"「田舎者」と見下した婚約者を実家へ招いたら、態度が一変した" 第6話
やっぱり田舎なんかに来るなんて言うんじゃなかった」
隣に座る希さんも、気だるそうにスマートフォンの画面を眺めている。お母さんの嫌そうな横顔を見て、私は(きっと々の会社経営の激務でお疲れなのだろう、に)とい、努めてるい声で話しかけた。
「お母さん、田舎の澄んだ空気と広い空を見れば、きっと気分も爽になってリフレッシュできますよ。都会とはまた違って、本当にいいところなんです」
お母さんはいため息をつき、私を瞥した。
「はあ……何がいいのかしらね。どうせ買い物したくたって、イオンくらいしかないんでしょう?」
「あ、その通りです! しかもからで分くらいかかります」
私が素直に相槌を打つと、お母さんは勝ち誇ったようにを鳴らした。
「ほらね。田舎なんて都会と違って、何にもないのよね」
「でも、実に着いたらルームツアーでもしましょう! も庭もすごく広いので、見て回るだけでも楽しいですよ」
「はあ……田舎のなんて、無駄に広いだけじゃないの」
どこまでもトゲのあるお母さんの態度に、隣の希さんが助け舟をすようにを挟んだ。
「まあまあ、母さん。せっかくくんだから、度くらい見にってあげようよ」
「ま、そうね。これからはうちの嫁として、しっかり働いて頑張ってもらうわけだしね」
広告
「そうそう。母さんも楽しんでよ」
希さんが宥めると、お母さんは「希がそう言うなら仕方ないわね」と嫌を直したように微笑んだ。彼のおかげでの空気がみ、私はホッと胸を撫でろした。それにしても、お互いをいっていて本当に仲の良い親子だなと、微笑ましくえた。
幹線がへとむ、は何度も冗談を言いって笑っていた。すると突然、希さんが私に向き直って言った。
「君がいつもそんなにのんびりしてるから、俺は普段から困ってるんだよ」
するとお母さんがすかさず笑いながら乗っかってきた。
「あはは! それは田舎と都会の差のせいじゃないの?」
「あはは、お母さん、本国内ですから差はありませんよ。面いですね!」
私が笑って答えると、お母さんは「分かってるわよ、まったく」と肩をすくめた。本当にお母さんは冗談が好きでノリがいいだ。
そのも、内で希さんが網棚を見げながら言った。
「母さん、荷物がそうだね。俺のも結構いけど」
お母さんはげさに肩をすくめてみせた。
「そうねえ。旦様と義母のい荷物をんで持ってくれるような、気の利くお嫁さんはどこかにいないものかしらねえ?」
は顔を見わせて困ったようなポーズを取っている。私は周囲を見回しながら、真面目に相槌を打った。
広告
「そうですね。体どこにいるんでしょうね?」
の荷物を代わりに全部持ってあげられるような力持ちのお嫁さんなんて、探すのも苦労だろう。そんなやり取りを交わしながらを過ごした。
幹線がの目の駅に到着する頃には、旅の移の疲れがたのか、はし嫌そうにを結んでいた。く実に着いて、ゆっくりと寛いでもらいたい。
改札をて駅のロータリーへ向かうと、すでに実からのお迎えのが待していた。黒塗りの級セダンから、ビシッとしたスーツ姿の男性がりてきて、々とをげた。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
男性が恭しく部座席のドアをけると、希さんが目を丸くして、声で私に打ちしてきた。
「えっ……まゆちゃん、あのおじさん、君のお父さんじゃないよね?」
「うん、うちの専属の運転さんだよ」
私が事も無気に答えると、希さんは息を呑んだ。
「せ、専属……!?」
その会話を聞き咎めたお母さんが、ろからフンとを鳴らして割り込んできた。
「何言ってるの、希。田舎はがないとどこにもけないから、所のにお願いして雇ってるんでしょう。田舎じゃ珍しくないわよ。きっとご両親はとっくに齢で運転免許を返納したのね」
「そうか、そうだよね」
両親はともはもちろん、型特殊やの乗り物の運転もまだまだ現役なのだが、わざわざここで訂正して話を引かせることもないとい、私はそのまま笑顔でを内へと案内した。
広告
おすすめ作品
-
完結第6話
帰宅した夜、夫の嘘を知った
里帰り出産を終え、生後2ヶ月の息子を抱いてようやく自宅へ戻った美咲。夫・直人との3人暮らしが始まると思っていたその夜、隣人が突然玄関を叩いた。「毎晩毎晩、夜中までいい加減にしてください」。さらに「ご主人には前にも2回注意しました」と告げられ、美咲は耳を疑う。この2ヶ月、美咲は一度も家に帰っていない。では、隣人が何度も見かけた“妻らしき女性”は誰だったのか。問い詰められた直人は「会社の後輩が1度泊まっただけ」と説明するが、翌朝、隣人の証言によってその嘘も崩れ始める。出産のため家を離れていた2ヶ月間、自分の家庭で何が起きていたのか――美咲は静かに真実を確かめ始める。嫁姑|夫婦|不倫8.8千字5 1 -
完結第13話
判を押さなかった妻
65歳の佳代は、38年間連れ添った夫・修司から突然、離婚届と一枚の写真を差し出される。 写真に写っていたのは、10歳になる男の子。夫が11年前から外で関係を続けていた女性との子どもだった。 「離婚して、残りの人生は好きに生きたい」 そう言いながら修司は、離婚後も佳代に家に残り、食事や洗濯、薬の管理まで続けるよう当然のように求めてくる。 しかし佳代は、すぐには判を押さなかった。 悲しくて離婚できなかったわけではない。夫が隠してきた金の流れ、削られていた義母の施設費、そして“新しい人生”の裏にある都合のいい計画を、すべて明らかにするためだった。 38年間尽くしてきた妻が、最後に守ろうとしたものとは――。人生逆転|夫婦|熟年離婚1.9萬字5 74 -
