みかん小説
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"車に私の席はなかった" 第26話

役にたない老はいつか捨てられるという恐怖に怯え、息子の嫌を取ることに必だったのだ。

しかし今の私には、そんな怯えも、誰かに依しなければきていけないという錯覚も切ない。

私は私自の主公として、これからの穏やかな々を自由に紡いでいくのだ。

仏壇の線が静かに燃え尽きるのを見届けてから、私はしい町の探索にかけることにした。

しだけおしゃれなのカーディガンを羽織り、歩きやすいスニーカーの靴紐をしっかりと結ぶ。

玄関の鏡に映る私の顔は、京にいた頃のどんよりと疲れ切った老婆の顔では決してなかった。

背筋は真っ直ぐに伸び、その目には確かな志と、への静かな期待がしっかりと宿っている。

私は鍵を閉め、が吹き抜けるマンションの廊を軽やかな取りで歩きした。

しい町はとても活気があり、すれ違う々の顔もどこか穏やかで優しく見えた。

の商には昔ながらのが軒を連ね、活気ある声が響き渡っている。

先には鮮なの野菜が並び、先には鮮やかなが咲き誇っていた。

私はを止め、先に並べられたさな鉢植えの数々をじっと見つめた。

そこには、まだ蕾を固く閉じた、さな梅のの鉢植えがいくつも並べられて置かれていた。

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、私が京へくために泣く泣く放した、庭のあのきな梅の

その記憶がふいに蘇り、私の胸の奥に懐かしくもしだけ切ないが吹き抜けた。

「その梅、あとしでとても綺麗なを咲かせますよ」

主が優しく声をかけてくれて、私は迷うことなくその鉢植えをつ買うことに決めた。

きな庭はもうないけれど、このさな鉢ならマンションのベランダで切に育てることができる。

「毎しずつきくなるから、入れをして育てるのが楽しみになりますよ」

主のその言葉に私はるく頷き、千円札を渡して丁寧にお釣りを受け取った。

しい命をに入れたような温かい気持ちで、私はその梅のを両でしっかりと抱えてに着いた。

に戻り、当たりの良いベランダの特等席に梅のを置くと、そこだけが急に華やいで見えた。

をやり、太陽のを当てていれば、きっとこのも私を慰めるような綺麗なを咲かせてくれるだろう。

それはまるで、度は全てを失いかけた私のが、力く再び再していく姿になって見えた。

のお茶のが過ぎた頃、私はくの図館にち寄ってみることにした。

昔から本を読むことは好きだったが、あのではゆっくりと活字を追うなど秒も与えられなかった。

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るい差しが差し込む窓際の閲覧席に座り、私は興のあった歴史説のページをゆっくりとめくる。

周囲には私と同じように、静かなを楽しんでいるたちが何もいた。

誰もが自分のペースで自分の好きなことに没しているこの空を、私はとても気に入った。

ほど読を楽しんだ、私は面そうな数冊の本を借りて図館をにした。

帰り、ふとち止まって見げた空は、どこまでもく青くれ渡っていた。

族という言葉のい呪縛から解き放たれた今、私の目に映る世界はこんなにも美しかったのだ。

血が繋がっているからと言って、無条件に信頼し、いつまでもえるわけではない。

お互いを尊し、いやるがなければ、それはただのたい同居に過ぎないのだ。

私はをもってその残酷な真実を学び、そしてようやくそのい鎖を自らので断ち切ることができた。

もう度と誰かの所物になったり、自分を当に犠牲にしたりするき方は選ばない。

夕暮れ、私は所のスーパーで買ってきた鮮な材を使い、夕の準備を始めた。

誰かのために急いで作る事ではなく、自分のべたいものを自分のペースで料理する贅沢な

キッチンにつ私の取りは軽く、まな板ので包丁が鳴る音もどこかリズミカルで楽しげに響いていた。

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