"判を押さなかった妻" 第9話
などと、私が聞いてもいないことまで話していたのに、今はスマートフォンが鳴るたび別へ移するようになった。あの夜、千佳が初めて修司の活の実態をり、のにも何か変化が起きたのだろう。
私には、そこへ介入するつもりはなかった。千佳が何を考えて修司と11関係を続けたのか、悠斗に父親についてどう説してきたのか、私には分からない。りはあったが、なくとも10歳の子どもまで敵にするつもりはなかった。
私が向きうべきなのは、修司と私の38だった。
弁護士を通じて、財産関係の理が本格に始まった。預貯、の評価、保険、退職の残り、私が仕事を辞めるの資産状況などを確認し、婚姻の財産についてつずつ資料を揃えていった。
修司が千佳たちへ使った費用についても、どの支をどのように扱うかは簡単ではなかった。すべてをそのまま返せという話にはならないが、婚関係が期続いていたことや、共財産から相当額が支されていたことは、婚条件を話しううえで無できないと説された。
私は最初の夜に言った。
「全部返すまで婚しない」
あれは法律用語として正確な言い方ではなかったかもしれない。
けれど私が本当に求めていたのは、額だけではなかった。
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修司が「俺が稼いだだから好きに使った」と言って終わらせるのではなく、そのが夫婦として38築いた活の部だったことを認めること。私が仕事を辞めて義母の世話をした18も、何もしていなかったではないと理解すること。そして婚も私を無料の政婦として残すという条件を、当然の権利のように押しつけないことだった。
ある夕方、修司が自分から話しかけてきた。
「弁護士、入れたんだな」
「入れたわ」
「そこまでしなくても話しえるだろ」
「話しおうとした、あなたは婚届とペンを置いて、『役目は終わった』って言ったでしょう」
修司は顔をしかめた。
「腹がってたんだ」
「何に?」
「千佳からずっと急かされてたんだ。悠斗もきくなってきたし、ちゃんと父親として暮らしたかった」
私はその言葉を聞いてしだけ考えた。
「悠斗君の父親になりたいとったこと自体は、私は責めない」
修司はそうに私を見た。
「でも、父親になるために私の夫であることを隠して11過ごしたことと、その活を私たちのおで支えたことは別。お義母さんのおまで削ったことも別よ」
「母さんのことは悪かったとってる」
初めて修司のから「悪かった」という言葉がた。
私は黙って続きを待った。
「当はしくらいなら丈夫だとった。
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2万5000円だけなら、母さんの活もそんなに変わらないとったんだ。悠斗がまれたばかりで、千佳も仕事を休んでて、が必だった」
「それが10続いた」
「途で戻せなくなった」
私は修司の顔を見た。
それは倫の説というより、帳簿をごまかしたが、最初の件について話しているようだった。
度だけ。
しくらいなら。
誰にも分からない。
そしてが経つほど、元へ戻すには説が必になる。
だから隠し続けた。
「私に言相談する選択肢はなかったの?」
修司は苦笑した。
「言えるわけないだろ。との子どものをしたいなんて」
「だから私に黙ってしたのね」
「……そうだ」
その夜、修司は初めてくのことを認めた。
千佳とりった期。
妊娠をった。
賃貸マンションを借りた経緯。
私に隠すため支名目を変えたこと。
命保険の受取を変更したこと。
そして、婚も私が事を続けると千佳には詳しく説していなかったこと。
最に私が尋ねた。
「どうして私ならやるとったの?」
修司はしばらく考えてから答えた。
「今まで全部やってくれたから」
その言葉は残酷だったが、同に正直だった。
私はその夜、自分が38かけて作った「何でもやってくれる妻」という役割を、自分ので終わらせようと決めた。
修司と千佳の関係が決定に変わったのは、さらに2週ほどだった。
修司は朝から何度もスマートフォンを確認し、昼過ぎになると珍しく自分でシャツにアイロンをかけ始めた。
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