"「田舎者」と見下した婚約者を実家へ招いたら、態度が一変した" 第11話
焦りと保から吐きされる彼の言葉を聞きながら、私はえ切ったで、ずっと確かめたかったことを静かににした。
「……希さん。私の両親はね、都内で経営していたグループ会社を兄に完全に譲って、のんびり余を過ごすためにこの方に移してきたのよ」
「……え?」
「だから、両親にも私にも、都会への憧れなんて最初からこれっぽっちもないの」
希さんはぽかんとをけ、抜けな声を漏らした。
「えっ……ち、方の農じゃなかったのか……?」
「どうしてあなたは、そんなに田舎に対して偏見や見した先入観ばかり持つの? 私、もうあなたのことが分からなくなったわ」
私は希さんの目をまっすぐに見つめ、核を問い詰めた。
「……さっきの話、本当なの? 私のに、親密な女性がいるの? あなたは……私のことを本当にしているの?」
その問いが彼のプライドの逆鱗に触れたのか、希さんは突然、顔を真っ赤にして鳴り声をげた。
「うるさいんだよ! おがこんなにげのない女だとはわなかったな!」
「……っ」
しているかと聞いた私に対し、返ってきたのは侮蔑に満ちた声だった。あまりの豹変ぶりに、私は愕然として言葉を失った。
すると、ろに控えていたみちさんが毅然とにた。
「お嬢様を侮辱するのはおやめください」
希さんはギラついた目でみちさんを睨みつけた。
広告
「おは引っ込んでろ! 使用の分際で!」
「あなたこそ、何様のつもりですか?」
みちさんは歩も引かずにたく見据えた。
「何だと!? 俺はおらの切な『お客様』だろうが!」
「いいえ、違います」
みちさんは凛とした声で、はっきりと宣告した。
「を見し、平気で騙して利用しようとする、ただの詐欺師です」
「な……っ! まゆちゃん、聞いたか!? こいつ、未来の君の夫に向かって詐欺師なんて言ったぞ! ひどすぎるだろ!」
希さんが助けを求めるように私を見つめてきた。でを押さえていたお母さんも、髪を振り乱して叫んだ。
「そうよ! ひどいわ! こんな礼儀らずなお伝い、今すぐクビにしなさい!」
の見苦しい姿を見つめながら、私はく息を吐き、静かに告げた。
「そうですね。あり得ませんね」
「ほら見ろ! さっさとこの女を追いして……」
希さんが勝ち誇った笑みを浮かべた瞬、私は彼を遮ってたく言い放った。
「――この結婚自体が、あり得ないと言ったのよ」
「……え?」
希もお母さんも、が止まったように固まった。
「聞こえませんでしたか? 婚約は破棄します。結婚は絶対にお断りです」
「な、なんで……!? まゆちゃん、どうして……!?」
狼狽する希さんに、私は淡々と種かしをした。
「辺調査を興信所に依頼したのは、私よ。みちさんを通じて、プロの業者にお願いしていたの」
「き、君が……!? どうしてそんな……俺を信用できなかったのか!?」
広告
震える声で尋ねる希さんに、私はややかな線を向けた。
「最初に級レストランで事に誘われたあのから、ずっと引っかかっていたわ。『このを選んで本当に丈夫なのだろうか』って」
「そ、そんなから……!? なんでだよ! 君はあの、俺のチェックに『格』したって言ったじゃないか!」
必になって過の自分の言にすがる彼を見て、私はわず呆れて失笑してしまった。
「ずっとから、私の基準ではあなたは『格』だったのよ」
「……っ!?」
そこへ、お母さんがり狂って割って入ってきた。
「ちょ、ちょっと! なんて気なことを言うのよ! あなたたち、どれだけ派なだとってるの!? 恥ずかしくないの!?」
私は取り乱すお母さんを瞥し、静に言い返した。
「恥ずかしいのはどちらですか? 息子の結婚相を値踏みし、利用することしか考えていないなんて」
