だが、届く弁当の味は想像以上だった。 そしてある日、綾音が差し出した冷凍とんかつの試作品が、琢磨の運命を大きく動かしていく。 過去の屈辱、消えない傷、落ちぶれた令嬢の謝罪。 復讐のつもりで始まった注文は、やがて小さな老舗店を救い、琢磨自身の孤独な人生まで変えていく――。因果応報|人生逆転|修羅場1.7萬字5 66 -
完結第11話
断髪新郎の逆転婚礼
抗がん剤治療で髪を失った彩佳は、唯一の家族である兄・健太の結婚式に出席することになった。 両親を亡くしてから、兄妹2人で支え合って生きてきた彩佳。兄の幸せを心から願い、母の形見のスカーフを巻いて式場へ向かう。 しかし、兄嫁の母・礼子は、そんな彩佳を見た瞬間、冷たい言葉を投げつけた。 「その頭で親戚席に座る気なの?」 病気の妹は縁起が悪い。式に出るな。兄との縁も切れ――。 追い詰められた彩佳の前に現れた健太は、笑顔のまま静かに言い放つ。 「では、新郎ごと帰りますか?」 その一言で礼子の顔色は変わった。 だが本当の反撃は、披露宴で用意されていた“新郎新婦、最初の共同作業”から始まる。兄弟姉妹|修羅場1.7萬字5 37