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"「貧乏な主婦は帰れ」と笑った銀行員――直後、支店長が私を見て凍りついた" 第8話

美咲はどこまでもく澄み渡る青空を見げながら、の主婦としての、穏やかでおしい何気ない常へと、柔らかな笑顔を浮かべて再び歩みをめていった。

川が応接へ引きずられていった、静まり返ったロビーには、まだ微かな緊張の余韻が漂っていた。 受付カウンターのろに並んでいた若員たちは、直のまま微だにできず、蒼な顔で指先を震わせていた。

藤は、美咲のに歩み寄り、改めて々と腰を折った。

「池田先……このたびは当届き者が、先ならびにお祖母様の尊厳を踏みにじるような真似をいたしまして、ねてお詫び申しげます。川に対する処分は、懲戒解雇の続きをめるとともに、コンプライアンス統括部および法務部へ直ちに報告いたします」

美咲は、元に戻した祖母の通帳を布製のトートバッグに丁寧にしまいながら、穏やかな線を藤に向けた。

藤さん、りに任せて川さん個を責めてるだけでは、本質な解決にはなりません。彼があのような振るいに及んだ背景には、預額や肩きだけで顧客を値踏みすることを暗黙のうちに許容してきた、この支全体の空気があるのではないでしょうか」

その静かな指摘に、藤だけでなく、巻きに聞いていた員たち全員が肩を震わせた。

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「おっしゃる通りです……。数字のノルマに追われ、最も切な信頼という基盤を見失っておりました」

「祖母の座は、このまま残しておきます。預け直した遺産の分も、正当な続きで名義変更をめてください。必類は、先ほど川さんにお渡しした束のにすべて揃っています」

「は、はい! 直ちに私が責任を持って、備なく続きを完させます!」

藤は自らカウンターの内側に入り、に散らばりかけていた類を枚、恭しく両で揃えた。 そのつきには、先ほどの川のような侮蔑は切なく、顧客のを預かるとしての敬が込められていた。

美咲は続きの完を見届けると、控えの伝票を受け取り、バッグのファスナーを閉めた。

「それでは、失礼いたします」

「先、お見送りいたします!」

藤をはじめ、そのにいたすべての員が々とげる、美咲は静かな取りでエントランスへと向かった。

ドアをくぐり抜けてると、がりのは澄み切った気に包まれていた。 濡れたアスファルトが陽を反射して黒くり、の葉先からは折、キラリと滴がこぼれ落ちる。

美咲は歩ち止まり、く息を吸い込んだ。 え切った肺の奥に、がりのの匂いが満ちていく。

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バッグの底にある通帳のみをのひらでじながら、美咲はゆっくりと歩んだ。 駅へ差し掛かると、先で威勢のいい声が響き、惣菜からは揚げたてのコロッケのばしい匂いが漂ってくる。エプロン姿の主が馴染みの客と談笑し、銭のやり取りとともに笑顔が交わされていた。

そこにあるのは、何億、何百億という巨な国際送システムのにはしない、きた々の営みだった。

『おっていうのはね、ただの数字じゃないんだよ。誰かの汗と涙と、切ないが形になったものなんだ』

幼い頃、買い物籠を提げた祖母が、商先で美咲のを握りながら教えてくれた言葉。 その教えのみは、世界の融システムの最部をった今だからこそ、よりく胸に染み渡る。

美咲は所のスーパーにち寄り、夕飯の買いしを済ませることにした。 特売のキャベツをに取り、鮮な豚肉を選び、かごに入れる。レジで銭をし、レシートを受け取る。

誰に誇示することもない、ありふれた主婦としての々。 しかし、その何気ない常の平穏こそが、美咲にとって何物にも代えがたい最も尊い宝物だった。

買いし袋を腕に提げ、美咲は自分のへと続く坂を登っていった。 の空には柔らかな夕焼けが広がり、澄み渡る茜が、彼女の歩むを穏やかに照らししていた。

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