「え、偉そうに……この娘が! 希の母さんに向かってなんてを利くんだ! 今すぐ言を取り消せ!」
希さんが鬼の形相で鳴りつけてきたが、を完全に決めた私の胸には、恐怖もしみも切湧いてこなかった。ただただ、この男の底の浅さに呆れ果てるだけだった。
「まずは、あなたが私に言った数々の無礼な言葉を取り消してくれる? 『政婦』だの『貧乏顔』だの……つ残らず全部ね」
希さんは顔を引きつらせ、悔しそうに歯を剥きしにした。
「お……騙したな! それが本性か! 散々しいフリして猫を被りやがって!」
広告
おすすめ作品
-
完結第6話
帰宅した夜、夫の嘘を知った
里帰り出産を終え、生後2ヶ月の息子を抱いてようやく自宅へ戻った美咲。夫・直人との3人暮らしが始まると思っていたその夜、隣人が突然玄関を叩いた。「毎晩毎晩、夜中までいい加減にしてください」。さらに「ご主人には前にも2回注意しました」と告げられ、美咲は耳を疑う。この2ヶ月、美咲は一度も家に帰っていない。では、隣人が何度も見かけた“妻らしき女性”は誰だったのか。問い詰められた直人は「会社の後輩が1度泊まっただけ」と説明するが、翌朝、隣人の証言によってその嘘も崩れ始める。出産のため家を離れていた2ヶ月間、自分の家庭で何が起きていたのか――美咲は静かに真実を確かめ始める。嫁姑|夫婦|不倫8.8千字5 1 -
完結第13話
判を押さなかった妻
65歳の佳代は、38年間連れ添った夫・修司から突然、離婚届と一枚の写真を差し出される。 写真に写っていたのは、10歳になる男の子。夫が11年前から外で関係を続けていた女性との子どもだった。 「離婚して、残りの人生は好きに生きたい」 そう言いながら修司は、離婚後も佳代に家に残り、食事や洗濯、薬の管理まで続けるよう当然のように求めてくる。 しかし佳代は、すぐには判を押さなかった。 悲しくて離婚できなかったわけではない。夫が隠してきた金の流れ、削られていた義母の施設費、そして“新しい人生”の裏にある都合のいい計画を、すべて明らかにするためだった。 38年間尽くしてきた妻が、最後に守ろうとしたものとは――。人生逆転|夫婦|熟年離婚1.9萬字5 61 -
完結第13話
消された母の名前
父の三回忌を終えた夜、53歳の里美は、認知症の兆しがある母・清子から、突然知らない名前で呼ばれる。 「直子、今度こそ逃げないで」 直子とは誰なのか。なぜ母は、娘である自分を妹の名で呼んだのか。 不審に思った里美が戸籍や父の遺した書類を調べ始めると、自分の出生届に残された不自然な訂正、20年以上続いていた謎の送金、そして施設で暮らす一人の女性の存在が浮かび上がる。 母が53年間守り続けたものは、愛だったのか、嘘だったのか。 隠された12通の手紙と、海辺の古い写真が、里美の知らなかった「本当の家族」を少しずつ明らかにしていく――。人生逆転|第二の人生|親子関係2.0萬字5 38 -
完結第10話
「俺の子じゃない」と言った夫へ、99.999%の鑑定結果を見せた日
命懸けで娘を産んだサツキに、夫・慶一が放ったのは「俺の子じゃない。DNA鑑定しろ」という非情な一言。さらに義母と義妹まで押しかけ、浮気女と決めつけ300万円の慰謝料を要求する。 しかしサツキは静かに一枚のDNA鑑定書を差し出した。 親子関係99.999%――そして次に彼女がテーブルへ並べたのは、夫が決して知られたくなかった“大量の写真”だった。 本当に裏切っていたのは、一体誰なのか――。人生逆転|真実1.6萬字5 68 -
完結第20話
温泉旅行を贈った夫の本当の目的
