みかん小説
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"車に私の席はなかった" 第1話

夕暮れの玄関で、私はのセーターを着てっていた。

夫が、私の誕に買ってくれた番お気に入りのだった。

目ので、息子の直哉がの鍵を回しながら振り返る。

その横で、嫁の絵理が助席のドアにをかけていた。

孫の翔太と美咲は、すでに部座席に座って楽しそうに笑いっている。

は、予約した焼肉族全員で向かうはずだった。

直哉はし困ったような顔で私を見た。

「母さん、に乗れないから来なくていい」

私は自分のを疑い、そのち尽くした。

たいが玄関に吹き込む、私だけが取り残されていた。

の夕方、玄関にはたいが容赦なく吹き込んでいた。

も過ぎて、親戚の集まりも終わり、がようやく落ち着いた頃だった。

絵理がるい声で提案した。

「たまには族で焼肉にきましょう」

翔太と美咲も声をげてんでいた。

べ放題がいい!」

私がに誘われることは滅になかった。

私は自分の部に戻り、切にしているのセーターを選んで着てきた。

孫には、お玉代わりのさな封筒も用してポケットに入れていた。

それなのに、玄関で靴を履いた私に向かって直哉はたく告げたのだ。

私は最初、その言葉のが全く分からなかった。

絵理がいかにも申し訳なさそうな声をして、横からを挟んだ。

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「予約、で取っちゃったんです」

彼女は私の顔を覗き込んだ。

「お義母さんはで何かべてください」

部座席から、翔太の満げな声が聞こえてきた。

「ばあちゃんが来ると肉を焼くのが遅くなるし」

美咲は何も言わず、スマートフォンの画面をじっと見たままだった。

私は胸の奥がすっとたくなるのをじた。

から吹き込むよりも、彼らの言葉の方がずっとたかった。

私は苦笑いを浮かべて、静かに頷いた。

「おお、ってらっしゃい」

直哉はし気まずそうに線を逸らした。

「今度連れてくから」

私はその言葉を、このに来てから数え切れないほど聞いてきた。

今度温泉へ。今度ゆっくりへ。

しかし、その「今度」が実現したことは度もなかった。

がゆっくりとす。

私は玄関先で、さくを振った。

孫たちは度も振り返ることはなかった。

のテールランプが角を曲がって、完全に暗に消えた。

私はしばらくのセーターをに揺らしながら、そこにっていた。

私がこのにやってきたのは、のことだった。

夫をくした翌、直哉が私に声をかけてくれたのだ。

直哉は私のを握って言った。

じゃ配だから、うちに来てみんなで暮らそう」

私は最初、んだ田舎のれることにい迷いがあった。

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派な仏壇もあったし、所にはお茶をむ昔からの友もいた。

庭には、夫が切に育てていたきな梅のもあった。

けれど、たったの息子がそう言ってくれたことが、の底から嬉しかったのだ。

私は田舎のを売り、そのおくをこのした。

1200万円という、決してなくない額だった。

直哉と絵理は何度もげて、私に謝の言葉をにした。

そのは確かに、私はこの族に温かく迎えられたとっていた。

しかし、同居が始まって数ヶもすると、私の役目はしずつ変わっていった。

に起きて、族全員の噌汁を作る。

孫たちの弁当を用し、全員がべ終えた器を洗う。

洗濯物を取り込んで綺麗に畳み、絵理が仕事で遅くなれば夕飯も作る。

孫を塾へ送迎することも、いつのにか私の事な仕事になっていた。

私はできることなら何でも伝おうとに決めていた。

族の役にちたかったし、みんなの笑顔が見たかったからだ。

しかし、私が事をするのは次第に当たりという空気になっていった。

謝の言葉は減り、絵理は当然だという態度を隠さなくなった。

絵理はたい線を私に向けた。

「お義母さんもんでいるんだから、事くらい当然ですよね」

そう言われた、直哉は聞こえないふりをして聞から目をさなかった。

私はそのが丸く収まるならと、笑って誤魔化した。

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