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"帰れなかった15歳" 第4話

しかし佐子だけは、ホームの階段付で何度もろを振り返っていた。

「佐ちゃん、何してるの。点呼が始まるよ」

「千代ちゃんたち、どこにいるんだろう」

「途で乗り換えるんじゃなかったの?」

ろの両へ移っただけだった。りたところは見てない」

子は列の途から何度か両を見にこうとしていた。

そのたびに引率者から席へ戻るよう注され、結局、千代子の姿を確認できないまま野まで来てしまった。

やがて波の向こうに、見覚えのある焦げ茶子が見えた。

駅から乗り込んできた腕章の男だった。

そのろには、千代子を含む4女がいる。

彼女たちは企業の担当者が並ぶ正面側ではなく、荷物を運ぶ々がき交う脇の通へ連れてかれようとしていた。

千代子も佐子に気づいた。

「佐ちゃん!」

々の声にかき消されそうな、さな叫びだった。

子は考えるより先にいていた。

李をそのへ置き、女たちを追いかける。

「佐子、どこへくの!」

美津子の声が背から聞こえたが、ち止まらなかった。

男は混雑した通を慣れた取りでんでいった。途で別の男が流し、女たちの荷物を受け取る。

「待ってください!」

子が追いつき、千代子の腕を掴んだ。

「この子たちは、どこへくんですか?」

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子の男が振り返る。

「君には関係ない。自分の会社へけ」

「この子の求票には別のの名いてあります」

請けへ先にくだけだ」

「だったら、最初の会社のに説してもらいます。迎えが野に来るっていてあります」

男の顔から、わずかに笑みが消えた。

「お嬢ちゃん」

声がくなる。

京では、の言うことを聞けない子は仕事をもらえないぞ」

子は怖かった。

が震え、千代子の腕を掴んでいるには汗がにじんだ。それでもすことができなかった。

千代子がさな声で言った。

「佐ちゃん、もういいよ。って」

「よくない」

「佐ちゃんまで仕事なくなるよ」

所を確認したら戻るから」

子は男を見げた。

「私、この子と緒にきます」

「何を言ってる」

所だけ見たら、自分の会社へ戻ります」

男は舌打ちした。

周囲を見回し、きな騒ぎになっていないことを確かめると、佐子の肩をく押した。

「勝にしろ。ただし、で泣いてもらないからな」

子は千代子と緒に歩き始めた。

何度か振り返ったが、美津子たちの姿は波に隠れて見えなかった。

自分の柳李も、母が持たせた皮の握り飯も、そのへ置いたままだった。

子はすぐ戻れるとっていた。

千代子のき先を確認し、駅へ引き返す。会社のし叱られるかもしれないが、それで終わると考えていた。

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15歳の女には、そのわずかな選択が23の別れになるとは像できなかった。

方、亜精密業の担当者は点呼を続けていた。

「佐藤佐子」

返事がない。

「佐藤佐子!」

美津子が混みを見回した。

「さっきまでいました。った子を追いかけて、向こうへ……」

担当者は嫌そうに計を見た。

迎えのバスをく待たせるわけにはいかない。

駅員と引率職員が周辺を探したが、佐子は見つからなかった。

残されていた柳李をくと、着替え、裁縫具、母親の所をいた、そして皮に包まれた握り飯が1つ入っていた。

財布も残されていた。

「荷物もおも置いて、自分から逃げるでしょうか」

美津子が言った。

だが引率職員は険しい顔をした。

「都会へ着いて怖くなった子は、何をするか分からない。誰かいを見つけたのかもしれない」

「佐ちゃんに京のいなんていません」

「君たちは会社へきなさい。こちらで探しておく」

女たちは迎えのバスへ乗せられた。

美津子は窓へ張りつき、野駅の入を見続けた。

子が今にもって戻ってきて、バスを止めるようを振る気がした。

しかし、バスがき始めても佐子は現れなかった。

その夜、亜精密業から佐子の故郷へ話が入った。

呼びされたトヨは、駅くの郵便局までった。

「娘さんが、野駅で集所かられたまま戻っていません」

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