結婚32年、家族のために働き続けた恵美子。ある日、夫から突然贈られた高級温泉旅行に喜ぶが、忘れたスマホを取りに戻ったことで、夫と若い愛人の恐ろしい本音を聞いてしまう。 「退職金も土地も奪って、最後は追い出せばいい」 しかし二人は知らなかった。 “何も知らない従順な妻”と見下した恵美子が、32年間の医療事務経験で培った知識と証拠収集力を武器に、すでに完璧な反撃を始めていたことを――。 愛も金も家も失うのは、一体誰なのか。夫婦|修羅場3.0萬字5 305 -
完結第19話
「孤児の貧乏女」と捨てた妻の本当の正体
「孤児院育ちの貧乏女」と蔑まれ、15年連れ添った夫・拓也に愛人と共に追い出された美桜。だが彼らは知らなかった――彼女の正体が、日本最大級の九条財閥の令嬢であることを。 離婚届に判を押した翌朝、500億円の契約解除、横領、裏切り、そして恐るべき犯罪計画まで次々と発覚。勝ち組を気取っていた夫たちの人生は、一夜にして崩壊する。 最後に笑うのは誰なのか――壮絶な逆転復讐劇が始まる。夫婦|不倫2.9萬字5 403 -
完結第13話
エレベーターの7時間
5月7日。 東京の大型デパートで突然の停電が発生した。 妊娠6か月の雪は、8人の乗客とともにエレベーターへ閉じ込められる。 救助が来るまでの7時間、彼女は自分の命よりも先に、高齢者や子供たちを守り続けた。 しかし、扉が開いた瞬間―― 救助隊長である夫・明が最初に抱き上げたのは、妻ではなく元恋人の桜だった。 「私と赤ちゃんは、もう彼を待たない」 意識を失う直前、雪が救助隊員へ託した結婚指輪と最後の言葉。 その日から、夫婦の関係は完全に崩れ始める。 なぜ明は、命の危険にある妊娠中の妻より、別の女性を選んだのか。 そして、10年間信じ続けていた桜との“過去”には、誰も知らない秘密が隠されていた。 救助記録と証言が明らかにした真実。 それは、雪が失ったのは夫だけではなく―― 自分を守るはずだった家族そのものだった。夫婦2.0萬字5 154 -
完結第14話
一杯の鍋が変えた人生
柏優太は、職場でのパワハラが原因で心を壊し、半年間ほとんど誰とも話さず部屋に閉じこもっていた。 そんなある日、隣に引っ越してきた母子3人の姿を見かける。 「何も買えなくてごめんね」と泣く母親と、空腹を我慢する子供たち。 過去に大切な友人を救えなかった後悔を抱えていた優太は、思わず声をかける。 「よかったら……うちで鍋しませんか」 一杯の鍋をきっかけに、孤独だった男と傷ついた母子の人生が少しずつ変わり始める。 しかし、温かな時間の裏には、母親が隠していた過去と、子供たちを取り戻そうとする元夫の存在があった。 誰かを救おうとした優太が、実は自分自身も救われていた――。 小さな優しさから始まった、再生と家族の物語。人生逆転|第二の人生|親子関係2.2萬字5 293 -
完結第11話
一つの証拠が暴いた8年間の嘘
八年前、誰にも期待されず、孤独な海外勤務へ送られた男――朝倉洋一。 灼熱のインドで技術を磨き、ただひたすら努力を重ねた彼は、八年ぶりに日本へ帰還する。 しかし、待っていたのは栄光ではなく、同僚からの侮辱と冷たい視線だった。 そんな彼の前に現れたのは、かつて突然姿を消した初恋の女性・七瀬美咲。 「契約の鬼」と恐れられる彼女が、なぜ一介の技術者である朝倉だけを選んだのか――。 やがて社内で発生した機密情報流出事件。 犯人に仕立てられ、すべてを失いかけた朝倉を救ったのは、遠い異国で築いた一つの友情だった。 裏切り、嫉妬、そして八年越しの想い。 忘れられた男の本当の価値が、今、世界を変える。因果応報|人生逆転1.7萬字5 292