みかん小説
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"帰れなかった15歳" 第8話

美津子はすぐには答えられなかった。

「まだ分かりません。でも今度こそ、最まで探します」

翌朝、美津子は23所を頼りに荒川沿いの町へ向かった。

いた所に、島縫製所はもうなかった。

古いは昭40代に取り壊され、跡にはさな印刷会社と宅が建っていた。も広がり、当の面を残すものはほとんどない。

美津子はくの商を1軒ずつ訪ねた。

「昭35頃、ここに島縫製所というがありませんでしたか」

若い員は首を振った。

しかし古くから続く酒で、80歳い主が反応した。

「あったよ」

の奥からてきた。

「川寄りの細いを入ったところだ。今じゃそのものが変わっちまったけどな」

「女の子が働いていませんでしたか」

「いた。ずいぶん若い子ばっかりだった」

は眉を寄せた。

「田舎から来た子だったな。みたいな子までいた」

美津子の胸が鳴った。

「昭35から来た女の子を覚えていませんか。佐藤佐子という15歳の子です」

写真を見せる。

は目を細めた。

、写真を見た。

「顔までは分からんなあ」

やがてそう言った。

「でも、1だけ妙な子がいたのは覚えてる」

「妙な子?」

「働きに来たはずなのに、毎のようにせって騒いでた」

美津子のが震えた。

「何て言っていました?」

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「私はここのじゃない、会社へ戻してくれって。そんなことを言ってた気がする」

子だ。

美津子には確信があった。

「その子、そのどうなりましたか」

は首を傾げた。

「しばらくしたら見なくなった。ただ……」

言葉を止める。

「何ですか」

事があったんだよ」

美津子は息をのんだ。

354

子が消えてから3週ほど島縫製所の裏さな災が起きたという。

聞へ載るほどのではなかった。古い配線からし、作業部と女子寮代わりに使っていた2階が焼けた。

「夜だった。女の子たちが裸てきたよ」

を指した。

「あの辺りに何も座り込んでた」

「怪をしたは?」

「1、救急で運ばれたはずだ」

美津子は写真を握り締めた。

「名を覚えていませんか」

「そこまでは……」

はしばらく考えた、ふとしたように顔をげた。

「そうだ。向かいの伊藤さんならってるかもしれん」

「伊藤さん?」

「縫製所で働いていた女のだよ。あの頃もう30歳くらいだったから、女の子たちの世話をさせられていた」

伊藤は、れた区営宅で暮らしていた。

72歳になっていた。

美津子が訪ねると、最初は何も話したがらなかった。

「昔のことですから」

「佐藤佐子さんのお母さんが、今も待っているんです」

その言で、の顔が変わった。

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「……まだ?」

「23です」

は玄関にったまま俯いた。

やがて「入りなさい」と言った。

は当島縫製所で縫い子たちの指導をしていた。

「私は子どもたちを連れてきたじゃない。でも、あそこで働いていた。だから何もらなかったとは言えない」

女たちは朝7から夜遅くまでミシンを踏んでいた。

になっても現を渡されることはなかった。

「寮費を引いた」

費を引いた」

「紹介料が残っている」

そう説され、封筒に数百円しか入っていないこともあった。

辞めたいと言えば、故郷までの交通費を請求された。

子は初から反発したという。

「私はここで働く契約なんてしていません。野へ戻してください」

何度言われても引かなかった。

さいのに、い子だった」

は目を伏せた。

の子の分まで言うのよ。千代ちゃんが泣いていれば、どうしてこの子だけ料を減らすんですかって」

「佐子らしいです」

美津子の声が震えた。

子は子どもの頃からそうだった。

自分がられることには耐えるのに、誰かが理尽に扱われると黙っていられなかった。

いていましたか」

の顔が曇った。

いてた」

美津子は息を止めた。

「お母さん宛てに」

「何度も?」

なくとも3回は見た」

「届いていません」

は唇を噛んだ。

「やっぱり」

女たちがいたは、側がまとめて投函すると言って回収していた。

だが佐子が自分の就職先へ戻してほしいといたや、待遇の悪さをいたものはされなかった。

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