みかん小説
本棚

"帰りたくない少女と赤い車" 第10話

「ずっと、私たちのをつけてきたんですか?」

匠は歩、リンの方へを踏みした。

「こんな所で、何をしているんです?」

リンは恐怖を押し殺し、ぬいぐるみを両く掲げた。

彼女は声を震わせないように、必に努めながら言葉を発した。

「お休みのところ、本当に申し訳ありません」

リンは努めてるく、業務な声をした。

林さん、めちゃんが保育園にこのぬいぐるみを忘れてしまって」

リンはぬいぐるみを持ったを、に突きした。

「これがないと、夜になるんじゃないかとって」

彼女は作り笑いを浮かべ、匠の目を見た。

「お返ししようと、急いで追いかけてきたんです」

切なおもちゃを見た瞬、メイの目に瞬だけ堵のが宿った。

しかし、彼女はリンの方へを伸ばそうとはしなかった。

むしろ、父親のろへとさらにを隠してしまったのである。

匠は目を細め、疑わしげな線でリンをからまで見据えた。

「おもちゃをつ返すためだけに、わざわざここまでついてきたと?」

匠の調には、らかな嘲笑とりが混じっていた。

「いくら何でも、やりすぎじゃありませんか」

リンは恥ずかしさと、そして微かな恐怖で頬がくなるのをじた。

「そうわれるのも、無理はありません」

リンは歩も引かず、匠の目をしっかりと見つめ返した。

広告

「でも、子供にとってこういうできるアイテムがどれほどか、私はよくっています」

リンはぬいぐるみを事そうに胸に抱え直した。

「めちゃんが、これなしで夜にパニックになってしまうのではないかと配だったんです」

匠の険しい表が、ほんのわずかだけらいだように見えた。

しかし、彼の発する声にはまだ鋭いトゲが残っていた。

「まあ、そこまで気を配っていただいたことには謝しますよ」

匠は片し、く渡せと図をした。

「でも、わざわざ追ってくる必はありませんでした」

彼はリンのからぬいぐるみをひったくるように受け取った。

晩くらい、これなしでも平気だったはずですから」

匠がろにいるメイにぬいぐるみを渡すと、メイはそれを胸にく抱きしめた。

その親子のやり取りを見ながら、リンは周囲の状況に目を向けずにはいられなかった。

が完全に沈むにつれてく伸び、森はさらに暗くにそびえっている。

「あの、差しがましいようですが」

リンは配する気持ちをどうしても抑えきれずに、いた。

「こんな暗い森ので、めちゃんと何をしているんですか?」

リンは森の奥を指差した。

「もう、かなり遅いですが」

匠はその直接な質問に、虚を突かれたようだった。

広告

彼の線が、リンと背の暗い森とのを神経質に彷徨う。

瞬、彼は答える言葉に詰まったようだった。

やがて、わざとらしく咳払いをしていた。

「ああ、実はですね」

匠は言い訳を考えるように、し目を泳がせた。

「メイが急に、トイレにきたいと言いしましてね」

彼はメイのを軽く撫でるような仕をした。

「保育園で泣いたり遊んだりしたでかなり分を取ったものですから」

リンはゆっくりと頷き、その説静に処理しようとした。

しかし、保育園のルールでは、帰るに全員が必ずトイレを済ませるのが課である。

それに、目のにいる今のメイの様子を観察しても、トイレをしているようなそぶりは全くない。

保育士をしてきたリンには、子供がトイレをしているの特のモジモジしたきがよくわかる。

しかし、メイはただ怯えて、彫像のように固まっているだけだった。

それでも、リンはこれ以追求するのは極めて危険だと判断した。

のパニックによるストレスで、メイのトイレの覚がおかしくなったのかもしれない。

あるいは、のエアコンで体がえたせいかもしれない。

リンの直が『絶対に何かがおかしい』と叫び続けていた。

それにも関わらず、リンは匠の言い分を信じるふりをすることに決めたのだ。

「そうだったんですね」

リンは顔の筋肉を引きつらせながら、無理に笑顔を作った。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: