"一つの証拠が暴いた8年間の嘘" 第10話
「……急に呼びしてごめんなさい。事に何も説できなくて……でも、来てくれてありがとう」
「丈夫だよ。ここまで来たら、逃げずにちゃんとお父様とお話しするだけさ」
俺は美咲の肩を優しくポンと叩き、で最階の社へと向かった。
な両きの扉をくぐると、広な執務の奥、枚板の巨なデスクのに、髪交じりの威厳ある男性が座っていた。 男性は類から顔をげ、鋭いで俺を見つめた。
「君が、朝倉君かね。娘から話は聞いている。……まあ、そこに座りなさい」
「はい。失礼いたします」
俺は々と礼し、デスクの向かいに置かれた革張りの子へと静かに腰をろした。
瀬社は組んだ両をデスクのに置き、ゆっくりとをいた。
「娘の美咲は、昔から芯のい子でね。仕事に関しては誰よりも厳格だったが、こと恋に関しては、臆病なほどに慎な子だった。……そんな娘がね、に度だけ、あるの男の話をしてくれたことがあったんだ。『彼の真っ直ぐな言葉と誠実な姿勢が、私の仕事に対する価値観を根本から変えてくれた』とな」
瀬社の厳格だった目元が、ふっと柔らかく細められた。 そこにあったのは、徹な企業の経営者の顔ではなく、娘をから慈しむ、の父親としての温かな差しだった。
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「その男こそが、君だそうだね」
俺は胸がくなり、返す言葉を探したが、込みげるで喉が詰まってうまく声がなかった。社は静かに話を続ける。
「私は経営者だ。だから常に、数字と実績、そして静な損益計算だけで物事を見るよう努めてきてきた。……だが、今回ばかりは違ったよ。娘がまれて初めて、自分ので『このだけは絶対に信じたい』と、私にをげて懇願してきたんだ」
部のに、よい静寂が流れた。
「今回の事件での君の潔は、完全に証されたと聞いている。そして君というが、くれたインドのでも、どれほどくの々にい響を与え、信頼を築いてきたのか……この数で、私もよく理解できたよ。アリム氏との国境を越えた友も、決して偶然の産物ではない」
「……ありがとうございます。ですが私は、ただ自分に与えられた所で、目のの責任を果たそうとしてきただけです」
「それで分だよ」
瀬社は満そうにく頷き、力い声で言った。
「朝倉君。どうか、娘を切にしてやってくれ。それが、父親としての私からの唯の願いだ」
「はい……! 命に代えても、切にします」
俺はちがり、々と、魂を込めてをげた。
社を辞し、な扉のへると、廊の窓辺に美咲がで待っていた。 夕暮れの茜のがきなガラス窓から差し込み、彼女の横顔を美しく染めげている。
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あのと同じように、毛先をしだけ巻いた彼女の髪が、夕に輝いていた。
美咲は俺の音に気づいて振り返り、そうに首を傾げた。
「……どうだった?」
俺は胸を撫でろし、破顔した。
「うん。なんとか、お父様に許してもらえたよ」
美咲はホッとしたようにふっと微笑むと、駆け寄ってきて俺の両をぎゅっと握りしめた。そののひらは、しだけ汗ばんでいて、おしいほどに温かかった。
「……じゃあ、。今度こそ、聞かせてほしいな」
「え?」
美咲はし悪戯っぽく目遣いで俺を見つめた。
「みたいに、コースの最のデザートのタイミングじゃなくてさ……今、この所で言ってほしいの」
俺は瞬目を見いた、力く頷いた。 そして、夕に照らされた彼女の瞳を、まっすぐに見つめた。
「美咲。今度こそ、俺のをかけて、君と緒にきていきたい。……今の俺を見て、それでもいいとってくれるなら、俺と結婚してください」
美咲のきな瞳から、粒の涙がぽろぽろと溢れした。彼女は俺の首に腕を回し、胸のへとび込んできた。
「私も……ずっと、ずっと同じ気持ちだったよ……! あの夜、突然のことに驚いて、自分の気持ちに素直になれなくて逃げしちゃったけど……、あなたが私のにずっといたの……!」
俺は彼女の背に腕を回し、く抱きしめ返した。
トクン、トクンと静かになりって脈打つの音が、失われていたの空を、温かな量で完全に埋め尽くしていくのをじていた。
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