完結第13話
消された母の名前
父の三回忌を終えた夜、53歳の里美は、認知症の兆しがある母・清子から、突然知らない名前で呼ばれる。 「直子、今度こそ逃げないで」 直子とは誰なのか。なぜ母は、娘である自分を妹の名で呼んだのか。 不審に思った里美が戸籍や父の遺した書類を調べ始めると、自分の出生届に残された不自然な訂正、20年以上続いていた謎の送金、そして施設で暮らす一人の女性の存在が浮かび上がる。 母が53年間守り続けたものは、愛だったのか、嘘だったのか。 隠された12通の手紙と、海辺の古い写真が、里美の知らなかった「本当の家族」を少しずつ明らかにしていく――。人生逆転|第二の人生|親子関係2.0萬字5 44 -
完結第10話
「俺の子じゃない」と言った夫へ、99.999%の鑑定結果を見せた日
命懸けで娘を産んだサツキに、夫・慶一が放ったのは「俺の子じゃない。DNA鑑定しろ」という非情な一言。さらに義母と義妹まで押しかけ、浮気女と決めつけ300万円の慰謝料を要求する。 しかしサツキは静かに一枚のDNA鑑定書を差し出した。 親子関係99.999%――そして次に彼女がテーブルへ並べたのは、夫が決して知られたくなかった“大量の写真”だった。 本当に裏切っていたのは、一体誰なのか――。人生逆転|真実1.6萬字5 74 -
完結第20話
温泉旅行を贈った夫の本当の目的
結婚32年、家族のために働き続けた恵美子。ある日、夫から突然贈られた高級温泉旅行に喜ぶが、忘れたスマホを取りに戻ったことで、夫と若い愛人の恐ろしい本音を聞いてしまう。 「退職金も土地も奪って、最後は追い出せばいい」 しかし二人は知らなかった。 “何も知らない従順な妻”と見下した恵美子が、32年間の医療事務経験で培った知識と証拠収集力を武器に、すでに完璧な反撃を始めていたことを――。 愛も金も家も失うのは、一体誰なのか。夫婦|修羅場3.0萬字5 312 -
完結第19話
「孤児の貧乏女」と捨てた妻の本当の正体
「孤児院育ちの貧乏女」と蔑まれ、15年連れ添った夫・拓也に愛人と共に追い出された美桜。だが彼らは知らなかった――彼女の正体が、日本最大級の九条財閥の令嬢であることを。 離婚届に判を押した翌朝、500億円の契約解除、横領、裏切り、そして恐るべき犯罪計画まで次々と発覚。勝ち組を気取っていた夫たちの人生は、一夜にして崩壊する。 最後に笑うのは誰なのか――壮絶な逆転復讐劇が始まる。夫婦|不倫2.9萬字5 407 -
完結第13話
エレベーターの7時間
5月7日。 東京の大型デパートで突然の停電が発生した。 妊娠6か月の雪は、8人の乗客とともにエレベーターへ閉じ込められる。 救助が来るまでの7時間、彼女は自分の命よりも先に、高齢者や子供たちを守り続けた。 しかし、扉が開いた瞬間―― 救助隊長である夫・明が最初に抱き上げたのは、妻ではなく元恋人の桜だった。 「私と赤ちゃんは、もう彼を待たない」 意識を失う直前、雪が救助隊員へ託した結婚指輪と最後の言葉。 その日から、夫婦の関係は完全に崩れ始める。 なぜ明は、命の危険にある妊娠中の妻より、別の女性を選んだのか。 そして、10年間信じ続けていた桜との“過去”には、誰も知らない秘密が隠されていた。 救助記録と証言が明らかにした真実。 それは、雪が失ったのは夫だけではなく―― 自分を守るはずだった家族そのものだった。夫婦2.0萬字5 154 -
完結第14話
一杯の鍋が変えた人生
柏優太は、職場でのパワハラが原因で心を壊し、半年間ほとんど誰とも話さず部屋に閉じこもっていた。 そんなある日、隣に引っ越してきた母子3人の姿を見かける。 「何も買えなくてごめんね」と泣く母親と、空腹を我慢する子供たち。 過去に大切な友人を救えなかった後悔を抱えていた優太は、思わず声をかける。 「よかったら……うちで鍋しませんか」 一杯の鍋をきっかけに、孤独だった男と傷ついた母子の人生が少しずつ変わり始める。 しかし、温かな時間の裏には、母親が隠していた過去と、子供たちを取り戻そうとする元夫の存在があった。 誰かを救おうとした優太が、実は自分自身も救われていた――。 小さな優しさから始まった、再生と家族の物語。人生逆転|第二の人生|親子関係2.2萬字5 293 -
完結第11話
一つの証拠が暴いた8年間の嘘
八年前、誰にも期待されず、孤独な海外勤務へ送られた男――朝倉洋一。 灼熱のインドで技術を磨き、ただひたすら努力を重ねた彼は、八年ぶりに日本へ帰還する。 しかし、待っていたのは栄光ではなく、同僚からの侮辱と冷たい視線だった。 そんな彼の前に現れたのは、かつて突然姿を消した初恋の女性・七瀬美咲。 「契約の鬼」と恐れられる彼女が、なぜ一介の技術者である朝倉だけを選んだのか――。 やがて社内で発生した機密情報流出事件。 犯人に仕立てられ、すべてを失いかけた朝倉を救ったのは、遠い異国で築いた一つの友情だった。 裏切り、嫉妬、そして八年越しの想い。 忘れられた男の本当の価値が、今、世界を変える。因果応報|人生逆転1.7萬字5 292