"0円の注文帳" 第13話
枝が町を救ったともいていない。
それでよかった。
直子はスマートフォンを取りし、写真を枚撮った。
誰に送ろうか迷い。
彩へ送った。
数分。
《いいじゃん》
とだけ返ってきた。
昔の母なら。
もっと何か言ったかもしれない。
直子も。
以なら説したくなっただろう。
今はそれで分だった。
帰りのへ乗る。
バッグのには、調理講座のとノートが入っている。
そして。
母の古い「0円の注文帳」も冊だけ持ってきていた。
直子は席へ座り、平成3113のページをいた。
《2010分 6号棟504 2 0円》
30。
このをらなかった。
もしっていたら。
は違っていただろうか。
母を嫌いにならなかったかもしれない。
父をく嫌いになったかもしれない。
京へく方法を探したかもしれない。
逆に。
何も変わらなかったかもしれない。
今となっては分からない。
直子は次のページをめくった。
そこには。
《直子 1 0円》
とある。
母が毎、自分の誕に作っていた弁当。
本には届けなかった。
本当に器用な母だった。
直子はし笑った。
母を許したか。
まだ。
はっきりとは言えない。
たぶん。
、腹がつ部分も残る。
それでいい。
親がんだからといって。
すべてを美しいいに変える必はない。
していたことと。
傷つけられたこと。
謝していることと。
許せないこと。
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その全部を緒に持っていていい。
55歳になって。
直子はようやくそうえるようになった。
が京へづいていく。
今は夜講座のだった。
来週は魚の枚おろし。
その次は商品原価の計算。
半に何をするかは。
まだ決めていない。
スーパーへ戻って今まで通り働くかもしれない。
惣菜の商品発に挑戦するかもしれない。
さな教で料理を教えるかもしれない。
彩のをたまに伝うだけかもしれない。
どれでもいい。
20歳の。
直子のについて。
父が答えを決めた。
その。
母も答えを決めた。
そして30。
直子自も、
《もう遅い》
という答えを勝に決め続けていた。
母だけではなかった。
自分も。
自分のの扉を閉めていた。
がホームへ入った。
直子は注文帳を閉じる。
母が返した128万4,600円も。
の名も。
料理のも。
これからどうするかを。
誰かに決めてもらう必はない。
ホームへりた。
彩からもう通メッセージが届いた。
《根の煮物、今度ちゃんと教えて》
直子は歩きながら返信した。
《いいよ。でもは自分で決めなさい》
送信してから。
自分でし笑しくなった。
母なら何と返すだろう。
「かったら醤油をしなさい」
そんなことを言う気がした。
改札をる。
京の夕方はがかった。
20歳の直子が来るはずだった町。
55歳の直子が。
今。
自分で選んで歩いている。
遅かったとはわない。
かったともわない。
ただ。
今だった。
直子は混みのを、学のある方向へ歩き始めた。
今度は。
誰にもき先を決めてもらわずに。
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