みかん小説
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"一つの証拠が暴いた8年間の嘘" 第6話

「待った、待った! みんな、何か事なことを忘れてないか?」

フロアの入りから、よく通るな声が響いた。 声の主は、営業主任の財だった。彼は腕を組み、わざとらしい取りでフロアの央へとゆっくり歩みてきた。周囲の社員たちを見回しながら、尊に言い放つ。

「そもそも、朝倉君をあのに連れてったのは、俺の確な判断だぞ? 俺がお膳てしたを、彼がただ歩いただけだ。そうだろう、朝倉君?」

その言葉に、俺はわず息を詰まらせた。 確かに、あのへ同することになったきっかけは、財言だった。だが、契約を結ぶ決めとなったのは、俺自の言葉と、の歳を経てなお残っていた美咲との確かな信頼関係だったはずだ。

フロア内が気まずい沈黙に包まれかけた瞬、奥のデスクから助け舟がされた。

「そうでもないぞ、財

珍しくを挟んだのは、発部の課だった。課鏡のブリッジを指で押しげながら、穏やかな笑みを浮かべて財の方を向いた。

「先方の瀬様から直接お話をいただいたんだがね。『朝倉さんの説は非常に分かりやすく、誠実だった。あそこまで信頼できる柄の技術者が社内にいる御社が羨ましい』と、絶賛されていたぞ」

その言葉がた瞬、フロア内は再び「おおーっ!」という歓声と拍に包まれた。

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「へ、へえ……そうなんですか」

は引き攣った顔で精杯の営業スマイルを作ってみせたが、その表は悔しさで見苦しく歪んでいた。彼は唇をギリリと噛み締め、俯いた。 課の瞳の奥が、切笑っていないこと――自分の浅ましい柄の横取りが見透かされていることに、財も気づいていたはずだった。

そのの昼、デスクに戻って作業を再しようとした俺の元へ、財が缶コーヒーをつ持って歩み寄ってきた。

「朝倉君、さっきはちょっと気なかったよ。悪かったな。ほら、これ差し入れ。ここの自販のブラック、美いんだよな」

「あ……ありがとうございます」

俺は差しされた缶コーヒーを受け取りながら、胸の内に奇妙な違を覚えた。 財に缶コーヒーを奢るなど、これまでに度もなかったことだ。そもそも、周囲にそんな気の利いた気配りができるようなでは決してなかった。

ることなく、俺の子の真ろにった。 顔にはの良い笑顔を張り付けていたが、その目はまったく笑っていなかった。たい線が、俺のパソコンの画面へと注がれている。

「朝倉君は、何でも卒なくこなせて本当に尊敬するよ。……で、例の規アプリの発の捗はどうなの?」

俺はパソコンのログイン画面にパスワードを打ち込みながら、淡々と答えた。

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「予定より倒しでんでいます。来週にはテスト環境に入れそうです」

「へえ、順調なんだ。なるほどね……すごいね」

はそう言いながら、しばらくの、俺の元と画面をい入るように見つめていたが、やがて「あ、もう会議のだ」とわざとらしく呟き、にそのれていった。

何かがおかしい。背筋にら寒いものがった。 だが、そのじた嫌な予は、数、会社を揺るがす巨な騒となって現実の姿を現すことになった。

の朝、社してデスクに着いた途端、内線話のベルが鋭く鳴り響いた。 受話器を取ると、発部え切った声がを突いた。

『朝倉、至急、第1応接まで来てくれ』

「はい、ただいま向かいます」

嫌な予を抱えながら応接い扉をけると、内には発部、課、そしてなぜか営業部の財が、苦しい表で待ち構えていた。

は俺が席に着くのも待たずに、厳しい調で切りした。

「朝倉、非常にな話がある。今朝、報処理部から緊急の連絡が入った。が社が極秘裏にめていた次期主力アプリケーションの発コードの部が、部の掲示板および競社へ漏洩した形跡が確認された」

「……えっ?」

俺はを疑った。部元の類を指先で叩きながら続けた。

「現、セキュリティチームが詳細な調査をめているが、現点で判しているのは、流したデータが朝倉君、君の担当範囲のソースコードと完全に致しているということだ」

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