"帰れなかった15歳" 第6話
「母親1で育てたから、し自由にさせすぎたんだ」
商へ入ると会話が止まり、ですれ違ったが振り返る。
弟たちまで学で「姉ちゃんが男と逃げた」とからかわれた。
ある、次男の信夫が目を腫らして帰ってきた。
喧嘩をしたのだという。
「姉ちゃんは逃げてない!」
そう叫びながら相の子を殴ったらしい。
トヨは息子を叱れなかった。
ただ汚れた頬を濡れた布で拭き、「母ちゃんもそうってる」と言った。
毎、警察へをいた。
京の、職業定所、縫製関係の会社にも問いわせた。
返ってくる答えは同じだった。
しい報はありません。
方は分かりません。
数が過ぎると、警察からの連絡もほとんどなくなった。
町の々も佐子について話さなくなった。
やがて、最初からしなかったのように扱われ始めた。
それでもトヨは娘の部を片づけなかった。
机のには学の国語の教科を置き、箪笥には佐子の着ていたを残した。
毎3になると、握り飯を3つ作った。
の皮へ包み、仏壇には置かなかった。
佐子はくなったと決まったわけではない。
だから供えるのではない。
いつ帰ってきてもべられるよう、卓へ置いた。
「今も帰らなかったね」
夜になるとトヨは誰もいない娘の部へそう声を掛け、翌朝、固くなった握り飯を自分でべた。
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方、京の女子寮で暮らす美津子も、佐子を忘れられずにいた。
で失敗して泣いた夜。
寮の布団で故郷をいした夜。
盆に皆が帰省し、自分だけ残った夜。
そのたび野駅に置きりになった柳李をいした。
佐子が予定通り会社へ来ていれば、隣のベッドで眠っていたかもしれない。
だけが、女たちを待たずにんだ。
美津子たちは働き、料を故郷へ送り、しずつ京での活に慣れていった。辞めて故郷へ帰る者、結婚して寮をる者もいた。
美津子だけはに残った。
そして働き始めて23目となる昭58の、女子寮の舎監になっていた美津子の机へ、差のない封筒が届いた。
には、便箋が1枚。
青いインクで2だけかれていた。
《佐子は、京まで来ています》
《野駅で消えたのではありません》
美津子は便箋をにしたまま、しばらく呼吸することさえ忘れていた。
封筒には消印があった。
京都荒川区にあるさな郵便局から、3に投函されている。
差の名も所もない。
便箋も封筒も、どこの文具でも買える物だった。文字にも見覚えがない。
それでも、いた物が佐子の事をっていることだけは確かだった。
《京まで来ています》
《野駅で消えたのではありません》
この2がするものを、美津子は何度も考えた。
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佐子が故郷へ戻ったのではないこと。
野駅からさらに別の所へ移したこと。
そして、それをっている誰かが23、どこかにいたということ。
美津子はそのの仕事を終えると、の古い倉庫へ向かった。
昭30代の類は何度も理され、くが処分されている。それでも入寮者名簿や採用関係の資料の部は、古い段ボールに残されていた。
茶く変したファイルをく。
そこに、佐藤佐子の名があった。
美津子は指でその文字をなぞった。
氏名の横に、赤い鉛でくかれている。
《本都により辞退》
美津子はを止めた。
野駅で突然姿が見えなくなった15歳の女が、「方」ではなく、「本の都で就職を辞退した」と処理されていた。
さらに探すと、当の引率報告が見つかった。
《佐藤佐子は野駅到着、とわれる者を追って集所をれた。本のによる脱と判断し、荷物のみ会社で保管した》
千代子については言もない。
い腕章の男についてもかれていない。
美津子は、同じ列へ乗った元同級たちへ連絡を取った。
23のに所が分からなくなった者もいたが、4とは話すことができた。
節子は、千代子の腕を掴んでいた佐子を覚えていた。
「佐ちゃん、ずっと気にしてたよ。
あの子を1でかせちゃいけないって言ってた」
芳は、途から乗り込んだ男を覚えていた。
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